エアバス、納入解約通告 スカイマークに違約金要求へ
欧州エアバスがスカイマークに納入予定だった6機の超大型旅客機「A380」について、エアバスが契約解除の意向を伝えたことが29日、明らかになった。スカイマークによる代金支払いのメドが立たないため。エアバスは違約金の支払いを求める損害賠償訴訟も検討している。違約金は数百億円規模になるとの見方もある。
格安航空会社(LCC)の参入などでスカイマークの業績が悪化、必要な代金の支払いが滞っているため、エアバス側は契約不履行と判断した。スカイマークはA380を使って国際線への参入を目指していたが、計画変更は避けられない見通し。
スカイマークは6機の購入費用の一部として今年3月末までに200億円超をエアバスに前払いしている。エアバスはこの前払い金についても返還に応じないことを主張しているもようだ。現在、スカイマークは前払い金を資産として計上しており、返還されなければ損失計上により2015年3月期は黒字見通しから一転、最終赤字となる可能性もある。
スカイマークとエアバスは今春からA380の売買契約の見直しを進めていた。スカイマークは29日「(エアバスから)大手航空会社への傘下入りを契約変更の条件の一部として要求され、それを拒否してA380をキャンセルした場合に、常識を逸脱した法外な違約金を提示してきた」とのコメントを出した。「他社の傘下入りは考えられない。根気よく協議し解決策を見いだす」としている。
両社は11年に6機のA380を総額1915億円で売買する契約を結んだ。当初の計画では今年10月に1機目が引き渡され、スカイマークは同社初の国際線として今年末にも成田―ニューヨーク線に就航させる計画だった。
ただ、LCCの相次ぐ参入による競争激化や円安に伴う燃油費の上昇で、スカイマークは14年3月期の単独決算で5期ぶりの最終赤字に転落。A380の購入に向けた借り入れの見通しが立たなくなっていた。同社は今年6月に購入計画の見直しを表明。エアバスとの間で購入機数の削減や引き渡し時期の延期などの交渉を進めていた。
スカイマークは1996年の設立で、規制緩和による新規参入航空会社の第1号。大手に比べ割安な運賃を武器に路線網を拡大し、現在は羽田―福岡線など約30路線を運航中。
A380は総2階建て、座席数500席超の世界最大の旅客機で「空飛ぶホテル」の異名をとる。エアバスは07年にシンガポール航空に納入したのを皮切りに、独ルフトハンザ航空や大韓航空など世界の航空大手に130機以上を引き渡している。日本の航空会社ではスカイマークが初めて導入する予定だった。