経常黒字、震災前水準を回復 1~6月8兆1835億円
財務省が10日発表した2015年上半期(1~6月)の国際収支状況(速報)によると、モノやサービスなど海外との総合的な取引状況を表す経常収支は8兆1835億円の黒字だった。黒字幅は11年3月に起きた東日本大震災前の10年下半期(7~12月)以来の水準を回復した。原油など資源価格の下落によって輸入額が11期ぶりに下落したことが寄与した。輸出も5期連続で伸びた。上半期の経常収支が黒字転換するのは2年ぶり。前年同期は燃料や電子関連製品の輸入が増え、4977億円の赤字と、比較可能な1985年以降で初めての赤字になっていた。
上半期の貿易収支は4220億円の赤字だった。前年同期の6兆2014億円の赤字から大幅に赤字額は縮小した。自動車や電子部品の輸出が伸びた。企業が海外子会社から受け取る配当金収入などにあたる第1次所得収支の黒字額は10兆5114億円と、円安を背景に前年同期の8兆3348億円から大幅に拡大し、85年以降で過去最大の黒字額になった。
旅行や輸送などのサービス収支は8723億円の赤字(前年同期は1兆4924億円の赤字)だった。昨年下期に黒字転換した「旅行収支」のほか「知的財産権などの使用料」の黒字額は比較可能な96年以降で最大だった。
6月単月の経常収支は5586億円の黒字(前年同月は3639億円の赤字)だった。黒字は12カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値(7118億円の黒字)は下回った。
6月の貿易収支は1026億円の黒字(前年同月は5463億円の赤字)だった。輸出額が6兆4563億円と、3435億円(5.6%)増えた。一方、輸入額は6兆3537億円と、3054億円(4.6%)減った。
サービス収支は1714億円の赤字(同2140億円の赤字)。第1次所得収支は6569億円の黒字(同4460億円の黒字)だった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