米アップルが反論「欧州委の主張は事実無根」
【シリコンバレー=兼松雄一郎】米アップルは30日、ティム・クック最高経営責任者(CEO)の名前で反論の書簡を公開した。「アイルランド政府から個別に特例的な税優遇を受けたとの欧州連合(EU)の欧州委員会の主張は事実無根だ。命令は撤回されると確信している」と主張し、アイルランド政府とともに裁判で争う方針を明らかにした。
同社は書簡で「アップルは米国、世界で最大の納税企業だ」とし、各地域で全ての納税義務を果たしているという従来の主張を繰り返した。
そのうえで「欧州委がアップルを狙い撃ちし、アイルランドの主権を侵害して遡及的に課税することは欧州への投資と雇用に悪影響を与える」と強調。「もし税制を変える必要があるなら、より簡素で明確な形になるよう正当な手続きにのっとってやるべきだ」と強く欧州委を批判した。
アップルは低い法人税率が適用されるアイルランドに資産を集めることで税負担を軽減してきた。書簡でアイルランド拠点が単なる租税回避拠点ではないことを強調。もともとは1980年に工場として始まり、生産をやめた後も事業を継続し、雇用を生んでいる、とした。現地のデータセンターにも投資している。