G7、難民受け入れ支援を強化 国境管理「主権」も盛る
【タオルミナ=島田学】主要国首脳会議(タオルミナ・サミット)ではシリアなど情勢が不安定な中東地域から欧州に逃れる難民や移民への対応も議題の一つとなった。首脳宣言では難民の受け入れ国への支援を強化する必要性を確認する一方で、難民受け入れを制限できる国境管理は「国家の主権的権利」だとの考え方も盛り込んだ。
討議では難民支援のあり方として、難民の将来の母国帰還を考え、可能な限り母国の近くで支援することが必要との認識で一致した。難民を受け入れる余地が少ない日本は、難民を生む一因である貧困問題の解決に向けた支援などで貢献する姿勢を示した。
難民・移民問題への対応ではG7首脳間で温度差がある。ドイツのメルケル首相は移民の受け入れに寛容な姿勢を示してきた。一方、トランプ米大統領はメキシコとの国境に壁を設けると主張するなど移民に厳しい。国境管理を「主権的権利」とするのは、トランプ氏の意向を踏まえたものとみられる。
サミット議長国のイタリアも移民への対応に苦慮している。サミット開催地に移民受け入れの多いシチリア島を選び、サミットで問題解決に道筋をつけたいとの意向をにじませた。