宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

鶴保庸介・委員長でスタート、石破茂「3・11は自民党政調会長で名古屋市で選挙カーに乗っていた」

2025年03月05日 18時10分36秒 | 第217通常会 2025年1月召集
[写真]参議院第一委員会と一般傍聴席(衆と逆で1階が一般傍聴席)、宮崎信行撮影、院の許可で撮影・所持・掲載しており、通常はここで写真は撮れません、今から8年前の2017年。

 参議院自民党は今国会召集日に4人だけ委員長を入れ替えました。予算委員長は衆転を断念した鶴保庸介・元議院運営委員長が新しく選ばれました。第一委員会室の鶴保さんといえば「3・11」のときの決算委員長としてのすばやい暫時休憩。枝野幸男官房長官が「枝野出る、SPどこ」と走り去った後の職権による散会。よく考えれば、今の衆議院の安住淳予算委員長のような采配だったことになります。「成立させた後に集中審議5本」で与野党が合意した国会対策委員長が羽田雄一郎さん、副委員長が水岡俊一さんだったことも書き添えたいところです。

 資本主義の世界で驚くことがあり、第44代衆議院議長と秘書が設立した「西友」を「トライアル」が完全買収しました。福岡市東区に本社があり8000億円を売り上げて200億円の利益をあげている会社のようで、ことし富山、静岡新規出店をひかえていたらしいです。堤康次郎さんは清和政策研究会の共同創設者ですから、すべて落城しました。

【参議院予算委員会 きょう令和7年2025年3月5日(水)】
 「令和7年度予算案」について、衆での地方公聴会にあたる委員派遣1泊2日を既に済ませていますので、きょうは1日目とも、2日目ともいえます。便宜上1日目とします。

 財務大臣の趣旨説明に続き、松本洋平・自民党政調事務局長が衆議院修正部分を説明しました。

 松本さんの衆議院修正部分の説明は次の通りです。

 「ただいま議題となりました令和7年度一般会計予算、特別会計予算につきまして、衆議院における修正の趣旨および概要についてご説明申し上げます。今回提出されました令和7年度予算は、コストカット型経済から高付加価値創出型経済への移行を確実なものとするとともに、我が国が直面する構造的な変化への的確な対応や、国民の皆様の安心安全の確保のために必要なものであり、本予算の1日も早い成立は国民各層から強く望まれているところです。衆議院予算委員会におきましては去る1月30日、政府から提案理由の説明を聴取し、その後予算の内容に関し、熱心な審議が行われました。ここでの充実した議論も踏まえながら、各党との間で真摯な政策協議が進められ、こうした熟議の結果として修正を行うこととした次第であります」

 「修正の内容について申し上げます。まず、一般一般会計予算については、第1に、いわゆる高校無償化について令和8年度予算編成において、成案を得て、実現するまでの先行措置として全世帯を対象とする支援金の支給に係る収入要件の事実上の撤廃高校生等奨学給付金や公立の専門高校の施設整備に対する支援の拡充を行うこととし、一般会計歳出について1064億円を修正増加することとしています。第2に、高額療養費制度について、制度を将来にしっかりと引き継いでいくための見直しは不可欠である一方で、患者団体などからの不安の声が多く寄せられたことを踏まえ多数回該当の方の自己負担額の見直しはせずに据え置くと据え置くこととし、一般会計歳出について55億円を修正増加することとしています。第3に、所得税について、低所得者層の税負担に対して配慮する観点や物価上昇に賃金上昇が追いついていない状況を踏まえ、中所得者層を含めて、税負担を軽減する観点から、所得税の基礎控除の特例を創設することとし、一般会計歳入について、6210億円を修正減少することとしています。第4に、地方交付税交付金について、所得税収の減収により法定率分が減少することに伴い、一般会計歳出について2056億円を修正減少することとしています。第5に、税外収入について、独立行政法人からの納付金、基金からの返納金等で追加で確保することとし、一般会計歳入について、2793億円を修正増加することとしています。第6に予備費を減額することとし、一般会計歳出について2500億円を修正減少することとしています。第7にこれまで申し上げてきた歳出歳入の修正の結果として、公債金を減額することとし、一般会計歳入について19億円を修正減少することとしています。これらの結果、一般会計予算の歳出歳入の総額について3437億円を修正減少することとしています。次に、特別会計予算については、労働保険特別会計について、社会保険にかかる年収の壁による働き控えの解消に向けた措置を行うことに伴う所要の修正を行う他、交付税および譲与税配付金特別会計および東日本大震災復興特別会計についても、所得税収の減に伴い所要の修正を行うこととしています。以上が衆議院における修正の趣旨とその概要であり
ます」。

