図書館で目当ての本を探し出すコツ
図書館で本や資料を効率的に探すには、どうすればいいのだろう。神奈川県立図書館(横浜市)で「横浜港開港」について調べたいと司書に相談すると「開港時の何を調べたいのですか」などと聞かれた。「取り扱い貨物」と答えると、蔵書から「横浜港史」「横浜市史・資料編」「横浜税関120年史」などを選んでくれて、明治元年(1868年)からの統計があることがわかった。
司書をフル活用しよう
図書館で本を探す場合、「漠然とした質問をする人が多いが、重要なのはテーマを具体的に絞り込むこと」と同館の古根村政義さんは指摘する。「司書との会話で問題やテーマがより明確になる」という。蔵書検索の際の的確なキーワードなども相談でき「独力で探すより効率的」だ。

目指す本が最寄りの図書館にない場合はどうするか。日本図書館協会(東京都中央区)事務局によると、全国に公共図書館は約3千カ所あり、都道府県ごとに各公共図書館の蔵書などを横断検索するシステムがほぼ整っている。
自宅のパソコンからも検索可能
このため自宅や職場、図書館のパソコンからまず各都道府県立図書館のホームページ(HP)にアクセスして検索すれば、どこに本があるかわかる。地域や条件によっては最寄りの図書館に依頼し、取り寄せることも可能という。
全国の図書館にある本や資料を探す方法としては、今年1月から正式に稼働した「国立国会図書館サーチ」が役立つ。
国会図書館の蔵書のほか、デジタル資料、インターネット上にある官公庁のHPやPDF資料、公共図書館、大学図書館、専門図書館など約200のデータベースをカバーする。「7000万件の蔵書やデジタル資料の中から、目的のものを探せる」(国会図書館の小沢弘太さん)
パソコンから国会図書館サーチのHPで検索できる。実際に国会図書館に足を運んでそれぞれの専門室の係員に相談すれば、より効率的な検索が可能だ。
約6000カ所から検索

民間版の「カーリル」というサービスもある。6月4日から従来のサービスを新会社のカーリル(岐阜県中津川市)が引き継ぎスタートした。
カーリルは全国の公共図書館や大学図書館、専門図書館など約6千カ所が検索対象。HPで自分の住む地域を選択し、書名や著者名などのキーワードを打ち込むと、目指す本がどの図書館にあるかや現在貸し出し中かなどの情報を無料検索できる。
「このサービスを知ってから、近くの図書館によく行くようになったというユーザーも多い」とカーリルの杉山和世さんは話す。
このほか、国立情報学研究所連想情報学研究開発センターの技術を使った検索サービス「想 イマジン」を使うと、18のデータベースから新刊書や古書店の在庫などを調べられる。
図書館の特徴に応じた使い方も覚えておきたい。「ビジネス支援」を売り物のひとつにするところもある。
たとえば東京都立中央図書館(港区)は「調査研究を主眼にビジネスに役立つ資料を豊富にそろえている」(同館の林輝生子さん)。1階のビジネス情報コーナーには18分野約5000冊の図書類が並ぶ。各業界の市場動向や、取引先の財務状況など様々なことが調べられ、さらに詳しい関連図書も閲覧できる。

無線LANが使える閲覧室(144席)などもあり、就職活動時の業界・会社研究や、会社の会議のプレゼンテーション用の資料づくりなどにも有用だ。会社員の利用も多いという。
(編集委員 小仲秀幸)
[日経プラスワン2012年6月23日付]