宇宙空間にアミノ酸のもと存在 国立天文台が発見
生命を構成する要素であるアミノ酸のもととなる物質が、星が誕生している近くの宇宙空間に存在しているのを見つけたと、国立天文台の研究チームが10日発表した。
生命の起源になり得るアミノ酸が宇宙空間で作られている可能性を示す成果。大石雅寿天文データセンター長は「地球以外の星にも生命が存在する期待が高まる」と話している。
生命は、彗星(すいせい)や隕石(いんせき)に取り込まれて惑星に運ばれたアミノ酸などが起源とする説があるが、宇宙空間ではアミノ酸は見つかっていない。
チームは、地球から5500光年と2万8千光年離れ、星が活発に作られている2つの領域を野辺山宇宙電波観測所(長野県)の大型電波望遠鏡で調べた。その結果、「メチルアミン」という分子が大量に存在することを発見した。
メチルアミンは二酸化炭素(CO2)と反応すると、最も簡単な構造のアミノ酸である「グリシン」になる。CO2分子は宇宙空間に豊富にあることから、チームは宇宙でグリシンができる過程が説明できるとしている。
成果は11日から山形市で開かれる日本天文学会で発表する。〔共同〕