部落差別解消推進法が成立 罰則ない理念法
部落差別の解消を目指し、国や自治体に相談体制の充実や実態調査を求める「部落差別解消推進法」が9日、参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。罰則のない理念法。自民、公明、民進の議員が今年5月に共同提出していた。
推進法は「現在もなお部落差別は存在する」と明記。「基本的人権を保障する憲法の理念にのっとり許されない」として対策を求めている。
法務省によると、同和問題に関する人権侵犯事案は減少傾向にあるものの、法務局が調査を始めた件数は2011~15年に年間85~137件で推移している。インターネット上に同和地区として特定の地域を書き込むケースもある。
部落差別問題は00年施行の人権教育・啓発推進法に基づく基本計画で、高齢者や障害者などとともに重点課題として列挙された。
1969年に制定された同和対策事業特別措置法により、同和地区で公民館の設置や道路整備が進められ、生活環境の改善が図られた。02年に事業が終了し、それ以降は同和対策に関する法律がない状態が続いていた。〔共同〕