税逃れ防止へ制裁基準 京都でOECD委開幕、100カ国が議論
国際的な課税逃れ対策を議論する経済協力開発機構(OECD)の租税委員会が30日、京都市で開幕した。約100カ国が参加し、情報公開に非協力的な悪質なタックスヘイブン(租税回避地)を特定する基準案を作る。悪質なタックスヘイブンには国際社会が連携して制裁を検討する。
OECDが本部のあるパリ以外で租税委員会を開くのは初めて。議長は財務省の浅川雅嗣財務官。会合には麻生太郎財務相も出席、冒頭に「競争から協調へ、税に関する国際的議論を一変させた」と意義を強調した。
会合ではグローバル企業の過度な節税を防ぐための共通ルールの整備も議論する。企業がタックスヘイブンにある事業実態のないペーパーカンパニーに所得を移した場合、本国で課税できるようにすることなどが柱だ。会合に出ている約100カ国のうち、OECD加盟国や20カ国・地域(G20)などの計46カ国・地域がすでに共通ルールの枠組みに参加しており、今回新たにシンガポールや香港、ウルグアイなど35カ国・地域が加わる。
国際共通ルールが幅広く浸透していけば、企業のビジネス環境が公平になる利点がある。国境をまたいだ節税に積極的な企業は戦略の見直しが迫られる。