かっぱ寿司、「脱カッパ」空回り 不振で赤字に

回転ずしチェーン「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトは10日、2017年3月期の最終損益が赤字に転落する見通しを発表した。従来は11億7700万円の黒字を予想していたが、59億400万円の赤字になる。昨秋、緑色の「かっぱ」でおなじみのロゴを変更するなどブランド戦略の見直しを実施したが、空回り。ライバル店との競合が激しく、収益が厳しくなった。かつて回転ずし業界のトップに君臨していたかっぱ寿司の苦闘が続いている。
客単価上昇の効果も一時的
カッパ・クリエイトが同日発表した2016年4~12月期の連結最終損益も55億7000万円の赤字(前期は20億6100万円の黒字)。同社によると、「競合他社の積極的な出店戦略を受けた競争の激化で来客数が落ち込んだ」という。また、人手不足による人件費の増加が利益を圧迫した。
同社がロゴの変更など「かっぱ寿司」ブランドの見直しに踏み切ったのは昨秋。消費者に定着してしまった「安っぽい」というイメージを払拭し、収益力を高める目的があった。新しいロゴは赤と金の皿を重ねたシンプルな図柄で、チェーン全体のブランドを一新して出直す決意の表れとも言われた。 ところが、新しいロゴを使った広告戦略も客単価の上昇などの効果が長続きしなかった。広告宣伝費や販売促進費が先行して発生したことも利益を圧迫したという。カッパ・クリエイトは収益の落ち込みを受け、全店舗の約3分の1にあたる105店の店舗の資産価値を見直し、13億2200万円の減損損失を計上した。
コロワイドの足も引っ張る
同社は2015年3月期にも不採算店や物流センターなどの減損損失として121億円を計上したことがある。2017年3月期も減損損失を計上したことは、かっぱ寿司の収益改善に苦労していることを示している。従来は2016年3月期並みの20円を見込んでいた配当も2017年3月期は無配に転落する。
収益力の低下は最終損益も悪化させた。将来の利益を見込んで計上していた繰り延べ税金資産の取り崩しが必要となったことから、法人税等調整額として37億1800万円を計上し、最終赤字に転落した。
カッパ・クリエイトを傘下に置く外食大手のコロワイドの業績も苦しい。10日、2017年3月期の連結最終損益が19億6800万円の赤字となる見通しを発表した。従来予想の23億9300万円の黒字から一転、赤字に転落する。
昨年はハンバーガー大手「フレッシュネスバーガー」を手掛けるフレッシュネスなどを買収。M&A(合併・買収)による事業拡大を進めているが、カッパ・クリエイトの業績不振に足を引っ張られた格好だ。かっぱ寿司の立て直しが求められている。
(浜美佐)