インド中銀総裁、9月で退任へ 与党が再任拒否
【ムンバイ=堀田隆文】インド準備銀行(中央銀行)のラグラム・ラジャン総裁は18日、同行職員向けに声明を出し、1期3年の任期が満了する9月4日での退任を表明した。同国政府筋によると、与党の支持母体がモディ首相にラジャン氏の再任拒否を伝え、モディ首相が財務省を経由してラジャン氏に決定を通知したという。
ラジャン氏は声明で「政府との協議の結果、私は9月4日の任期末をもって学術界に戻ることになる」と明記した。
ラジャン氏は2013年9月、当時のマンモハン・シン政権の招きで準備銀総裁に就任。米シカゴ大教授から国際通貨基金(IMF)調査局長に転身し、08年の金融危機を予言したことでも知られる。
総裁就任後は通貨ルピーの安定やインフレの抑制に手腕を発揮し、新興国に逆風が吹く中でもインドの安定的な経済成長につなげた。世界の金融界や海外投資家の信任が厚く、再任を望む声が強かった。