性別変更男性に父子関係認めず 第三者精子で妻出産の子と
性同一性障害(GID)のため性別を女性から変更した兵庫県宍粟(しそう)市の男性(31)が、第三者の精子提供を受けて妻が出産した次男(1)と父子関係があることの確認を求めた訴訟の判決で、大阪家裁(久保井恵子裁判官)は13日、父子関係を認めず、請求を棄却した。男性側は控訴する方針。
訴えによると、男性は性同一性障害特例法に基づいて性別を変え、妻と結婚。昨年6月、東京都新宿区に次男を嫡出子として出生届を提出したが、区は「性別を変えた男性に生殖能力がない」として戸籍の父親欄を空白とし、次男を非嫡出子として扱った。
男性側は、妻が婚姻中に妊娠した子供を「夫の子と推定する」とした民法の規定を適用すべきだと主張。性別変更を伴わない場合は、第三者からの精子提供で生まれた子供にも父子関係が認められているとして「性別などによる差別を禁じた憲法に違反する」と主張した。
判決は「母が夫との性交渉で次男を懐妊することが不可能だったのは戸籍の記載から明らかで、民法の推定は及ばない」と判断。今回のようなケースで父子関係を認めることは「立法論としては十分考えられるが、現行の民法は自然生殖ではない父子関係を想定していない」と指摘した。