星発生「スターバースト」ガス雲衝突が原因 名大教授ら解明
宇宙の狭い空間で数万個の星が爆発的につくられる「スターバースト」と呼ばれる現象は、水素分子からなるガス雲同士が衝突すると起きることを、名古屋大大学院の福井康雄教授(電波天文学)らの研究チームが世界で初めて解明した。埼玉大で20日から開かれる日本天文学会で発表する。
福井教授によると、銀河系には大小数万個の星が集中した「星団」があり、そのうち300万年前以降に誕生した比較的新しい星団4つを、名大がチリに設置した電波望遠鏡「NANTEN2」で観測した。
4星団は地球から平均約2万光年離れた南の空にあり、最大の星団には、4光年四方の狭い範囲に太陽の20倍以上大きい星が30個以上存在し、小さい星も1万個以上ある。
観測の結果、全ての星団の周辺で二つのガス雲が衝突した形跡が確認され、星団は温度が高くなった雲同士が交わるところの中心にあった。
福井教授らは雲同士の接触面で水素ガスが圧縮され、大量の星がつくられたと分析。いずれも秒速に約20キロ差がある二つの雲が衝突していたことが分かった。衝突は数億年に1回という。
福井教授は「宇宙の進化の過程である星形成の仕組みが分かり、貴重な成果だ」と話している。〔共同〕