生前退位法案「来年提出めざす」 官房長官
菅義偉官房長官は19日の衆院内閣委員会で、天皇陛下の生前退位に関する有識者会議の提言を踏まえた法案について「できれば(来年の)通常国会に出したいとの思いは持っている」と述べた。有識者会議が年明けにも論点整理をまとめるとの見通しを示したうえで「陛下が高齢でもあるので、できれば円満に早く(審議入り)という方向で考えている」と述べた。
民進党の岡田克也前代表の質問に答えた。菅氏が生前退位の検討を巡り、政府が想定する具体的な日程に言及したのは初めて。政府は今の天皇に限った特例法での対応を軸に検討を進めており、与野党の理解を促しつつ制度設計を加速させたい考えだ。
岡田氏は法整備に関し「協力していく準備はある」としたうえで「最後は法律だ。立法府たる国会の仕事だ」と指摘し、与野党の合意形成の必要性を強調した。菅氏は「国会でそれなりの理解をいただける議論を行って成立するのが当然のことだ」と語った。
政府は有識者会議で議論するテーマとして、女性・女系天皇や女性宮家の創設を巡る問題は除く方針だ。菅氏は「いろいろな意見があり、議論が拡散する。公務の負担軽減に絞って考えたい」と説明。皇族減少への対応に関しては「男系継承が例外なく維持されてきたことの重みの中で、慎重丁寧な対応が必要だ」と指摘した。
政府は17日に開いた有識者会議の初会合で、11月中に皇室制度や憲法の専門家ら十数人から意見聴取する方針を決めた。聴取する主なテーマとして、憲法上の天皇の役割や負担軽減策、生前退位の是非やその法整備のあり方など8項目を想定している。
最終的な提言を取りまとめる時期については、菅氏は「全く決まっていない。あまりに拙速でもいけないし、最初からスケジュールありきも望むべきではない」と述べるにとどめた。