軍用ヘリを共同生産 印ロ首脳会談で合意へ
【モスクワ=田中孝幸】ロシアのプーチン大統領は24日、モスクワでインドのモディ首相と会談した。軍用ヘリコプターの共同生産や原子力分野での協力を進めることで一致し、戦略的協力の強化を盛り込んだ合意文書を取り交わす予定だ。インドとの蜜月を演出することで対ロ制裁を続ける米国や、極東で存在感を高める中国をけん制する狙いもある。
会談冒頭、プーチン氏は「両国は特別な戦略的協力を発展させている」と強調。モディ氏は「ロシアを(国際舞台の)新たなレベルに引き上げたプーチン氏の指導力を称賛したい」と語った。
ロシアメディアによると両首脳はロシア製の最新型軍用ヘリをインドで共同生産することで合意する見通し。他のロシアの最新兵器のインドでの生産に関しても協議する。ヘリの共同生産はインドにとって国外の技術移転を受けて防衛装備品を国内で製造する初めてのケースとなる。
これは防衛装備の近代化や国内の製造業振興を目指すインドと、同国の兵器市場の囲い込みを目指すロシアの利害が一致していることが背景にある。世界最大の武器輸入国であるインドにとって長くロシアが最大の供給国だったが、近年は米国が最新兵器の輸出攻勢を強め、インド市場でシェアを急拡大させていた。
インドはロシアとの軍事面での協力を通じて先端技術を吸収するほか、隣国パキスタンに接近する中国をけん制する戦略も描く。武器輸出の拡大を目指す中国はパキスタンの兵器近代化を支援しており、モディ政権は神経をとがらせている。
両首脳はロシアの技術協力を受けて稼働中の南部タミルナド州のクダンクラム原発の原子炉増設でも合意する見通し。インドで計画されているロシア製原発の建設計画の推進も申し合わせる。
両首脳は内戦が続くシリア問題を含む中東情勢や過激派組織「イスラム国」(IS)のテロ対策も協議する。モディ氏は25日にはアフガニスタンの首都カブールを訪れる予定だ。