ロート、社員60人が副業スタート 地ビール製造も
ロート製薬は14日、2月に導入した副業を認める制度に60人強の社員が応募したと発表した。薬剤師の有資格者がドラッグストアで店員として働くほか、地ビールの製造・販売をする会社を設立した社員もいる。社外で多様な経験を積ませることで、新しい発想を生み出し、行動力のある社員を育てる。
副業を認める「社外チャレンジワーク制度」は休日や就業時間外に社外で働き、収入を得ることができる。社員の有志による発案でつくられた。募集対象は入社3年目以降の国内正社員約1500人。希望する副業内容を上司を通さずに直接人事部に申告し、人事部の面談を経て認められれば始められる。競合企業を利するような仕事でない限りは、厳密な審査はしないという。3月上旬までの募集には、幅広い年齢層から60人強が手をあげた。
副業先の希望で最も多いのはドラッグストアだった。研究開発やマーケティングの部門に所属し、薬剤師の資格を持つ社員が「お客さんの生の声を聞きたい」と希望しているという。
変わり種は、生産管理を担当していた奈良県出身の社員が、同県初となる地ビールの製造・販売会社を立ち上げたケースだ。夏の中元シーズンに向けて、すでに地ビールを製造しているという。広報担当の社員の1人も、特定非営利法人(NPO)に参画した。
いったん募集を締め切ったが、今後は「社員の声を聞きながら制度運用の仕方などを柔軟に検討していきたい」としている。実際に経営陣が狙った効果が表れるかを見定める必要はあるが、副業を容認するロートの取り組みは産業界全体で注目を集めている。国内の大手企業は副業を禁じているところが多いが、多様な働き方を求める労働者からは解禁を求める声も増えている。ロートが一定の成果を示せれば、副業容認の機運が盛り上がりそうだ。
(中尚子)