9月鉱工業生産指数2.7%上昇 基調判断「一進一退」
経済産業省が29日発表した9月の鉱工業生産指数(2010年=100)は97.8で、前月比で2.7%上昇した。2カ月ぶりにプラスに転じた。一方で在庫指数は0.8%低下と5カ月ぶりに下がった。同省は生産の基調判断を前月の「弱含みで推移」から「一進一退」に上方修正した。4月の消費増税後、製品の出荷が減って在庫が増え、企業が生産を抑制する動きが一服した形だ。
生産は消費増税前の駆け込み需要に対応するために活発になった1月の3.9%以来の伸び率になった。基調判断の引き上げは13年9月以来、1年ぶり。
同時に発表した製造工業生産予測調査によると、生産は10月が前月比0.1%減、11月が1.0%増の見通しだ。
生産指数を業種別にみると全15業種のうち13業種で上昇した。上昇に特に影響が大きかったのが輸送機械工業で前月比で4.7%上がった。国内で普通乗用車や軽自動車の販売が好調だったことや、中東や東南アジア向けの輸出が伸びたことでメーカーが生産を増やしたようだ。
電子部品・デバイス工業も5.8%上がった。スマートフォン向けの中・小型の液晶や薄型テレビ向けの大型の液晶が増えた。「クリスマス商戦向けにメーカーが生産を増やした」(同省)という。電気機械工業も産業用機械を中心に5.4%伸びた。工場の定期修理などがあった化学工業(医薬品を除く)は0.1%の低下だった。
生産の伸びを支えたのが出荷の増加と在庫の減少だ。出荷は4.3%増加し、2カ月ぶりのプラスとなった。伸び率は1月の5.1%以来の水準だ。また、在庫も5月以降、自動車などの出荷が鈍ったことで増え続けた動きが一服した。ただ、前年同月比では3.9%増加しており、依然として高い水準にある。
同時に発表した7~9月期の生産指数は96.7と前期比1.9%低下し、2四半期連続の減少となった。消費増税後は個人消費のもたつきが響いて製品の出荷が減って企業の在庫が増え、生産が鈍るという流れが続いてきた。今後も出荷が増え、企業の在庫水準が下がるかどうかが焦点になりそうだ。