トルコ「冷静に行動を」 ロシア経済制裁で打撃
【イスタンブール=佐野彰洋】トルコのダウトオール首相は29日、トルコへの経済制裁を発令したロシアに対し「(トルコとの)共通の利益を考慮し、冷静に行動するよう求める」と述べ、不快感を示した。首都アンカラで記者団に語った。
トルコ国営アナトリア通信によると、ダウトオール氏はロシア軍機撃墜で領空侵犯を否定する同国側の主張について「受け入れられない」と指摘し、トルコの立場を改めて正当化した。
制裁が実行されればトルコ経済は一定の打撃を受けそうだ。同国政府は輸出不振などを受けて10月、2015年の実質成長率予測を4%から3%に引き下げたばかり。
影響が大きそうなのが観光分野だ。トルコ文化観光省によると、ロシアは国別のトルコ訪問者数でドイツに次ぐ2位で、14年は全体の1割強の約450万人だった。トルコの旅行業界団体トップのバシャラン・ウルソイ氏は、制裁でロシアからの観光客が激減すると「地中海岸のリゾート地を中心に損失額は少なくとも35億ドルにのぼる」と推測する。
トルコ統計局の資料では、同国の対ロ輸出額は14年が59億ドルで全体の4%程度。だが、ロシア側の禁輸リストに主力の野菜や果物が載れば、トルコ側のダメージになる。
ロシアで道路や空港の建設など大規模なインフラ整備事業を請け負ってきたトルコのゼネコン各社のビジネスが制限されることも考えられる。