スマホ決済「アップルペイ」日本で開始
米アップルのスマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)」を使う決済サービスが25日午前、日本で始まった。ICカードの代わりにかざして駅の自動改札を通ったり、小売店やタクシーの決済端末で支払いができたりする。米グーグルも近く日本でスマホ決済を始める。ソニーやNTTドコモがインフラを育ててきた日本のスマホ決済が、米大手の相次ぐ参入で本格的な普及期を迎えそうだ。
25日早朝、アップルがスマホ決済「アップルペイ」に対応するためのソフトウエアの提供を始めた。最新の「iPhone7」や腕時計型端末「アップルウオッチ」の新機種の利用者はソフトを更新すると使える。
電子マネー付きICカード乗車券「Suica(スイカ)」をアップルペイに対応させた東日本旅客鉄道(JR東日本)は25日未明にシステムの改修を完了。私鉄や地下鉄を含む全国約4800の駅や約36万の小売店や飲食店などで決済ができるようになった。
スイカの累計発行は9月末時点で6144万枚。アップルは日本の交通系電子マネー最大手と組むことでスマホ決済の普及に弾みをつける。
コンビニエンスストア各社でも対応が始まった。ローソンでは約1万3000店で利用できる。
iPhoneでクレジット決済することもできるようになった。指紋センサーに指を置きながら店頭の端末にかざすだけでサインや暗証番号入力は不要になる。NTTドコモの「iD(アイディ)」とジェーシービー(JCB)の「クイックペイ」に対応する。
世界でも日本はiPhoneのシェアが高いが、決済サービスの導入は遅れた。ソニーが開発した非接触ICカード技術「FeliCa(フェリカ)」を使うサービスが普及していたためだ。2015年の国内の非接触式電子マネーの決済金額は4兆6443億円でほとんどがフェリカを使っているとみられる。
今回アップルは日本向けiPhoneに特別にフェリカを搭載。普及している決済インフラを活用する。グーグルはカード会社から決済手数料を取らないスマホ決済サービス「アンドロイドペイ」を日本でも準備。スマホ市場で力を持つ2社が日本市場に参入することでスマホ決済はさらに拡大する見通しだ。
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JR東日本は25日午前、携帯電話を使う「モバイルスイカ」のサービスが一時不調になったと発表した。午前7時半~11時にかけてチャージやグリーン券の購入などがしにくくなった。スマホ決済の開始にあわせて同社が配信した独自アプリにアクセスが集中したのが要因という。