75歳以上の逆走や信号無視、認知機能検査を義務化 警察庁案
警察庁は15日、75歳以上の運転免許保有者が逆走や信号無視などの違反行為をした場合、ただちに認知機能の検査を義務付けることを柱とする道路交通法改正原案をまとめた。検査で「認知症の恐れがある」と判断されれば、医師の診断書提出も義務付けられ、認知症と診断されれば免許は取り消し・停止になる。
同庁は意見募集をした上、通常国会に改正案を提出する。
現行法では、75歳以上の高齢者ドライバーは3年に1度の免許更新時に認知機能検査が課されている。検査で「認知症の恐れがある」(1分類)、「認知機能が低下している恐れがある」(2分類)、「低下の恐れがない」(3分類)に分類。1分類の人が信号無視などの違反をした場合、医師の診断が必要になる仕組み。
同庁によると、高齢者を対象にした調査で、認知症の恐れがある人はそうでない人に比べ、信号無視が2.3倍、一時不停止が1.8倍あった。このため「75歳以上で一定の違反があれば、免許更新の時期を待たず、認知症の疑いを調べる必要がある」と判断した。
改正原案では、道路の逆走、信号無視、一時不停止などの違反行為をした75歳以上のドライバーに、免許更新時と同じ認知機能検査を義務付ける。「認知症の恐れがある」(1分類)との結果だった人には、医師の診断書提出も義務付ける。
これに合わせ、免許更新時の検査で1分類だった人にも医師の診断を受けることを義務付ける。
同庁によると、免許更新時の検査で1分類とされた3万4716人(2013年)のうち、その後に医師の診断を受けて診断書を出したのは524人(1.5%)。実際に認知症と診断され、運転免許が取り消し・停止となったのは118人だった。
同庁は「1分類とされたほとんどの人が医師の診断を受けずに運転を継続している」として、違反がなくても診断を義務付けることにした。診断書提出がない場合、免許停止や取り消し処分にする方針だ。
全国の交通死亡事故は03年の6892件から13年は3854件と4割以上減ったが、75歳以上の高齢者が運転する死亡事故は380~460件と横ばいとなっている。