東芝、三重で高機能メモリー新工場着工 サムスンと首位争い
東芝は23日、NAND型フラッシュメモリーの主力拠点、四日市工場(三重県四日市市)内で新棟の建設を始めた。2014年度に最先端の微細化技術を使った高機能メモリーの量産を開始。15年度にも素子を立体的に積み上げて記憶容量を増やす3次元構造のメモリーも生産する計画。NANDメモリーで世界首位の韓国サムスン電子の追撃を急ぐ。
同日、四日市工場で着工式を開いた。東芝はメモリーカード最大手の米サンディスクと共同で4千億円を投じ、新棟をNANDの最先端品の生産拠点にする。既存設備も合わせた生産能力は直径300ミリメートルのウエハー換算で約2割増える。スマートフォンやデータセンターのサーバー向けの需要拡大に備える。
新棟では回路線幅を19ナノ(ナノは10億分の1)メートルから16~17ナノと微細化を進める。同じ大きさのチップで記憶容量が大きくなる。
半導体の微細化は技術的な限界を迎えつつある。このため、サムスン電子は8月から3次元構造のメモリーの生産を開始した。東芝も「13年度末にサンプルを出荷し、15年度に量産を目指す」(成毛康雄執行役上席常務)という。サムスンは記憶素子を24段積み重ねているが、東芝は「もう少し(素子を)積んでコストダウンする」方針だ。
3次元製品はチップ面積当たりの記憶容量を高められる一方、「歩留まりの向上が課題」(半導体製造装置大手の東京エレクトロン)とされる。サムスンは量産で先行するが、「シェア争いで優勢に立つかは不透明」(アナリスト)。12年のNANDメモリーの世界シェアはサムスンが37%、東芝が31%だった。