投資用マンション11年ぶり高値 4-6月、海外勢が買い
ワンルームマンションをはじめ投資用不動産の価格上昇が続いている。関連情報サイト大手が11日発表したマンション1室の価格は4~6月の全国平均で1550万円だった。1~3月に比べて3.8%高く、2006年1~3月以来、約11年ぶりの高値となった。個人や海外投資家の根強い需要が背景にある。
関連サイト大手の健美家(東京・港)が自社登録物件の情報をまとめた。マンション1室(区分所有)の価格は3年前に比べて2割以上高い。年間賃料を価格で割った投資利回りは7.06%と0.28ポイント低下し、05年の調査開始以降で最低だった。アパート一棟の価格は6505万円と1~3月比0.3%高く、06年1~3月以来の高水準だ。
すでに高値にある大都市も上昇が止まらない。情報サイト大手のファーストロジックによると、東京都はマンション1室の平均価格が4~6月は1963万円と1~3月に比べて2.5%上昇。大阪府も1.1%上がった。利回りも低水準だ。
値上がりを支えているのは中国人投資家の購入だ。中古ワンルームマンション買い取り・販売のランドネット(東京・豊島)によると「中国の顧客を抱えた仲介業者への販売がこの半年で増えた」(栄章博社長)。中国は不動産価格の高騰が続いているため、日本の物件は割安に映るようだ。
個人の需要も根強い。中古ワンルームマンション販売の和不動産(東京・千代田)の仲宗根和徳社長は「老後に備え30~40代が購入するほか、50代以上で相続をにらんで投資する人も多い」と話す。現役世代の場合、マンション1室に投資するのは「年収600万~800万円前後が多い」(オリックス銀行)。
相対的に価格が安い地方の投資も活発だ。徳島県に住む40代の男性会社員は「東京の投資家が購入する例が増え、県内の投資物件の価格が高くなっている」とこぼす。愛知県の40代の男性投資家は昨年9月に名古屋市内の築10年超のマンション1棟を1億8000万円で購入したという。
建築コストが高止まりしているため、今後も「投資用不動産の価格はしばらく大きくは下がらない」(りそな銀行)との見方は多い。一方で「金融機関の一部が融資姿勢の引き締めに転じている」(大手銀)との声もある。これまで金融機関の積極的なアパートローン融資が価格を支えてきた面も大きいだけに、引き締めの動きが広がれば価格動向にも影響が及びそうだ。