弁護士会の転居先照会拒否、賠償責任は否定 最高裁
裁判に必要な住所照会の回答を拒んだ日本郵便に対し、愛知県弁護士会が損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)は18日、「正当な理由がない限り回答すべきだが、拒否しても弁護士会への不法行為にはあたらない」として賠償責任を否定する初判断を示した。日本郵便に賠償を命じた二審・名古屋高裁判決を破棄した。
そのうえで、今回の照会に対する回答義務が日本郵便にあるかどうかの審理は、名古屋高裁に差し戻した。
一、二審判決によると、2011年、未公開株詐欺の被害者が和解金を払わない相手の財産を差し押さえるため、弁護士会を通じて日本郵便に転居先を照会した。守秘義務を理由に回答を拒まれ、弁護士会が損害賠償を求めて提訴した。
一審・名古屋地裁判決は、守秘義務を負う日本郵便が回答を拒んだのはやむを得ないとして請求を棄却。二審は「回答の拒否は正当性がなく違法」と判断し、弁護士会が逆転勝訴していた。
弁護士法に基づき、弁護士会は訴訟当事者の転居先などを企業や団体に照会することができる。愛知県弁護士会によると、日本郵便は転居先の照会に対して一律で回答を拒んでいる。