NHK経営委員長に石原氏 JR九州相談役
NHKの最高意思決定機関である経営委員会は28日、任期満了で退任した浜田健一郎氏(68)の後任の新委員長に九州旅客鉄道(JR九州)の石原進相談役(71)を選出したと発表した。委員長はNHK執行部のトップである会長の選出や業務の監督で主導的な役割を果たす。NHKは受信料制度のあり方や相次ぐ不祥事からの信頼回復など課題を抱えており、石原氏の手腕が問われる。
同日開いた経営委員会で12人いる委員の中から互選により決めた。石原氏は記者会見で自身以外にもう1人候補がいたことを明らかにした。日本たばこ産業(JT)の本田勝彦顧問(74)とみられる。氏名は公表せず「残る10人で話し合い決めた」という。事前に調整を済ませ全会一致で決めるのが慣例になっており、異例の選任になった。
28日付で就任した石原氏は記者会見で「NHKは大変重要な時期だ。会長選任は最も重要な仕事のひとつ。他の委員と協力して重責を務めたい」と話した。籾井勝人会長は17年1月に任期を迎える。再任するかも含め、近く経営委員会に指名部会を設置して本格的に検討を始める。
石原氏は籾井会長について「誤解される発言がある。前委員長時代と同様に注意申し上げることが必要だが、収支改善などで実績も出ている。是々非々で考えていく」とした。
石原氏は10年に経営委員に就任。籾井会長を推した一人とされる。JR九州の社長就任中は九州新幹線の全線開業にメドをつけるなど国との交渉で調整力を発揮した。熊本地震では九州観光推進機構の会長として復興予算を引き出すなど首相官邸とのパイプも太い。
12月に経営委員として再任されると石原氏は9年の長期在任となる。経営委員会は監視監督機関。記者会見では「執行部ともよい緊張関係を保ちたい」と話した。石原氏が幅広い人脈や経営者としての経験をNHKの改革に生かせるか。政府や総務省との距離感も含め、微妙な経営のバランス感覚が求められる。