 以上が、松本さんによる衆修正部分の説明でした。

 基本的質疑の3日間のうちの1日目(第1巡目の前半)のトップバッター田名部匡代さんです。鶴保さんらのもと、審議冒頭から、国会クラスタで言うところの「さす参(さすが参議院)」が見られました。見直し凍結が多数回該当に限られた、高額療養費をめぐり、当事者が審議に参加しました。

 田名部さんは「本日は全国がん患者団体連合会理事であり、スキルス胃がん患者家族会認定NPO法人希望の会理事長の轟裕美さんに参考人としてお越しをいただきました。お忙しい中お越しをいただきまして本当にありがとうございます。そして、参考人の出席をお認めいただきました委員長はじめ与野党理事の皆様にも感謝を申し上げたいと思います。それでは参考人に伺います。まず初めに制度見直しに関して訴えたい思いなどがあれば、率直なご意見を聞かせていただきたいと思います」と述べました

 参考人は「ここにあるこのアンケートに寄せられた3600名を超える声の中には、がんに限らず、高額療養費制度を利用している様々な疾患の方から治療費のために仕事をしている。現在の限度額でも苦しく、カードのリボ払いを利用しているなどの切実な状況が寄せられているのです。今回の大幅な引き上げにより治療を諦める方をうんでしまうことは確実であることから、今回、今年8月からの初年度引き上げもやめていただき、命のために、まずは一旦立ち止まっていただきたいと切に願っております」と語りました。

 首相は「私自身も身内を何人もがんで亡くしております。患者の皆様方のご意見、これは衆議院におきましても、酒井なつみ議員はじめ大勢の方から承りました。いかにしてこの制度を続けていくかということを私どもとして、国家に対する責任国民に対する責任として考えていきたいと思っております。今のお話は十分に承っております。これを聞いて心震えない人間はいないということは申し上げておきます」と語りました。田名部さんが参考人が示した3600名のアンケートに関して「アンケートをお渡ししたいと目を通して欲しいとおっしゃってるんですよね。そのアンケートを直接受け取っていただく時間を設けていただけませんか」と促すと首相は「結構です、承ります、頂戴しましょう」と答弁しました。

 自民党は、福島、京都府連に属する佐藤正久さんに続いて、森まさこさん=第27回参院選福島選挙区公認内定=が登場。森さんは「あと6日で3月11日、東日本大震災の14年となります。あの日、国会審議中でした。この部屋でした。我が党の委員が、総理に質問をしている最中大きなシャンデリアが大きく、揺れました」と振り返りました。

 当時の国会は、与党・民主党の玄葉光一郎政調会長兼大臣、野党・自民党の石破茂政調会長、公明党の石井啓一政調会長が特例公債発行法案をめぐって協議をしており、岡田克也、石原伸晃両幹事長らが水面下で話し合っていました。最初の3党合意が、翌年の社保税3党合意となりました。私も初めて知りましたが、石破茂の「3・11」は名古屋にいました。金曜日午後でしたから代議士が東京にいる必要はありません。首相は「当時政調会長でございました。金曜日だったと思いますが。名古屋の市会議員選挙があり、私は選挙カーに乗ってました。やたら揺れました。中京地区で地震があったのかと思いましたが、それはもう選挙事務所に帰ってみてこういうことだったんだということを承知をして、その日はその後、新潟に行く予定にしておりましたんで、セントレア空港から新潟まで参りましたが、その後どうにもならなくてというようなことで、翌日朝一番に谷垣総裁のもとで会議をいたしました」と述べました。

 気象庁ホームページによると、名古屋市内は、震度4または3だったようです。首相は来週3月11日(火)に現地主催の式典に出席することを、官房長官が既に発表していますので、その日は一般質疑となるでしょう。

【衆議院】
 ありません。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2025年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

来年度予算案及び税法は「自公修正すべきだ」と議決し衆議院通過、結果は「所得控除が2年暫定で超複雑化」の皮肉となったが胸を張れ玉木代表、ザイム真理教の壁が突破される

2025年03月04日 17時59分12秒 | 第217通常会 2025年1月召集
 ハングパーラメントの令和7年度予算案は、自公維3党首合意にもとづく、自公修正によって「政府原案通りに修正すべきものだ」との委員長報告を賛成多数で議決し、参議院に送りました。

 宮崎信行は非・記者クラブメディアでだた一媒体だけ「自公国の政調・税調」「自公維の政調」「自公立の政調」すべてを取材する歴史の証人となりました。

 維新が昨夕の両院議院総会で決めたことで、「所得税法改正案」(217閣法1号)「地方税法改正案」(217閣法2号)「地方交付税法改正案」(217閣法3号)は自公修正が議決され、荷崩れせず参議院に送られました。

