東京地裁、出光の増資認める 創業家は即時抗告
出光興産が発表した公募増資計画を巡り、同社の創業家が新株発行の差し止めを求めた仮処分申し立てで、東京地裁(大竹昭彦裁判長)は18日、差し止め請求を却下する決定をした。「新株発行の主要目的が不当とは認められない」として出光側の主張を認めた。一方、創業家側は決定を不服とし東京高裁に即時抗告を申し立てた。
出光は公募増資により4800万株の新株を発行し、約1200億円を調達すると発表していた。公募増資の実施後は、創業家の持ち株比率は現在の33.92%から約26%まで下がる見通しだ。
調達資金は昨年末に昭和シェル石油株を取得した際の借入金の返済のほか、ベトナムでの製油所建設や有機EL事業に充てる。
創業家代理人は地裁決定に対し「新株発行が(創業家の)議決権保有割合を希釈化する目的であることを看過した不当なものであり、到底容認できない」とする見解を発表し、東京高裁に即時抗告を申し立てたと明らかにした。高裁は20日までに判断する見通しだ。
大竹裁判長は決定理由で「創業者らの持ち株比率を相当程度減少させ、支配権をめぐる争いを有利にする目的があった」と指摘。ベトナムでの製油所建設などに充てるとしていた出光側の主張も「的確な証拠がない」などと認めなかった。
一方で、昨年末に昭和シェル株を取得した際の借入金の返済については「弁済期を数カ月後に控え、資金調達の必要性が高い」と合理性を認めた。公募増資による新株発行についても「著しく不公正な方法とはいえない」と結論づけた。
18日の東京株式市場では出光興産の株価が大幅続落し、年初来安値を更新した。