シリア政権軍、パルミラを完全制圧 「イスラム国」に打撃
【カイロ、モスクワ=共同】シリアのアサド政権軍は27日、過激派組織「イスラム国」(IS)の支配下にあった中部パルミラを完全に制圧したと発表した。ロシア軍が空爆で作戦を支援し、IS部隊の大半は東方に撤退した。ISは昨年5月にパルミラを制圧し、世界遺産のパルミラ遺跡でベル神殿など多数の貴重な建造物を破壊。ロシアメディアの空撮で25日に遺跡の一部は無事が確認された。
パルミラはシリアの東西を結ぶ戦略的な要衝。政権軍は声明で「ISに痛烈な一撃を与えた。テロ組織の崩壊と敗北の始まりだ」と宣言した。
シリアでは2月末、アサド政権と反体制派の一時停戦が発効。この後、政権軍はパルミラへの攻勢を強めていた。停戦が功を奏し、ISへの攻撃に戦力を集中できたようだ。ロシアは主力部隊を撤収させたが、残存部隊による支援で依然として強い存在感を発揮している。
ロシアのプーチン大統領は27日、アサド大統領と電話会談し、ロシア軍は政権軍のテロとの戦いと領土奪還を今後も支援すると表明した。インタファクス通信が伝えた。
タス通信によると、ロシア国防省は27日、パルミラ一帯で過去24時間にロシア軍航空機が40回出撃し、117カ所を空爆したと発表した。80人以上のテロリストを殺害したとしている。
シリア軍高官は声明で、パルミラを拠点とし、ISが首都と称する北部ラッカや東部デリゾールなどへの作戦を進めるとした。
シリア国営テレビは27日、パルミラ遺跡の遠景を放映したが、爆弾が仕掛けられている恐れがあり近づけないという。
国営テレビによると、パルミラ市内には市民の姿がない。シリア人権監視団(英国)によると、ISは戦闘激化前に、住民に町を離れるよう呼び掛けていたという。