福島第1原発、北側井戸でも放射性物質
福島第1原子力発電所のタンクから放射性物質を含む汚染水が漏れた問題で、東京電力は9日、大量の漏洩があったタンクの北側の観測用井戸の地下水から、ストロンチウムなどベータ線を放つ放射性物質を1リットル当たり3200ベクレル検出したと発表した。タンク周辺での地下水からの放射性物質の検出は2カ所目。汚染が地下水に広く浸透していることを示しており、東電は付近の汚染土壌の除去を急ぐ。
観測用井戸は漏洩タンクを囲う堰(せき)の北側のわきにある。タンクから漏洩した汚染水は、堰を貫く排水弁から流れ出て観測用井戸のある一帯に広がった。土壌に染み込み地下水に到達したとみられる。
堰の南側にある観測用井戸からは4日の測定で1リットルあたり650ベクレルのベータ線を出す放射性物質が検出され、付近の地下水が汚染されている可能性がある。8日に南側井戸から再度採取した水の放射性物質は同67ベクレルに減少した。
タンクからの300トンの汚染水漏洩は8月19日に発覚した。大半は土壌に染み込み、一部は排水溝をつたって海に流れ出たと考えられている。残っていた汚染水はすでに他のタンクに移送済み。