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設備投資拡大、官民ですれ違い 企業「規制緩和先決」

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政府は16日、企業に積極的な投資を促すための官民対話の初会合を開いた。設備投資の拡大を求める政府に対し、経済界は法人実効税率の引き下げや労働規制など岩盤改革が先決だと主張するなど、双方の言い分はすれ違う。新興国減速などで企業の収益環境は険しさを増しており、民間の経営判断に再び「介入」の動きを強めようとする政府の動きには経済界で反発もひろがっている。

会議には安倍晋三首相をはじめとする閣僚や経済3団体のトップらが出席した。冒頭、甘利明経済財政・再生相は「過去最高の原資があるのに、投資しないのは重大な経営判断の誤りだ」と口火を切った。首相も「今こそ企業が設備、技術、人材に積極果敢に投資すべきだ」と要請した。

政府による異例の要請の根拠は、2014年度で354兆円にまで積み上がった企業の内部留保だ。このうち現預金は210兆円を占める。ところが7~9月期に日本経済が2期連続のマイナス成長の可能性が指摘されるなど経済の勢いが鈍い。政府内では「過去最高益を上げる企業がお金を貯め込み、投資に回さないからだ」との声が多い。

経済界は露骨な圧力への警戒を強める。経団連の榊原定征会長は「投資拡大のためには法人税率の早期引き下げや前倒し、規制緩和の環境整備が必要だ」と注文を並べ立てた。経済同友会の小林喜光代表幹事も「新産業の創造が不十分で、投資機会が乏しい」と指摘した。

政府は円安が企業の輸出競争力を高めていることを根拠に、製造業による国内回帰が進むとの期待を強めている。ここでも企業側の事情は複雑だ。大手化学メーカー幹部は「海外の工場設備をたたんで国内復帰させるのには1年や2年で済むわけがない」と反発。国内での設備増強に力を入れる素材メーカー首脳は「計画策定から工事まで3~4年は時間がかかる。来年に設備投資をできるほど簡単なものではない」と話す。

製造業の設備年齢は13年時点で16.3年と、過去20年間で5年も老朽化した。設備の更新投資が必要な点については民間側でも異論はない。実際、15年度の設備投資は計画段階で前年度比10%増と総じて強気だ。

だが中国減速などで外需の動向は一段と雲行きが怪しくなっており、企業も投資判断に慎重な姿勢を強めている。金融危機時の教訓から、手元資金を潤沢に確保しておきたいとの考えも企業側には根強い。

デフレを掲げたアベノミクスの旧3本の矢のもとで、経済界は政府が求める賃上げに2年連続で応じた。海外の収益環境が悪化するなかで、賃上げ時と同じように政府主導の設備投資増が実現するかは不透明だ。甘利氏は会議終了後の記者会見で、企業が設備投資に積極的な姿勢を示さないなら「さらに強い要請をしたい」と話した。

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