米大統領、石炭火力の規制強化を発表 共和党は反発
【ワシントン=川合智之】オバマ米大統領は3日、火力発電所から出る二酸化炭素(CO2)を2030年までに05年比で32%削減することを柱とする新たな規制を正式に発表した。オバマ氏は「米国が過去にとった温暖化対策で最も重要な一歩だ」とCO2排出が多い石炭発電所への規制の必要性を訴えた。一方で野党・共和党からは反対の声が相次いだ。
オバマ氏は「米国はCO2排出量を地球のどの国よりも削減する」と述べ、年末にパリで開く第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)への意気込みを訴えた。「世界が困難な試練に直面した時に米国は前へ進む道を先導する」とも述べた。
これに対して、共和党議員らは石炭産業や電力会社への打撃になるとして強く反発した。ベイナー下院議長は「失職や経済成長阻害、電気代の急上昇を招く」と批判した。16年大統領選に立候補したウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事は、新規制で対策コストがかさむとして「州の納税者を守るため直ちに措置をとる」と述べた。
オバマ氏はこうした批判に対して「最終的には平均的な米国人は電気代を年85ドル(約1万500円)節約できる」と反論。「地域社会は数十年にわたり石炭の仕事を失いつつある」として、失業者への支援に乗り出す考えを明らかにした。