低所得者ほど米・パン摂取 厚労省調査、野菜・肉類は少なく
世帯の所得が低いほど米やパンなど穀類の摂取量が増え、野菜や肉は減少することが9日、厚生労働省がまとめた2014年の国民健康・栄養調査で分かった。所得が低いと健康診断を受けていない人や喫煙者の割合が高くなることも判明。厚労省は「生活にゆとりがなく、多くの食材を使うなど手間をかけることを避けている可能性がある」とみている。
調査は昨年11月、無作為抽出した全国の約5400世帯を対象に実施。有効回答を得た約3600世帯を分析した。所得と食生活全般の関係を調べたのは初めてという。
米やパン、麺など穀類の1日当たりの摂取量は、世帯所得が600万円以上の男性で494グラムだったのに対し、200万円~600万円未満は520グラム、200万円未満では535グラムだった。女性もそれぞれ352グラム、359グラム、372グラムと、所得が低いほど量が多くなった。
一方、野菜の摂取量は所得600万円以上の男性は322グラム、女性313グラムだったのに対し、200万円未満では男性253グラム、女性271グラムに減少。肉も野菜と同様に開きがあった。
健康診断を受けていない人の割合も低所得者ほど高く、男性では200万円未満で42.9%に上った。600万円以上は16.1%。喫煙者の割合も同様で、特に女性では600万円以上が5.6%に対し、200万円未満は3倍近い15.3%だった。歯の本数が20本未満の人の割合も男性は約13ポイント、女性は約5ポイントの差があった。
厚労省は「所得の低い人は時間的にも精神的にも余裕がなく、食事のほか、歯磨きなどの日常のセルフケアにまで意識が回りづらいと考えられる」と分析している。