安倍晋三氏暗殺から1年
安倍晋三氏暗殺事件から1年が経過する。
安倍氏が銃撃された現場で山上徹也被告が身柄を確保された。
山上氏が製作した銃砲から2回の砲撃があったと見られる。
その砲撃によって安倍晋三氏が殺害されたとの見立てで山上氏が拘束、逮捕された。
山上氏は逮捕後に5ヵ月半におよぶ鑑定留置を受けた。
その後、奈良地検は山上氏の責任能力に問題はないと判断し、殺人などの罪で起訴した。
さらに、本年3月30日、銃刀法違反や火薬類取締法違反などの罪で追起訴した。
選挙を妨害したとする公職選挙法違反については嫌疑不十分で不起訴とした。
今後、裁判官、検察官、弁護人の三者による証拠や争点などを整理する公判前整理手続きが行われ、その後に公判が開かれる見通し。
公判は裁判員裁判で審理される見通し。
初の公判前整理手続きは6月12日に奈良地裁で予定されていたが延期された。
非公開の公判前整理手続きに山上被告も出席するはずだったが、奈良地裁に不審物が届いて騒ぎにされたため中止になった。
その後、公判前整理手続きの日程は決定されていない。
裁判員裁判の対象事件では、初公判の前に公判前整理手続きで争点や証拠を絞り込み、証人尋問の予定などを詳細に決定する。
公判前整理手続きに要する平均的な期間は2021年の場合で10.4ヵ月(最高裁)。
仮に7月に整理手続きが開始されても、来年半ばまで要する計算になる。
このため、初公判は来年後半にまでずれ込むことが予想されている。
事件発生後、旧統一協会の反社会的活動と自民党との深刻な癒着関係がクローズアップされた。
殺害された安倍晋三元首相も旧統一協会と深い癒着関係にあったと見られている。
岸田内閣支持率は昨年7月以降に急落したが、その要因として、極めて深刻な反社会的活動が問題とされる旧統一協会と自民党ならびに安倍元首相との関係を十分に調査しようとしない岸田首相の姿勢が挙げられた。
山上被告の事件が公判で審理されると、再び旧統一協会ならびに自民党との癒着関係がクローズアップされることが想定される。
自民党は衆院総選挙前にこの問題が拡大することを恐れていると考えられる。
山上被告の公判が開かれる時期をなんとか衆院総選挙後に先送りしたいとの思惑が透けて見える。
岸田首相は宗教法人に対する解散命令請求を裁判所に発出するための要件を、当初は刑事事件に限定したが、批判が強まると民事事件も事由になると政府方針を変更した。
その上で、旧統一協会に対する解散命令請求を発出する方向性を強く示唆した。
しかし、これまでのところ、解散命令請求発出は具体化されていない。
山上氏公判開始で旧統一協会の反社会的活動が再びクローズアップされると総選挙投票行動に影響が生じることが想定される。
この意味で山上氏被告事件の日程設定は政権の意向を強く反映するものになると想定される。
しかし、より本質的な重大問題が残されている。
それは、安倍晋三元首相殺害の物理的な経緯が明らかになっていないこと。
山上徹也被告は昨年7月8日午前11時半ごろに、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で、参院選の応援演説をしていた安倍氏の背後から手製のパイプ銃を至近距離から2回発砲し、安倍氏を殺害したとして逮捕・起訴されている。
警察は司法解剖の結果、安倍氏の死因は左上腕部を撃たれ動脈を損傷したことによる失血死だったと発表した。
しかし、首に2ヵ所、銃で撃たれたことによる傷があったとされる。
安倍氏が倒れる瞬間の動画映像が流布され、安倍氏が着用していたワイシャツの襟が弾丸による風圧によって一瞬立ち上がる場面が映し出されている。
しかし、その弾丸と見られる物体の飛行経路が山上氏の位置から発射されたものとは考えにくいという事実がある。
被告側がどのような主張を示すのかによって審理内容が大きく変化する可能性があるが、少なくとも検察は安倍氏殺害のプロセスを客観的に立証する責務を負うことになる。
その説明に合理的な矛盾が生じる場合、山上氏が殺害したという起訴事実そのものの立証が困難になることも考えられる。
山上氏が製作した銃砲がどのような弾薬を用い、銃砲から弾丸がどのように発射され飛行するのかについても、合理的な説明が求められることになる。
この事件の立証には幾重もの難関が存在するものと思われる。
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