ジャパンディスプレイ、深谷工場を閉鎖 15年3月期最終赤字に
中小型液晶の世界最大手、ジャパンディスプレイは15日、スマートフォン(スマホ)向けの高精細パネルを生産する深谷工場(埼玉県深谷市)を2016年4月に閉鎖すると発表した。中国のスマホ向け出荷が想定より増えなかったため、主力の茂原工場(千葉県茂原市)などに生産を集約し競争力を高める。伸びるスマホ向けを巡り、関連部材の販売競争が激化してきた。
ジャパンディスプレイは同日、15年3月期の最終損益を従来予想の268億円の黒字から、100億円の赤字(前期は339億円の黒字)に下方修正した。工場閉鎖に伴い70億円の特別損失が発生するほか、中国メーカー向けパネルの単価下落などが収益を圧迫した。
業績悪化に対応し生産体制を見直す。生産性の低い深谷工場を閉鎖。大型のガラス基板から効率よくパネルを生産できる茂原工場(月間生産能力5万枚=ガラス基板ベース)などに集約する。深谷工場の従業員約400人は配置転換する。
ジャパンディスプレイは産業革新機構が7割を出資し、日立製作所と東芝、ソニーが中小型液晶事業を統合して12年4月に事業を開始。今年3月に株式を上場した。中小型液晶パネルの世界シェアは16.2%(13年、米NPDディスプレイサーチ調べ)と首位。主要顧客のアップル向けは引き続き好調だが、中国スマホメーカーに押され韓国サムスン電子やソニー向け出荷が失速した。
ジャパンディスプレイは「中国スマホメーカー向けを伸ばす」(大塚周一社長)と顧客開拓を強化してきたが、想定より出荷が伸びていないもよう。シャープも中小型を強化しており、「パネル各社の競争激化で生産過剰に陥る可能性もあり、合理化が進まなければ来期以降の利益成長も見込みにくい」(外資系証券アナリスト)という。