教育行政、首長権限を強化 改正法成立
教育委員会制度を見直し、首長権限を強化する改正地方教育行政法が13日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。教育行政の責任者を明確化するため、教育長と教育委員長を一本化した新「教育長」を置くほか、首長が教育方針を教委と話し合う「総合教育会議」を地方自治体に設ける。来年4月から施行する。
改正法は移行措置として、現在の教育長の任期(4年)が切れるまで旧体制で運用することを認める。首長は改正法の施行後、総合教育会議を招集できる。
現行制度では、教育委員長は教育委員の中から互選され、教育長は教育委員会が任命する。改正法は2つの役職を統合した任期3年の「教育長」を新設。首長が議会の同意を得て直接任免できるようにする。一方、教科書採択や教員人事などの決定権限は教委に残す。
首長と教育委員で構成する総合教育会議では、教育行政の重点施策やいじめ問題の対応について協議する。首長はこの議論を踏まえ、少人数教育の推進や学校の耐震化の目標などを盛り込んだ「大綱」を定めて公表する。同会議は原則公開し、議事録の公表も努力義務とする。
また、これまでは緊急時のみに認められていた文部科学相による各教委への是正指示を、いじめ自殺問題の再発防止策などについても出せるように見直す。
改正法は、大津市で2011年に起きたいじめ自殺問題で指摘された教委の対応の遅れや隠蔽体質、責任の曖昧さを改善することが狙い。ただ教委に教育行政の最終権限がある現行の大枠は変わらず、新制度が有効に機能するかどうかは各自治体の運用に左右されそうだ。