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「金曜日の妻たちへ」の舞台も… 郊外でも進む高齢化

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1983年に始まり社会現象として今も記憶されるテレビドラマ「金曜日の妻たちへ」。日本がバブルへと向かう中で、郊外の住宅地で華麗なる生活を送りながらも孤独を感じる妻たちが不倫に陥っていく。そのモデルとなった街は60年代に整備された横浜市の「美しが丘」だった。

「妻たちはもうババたちねって住民の方々と冗談をいうこともあります」――。

東急電鉄の次世代郊外まちづくり担当の岡本洋子さんはこう話す。美しが丘は東急田園都市線の、たまプラーザ駅近くにある。なかでも3丁目は1972年に全国初といわれる「住民発意による建築協定」を発足させた、美しい街並みの高級住宅地だ。

「30~40代の医者や弁護士、大学教授とか社会で活躍する人たちが入ってきたんだよね」。この街に住む大野承さんはこう振り返る。今も豪華な注文住宅には高級車が並ぶが、住民の3割は65歳以上になった。坂や階段が多く、バス停から自宅まで一気に歩けない人もいるという。都心に引っ越す人も多いが、家を売却しない場合もあり、外からは「見えない空き家」もあるようだ。

そうした状況を受けて横浜市と東急は、たまプラーザ駅周辺を郊外再生のモデル地区に指定した。駅前への住み替えを促したり、住民の交流を支援したりして再生に取り組んでいる。「若い人を少しずつ入れていかないと、今は良くてもこれから大変なことになる」と岡本さんは感じている。

地方の過疎に比べて、郊外の住宅地の問題は見落とされがちだ。これからの郊外はどうなるのか。まちづくりに詳しい横浜市立大学の斉藤広子教授に処方箋を聞いた。

――郊外の高齢化にどう対応したらよいでしょうか。

「一つは予防をしっかりすること。若い人に魅力的な街にし続けることだ。近くに良い小学校があるなど、子育て世帯が住みやすい地域の住宅は流通している。働く、住む、遊ぶ、学校に行くということがセットでできる環境が必要だ」

――具体的には。

「建築協定も必要なら見直した方がいい。例えば二世帯住宅を建てられるようにするとか、環境を壊さない範囲で地域に子どもたちが帰ってこれるようにしてはどうか。若い世代にも自治会の役員になってもらうなどの工夫が大事だ。企業や行政の力も必要だし、行政もいろんな部署が連携することが重要になる」

――外国の郊外はどうなっていますか。

「ロンドン郊外にレッチワースという有名な住宅地がある。ロンドンが人口過密になる中で、郊外で働いて遊んで勉強しようというコンセプトで始まった。デベロッパーは住宅のほか商業施設やオフィスもつくって不動産収入を得る。街の価値が上がればその収入も増えるので、様々な方法で価値向上に取り組む。例えば病院をつくってバスを走らせたり、住民のサークル活動にも積極的に関与したりしている。街の価値を上げる仕組みが初めから組み込まれている」

「米国のニュージャージー州にあるラドバーンという郊外も有名だ。ここは戸建て住宅で管理組合ができた初めての場所で、住まいに必要な様々なサービスを自分たちで創り出した。米国人は人生に6回住み替えるというが、他と同じ街では家の価格が下がっていく。だから価値を上げていこうという意識が高い」

(福山絵里子)

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