難民らによる殺傷、独南部で相次ぐ メルケル政権に打撃
【フランクフルト=加藤貴行】ドイツ南部で難民などによる殺傷事件が相次ぎ、治安悪化の不安が広がっている。24日にはシリア人による爆発事件で起き、自爆テロとの見方が強まっている。南部では1週間で難民らによる殺傷事件が4件も発生。治安の不安が現実のものになりつつあり、難民に寛容な政策をとり続けた独メルケル政権には打撃となりそうだ。
24日夜に独南部アンスバッハで起きた事件では、難民申請者のシリア人の男(27)が野外コンサート会場の入り口近くで爆発物を爆発させた。男は死亡し、15人が負傷した。殺傷能力を高める金属片があり、観衆らを巻き込む狙いだった可能性が高まっている。
地元バイエルン州政府のヘルマン内相は25日、独DPA通信に対し、「典型的なイスラム系の自爆テロとみなすのが自然だ」と述べた。
容疑者の男は2年前にドイツに入国。1年前に難民申請を却下されたが、市内の施設に住んでいた。過去に2回自殺未遂を図り、精神科の通院歴もあったという。
同州では州都ミュンヘンで22日、イラン系ドイツ人の少年(18)が銃を乱射する事件が起きたばかり。18日には州北西部ビュルツブルクで、アフガニスタン人の難民の少年(17)による負傷事件もあった。
一連の事件で政権運営にも影響が出る可能性がある。バイエルン州は独南東部に位置し、中東からの難民受け入れの玄関口で、治安悪化や財政負担の増加への不安はあった。ゼーホーファー州首相は連立政権に加わるキリスト教社会同盟の党首。難民の流入を制限して監視を強めるよう求め、これまでもメルケル氏と対立してきた。
一方、連邦政府のデメジエール内相は25日、独メディアに対し、「難民一般への疑念を抱いてはならない」と強調した。
メルケル首相はミュンヘンの事件を受け23日、「ドイツの全ての人々の安全と自由を守るために全力を尽くす」と述べている。それでも事件は起きた。有効な対策を打ち出せなければ、ゼーホーファー氏との亀裂が深まり、世論からも首相への風当たりが強まるのは避けられない。