オランダ極右党首に有罪 「発言、移民差別を扇動」
【ロンドン=共同】オランダの裁判所は9日、同国の極右政党、自由党のウィルダース党首(53)のモロッコ系移民に関する発言が「差別を扇動した罪」に当たるとして、有罪を言い渡した。一方、「憎悪の扇動」については証拠が不十分だとして無罪とした。弁護士は、ウィルダース氏は上訴する意向だと述べた。
検察はウィルダース氏に5千ユーロ(約60万円)の罰金刑を求刑していたが、判決では罰金は不要とした。欧州では移民流入などを背景に右派が支持を伸ばしており、裁判に注目が集まっていた。
ウィルダース氏は2014年3月、オランダ地方選投票日の集会で「モロッコ人が多いのと少ないの、どっちがいい」と問い掛け、支持者らが「少ない方」と叫ぶ様子が報じられた。検察は「表現の自由は差別の禁止により制限される」として同年12月、同氏の訴追を発表した。
ウィルダース氏はポピュリズム(大衆迎合政治)的な手法でイスラム系移民の排斥や欧州連合(EU)離脱を訴え、人気を拡大。自由党は来年3月の下院選で現有議席を倍増させて第1党に躍進する勢い。
報道によると、先月の公判では「私が有罪なら数百万のオランダ市民も有罪だ」と述べ、自身の主張は国民を代弁していると強調していた。