 委員会では、このうち、基礎・給与所得控除が引き上がられ、課税最低限が上がることで、非課税世帯への給付金で混乱することが指摘されました。所得税の国の減収で地方交付税への譲与が2056億円減る見通しが与党議員から示されました。これについて、維新の高校授業料無償化プログラム第1弾1000億円の「財源」となっている交付税及び譲与税特会の「繰上返済」をスピードダウンすることで地方交付税も措置される見通しとなりました。ですから、非課税世帯の給付金で、国会の審議が必要になるかもしれません。

 さて、29年前の修正は、筆者は新進党が主催したデモに初めて参加しました。自分がデモに参加して予算が修正される勝率100%で、成功体験がとても大きいです。それは、時機と先輩たちに恵まれたというだけのことだと思います。それが1人の80年の人生と政治の関係性のすべてです。

 10月の総選挙では、玉木雄一郎個人商店こと国民民主党が前回参院選の「給料を増やす」を、SNSの数字で、「手取りを増やす」にして躍進。少数与党で、自公国政調、自公国税調が開き、3党幹事長合意となりました。そして、今年は、自公国税調、自公維政調、自公立政調の3つが開き、自公維が議決されました。一方、自公国税調では、ザイム真理教、自民党本部密室政治のラスボスである宮沢洋一さんが議員会館内共用会議室に引っ張り出される事態となりました。さらに、自公のブリーフィングの際、最後の2回は、会議室の扉が開きっぱなしで行われる信じられない光景が現実となりました。すべて玉木さんの勘所と、古川元久さんの深い知識が成し遂げたことです。ところが、オープン化の反動で、所得税法は逆に複雑になることになってしまいました。新法による確定申告は来年ですが、確定申告をしている人には愚の骨頂だと分かる改悪ですから、7月の参院選が楽しみです。

[写真]自公国税調、2025年2月18日、宮崎信行撮影。

[写真]自公国税調後の、自公の税調会長のブリーフィング、扉が開いている、2025年2月21日、宮崎信行撮影。

[写真]自公維政調会長、2025年2月21日、宮崎信行撮影。

[写真]自公立政調会長、2025年2月18日、宮崎信行撮影。

【衆議院本会議 きょう令和7年2025年3月4日(火)】
 「令和7年度予算案」は投票総数459、賛成258、反対201の賛成多数で委員長報告通りに修正すべきだと決まりました。

 先週火曜日に議了した公選法改正案がようやく議題となり「ポスター品位規定と罰則法案」(217衆法9号)は令有反対それ以外の賛成、「ポスター・選挙カーの規格を各級選挙で完全統一法案」(217衆法10号)は全会一致で可決し、各々、参議院に送られました。これも批判を気にしてか、小泉進次郎元環境大臣が議員立法の主導的な提出者として名を残しました。

 「地方税法改正案」(217閣法2号)、「地方交付税法改正案」(217閣法3号)は自公修正通りに議決すべきだと可決し、参に送られました。

 「所得税法改正案」(217閣法1号)は自公修正通りに議決すべきだと可決し、参に送られました。

【衆議院予算委員会 きょう令和7年2025年3月4日(火)】
 「令和7年度予算案」は20日目。締めくくり質疑は例年3時間ですが、ことしは2時間でした。修正案の提出者も答弁しました。その後、共産などから組み替え動議が提出されました。上述の通り修正議決されました。

【衆議院財務金融委員会】
 「所得税法改正案」(217閣法1号)では、インナー座長の後藤茂之さんが自公修正案を提出して、答弁もしました。税調インナーが国会で答弁することは過去になかったことです。立憲の大西健介税調会長は、ガソリン税旧暫定税率の撤廃の租税特別措置法改正案の趣旨説明をしました。上述の通りに修正議決されました。

【衆議院総務委員会】
 「地方税法改正案」(217閣法2号)と「地方交付税法改正案」(217閣法3号)の閣法と修正案の反対討論。れいわ新選組の比例東海の単独4位ながら、小選挙区供託金没収者を追い越して、2位で議席を得た、上村英明議員が立ちました。早大院修了の元大学教員ということで、中卒の山本太郎代表の積極財政理論の正しさに惹かれて出馬したのでしょう。

 上村さんは「本来であれば税収増を反映して地方に配分できるはずの地方交付税を減額して借金返済に使っており、物価高騰に苦しむ地方自治体をさらに苦しめているのではありませんか」と予算の財源を批判したうえで税法について「令和7年度分の税制改正の影響は令和8年度の住民税に影響します。その際に、住民税非課税世帯がどの程度増えるのか。先ほどもありましたけれども国はシミュレーションしているのかという議論となりましたが十分に把握していないことが判明いたしました。仮に非課税世帯が増加するのであれば、各自治体における補助金等の非課税世帯に対して講じている様々な住民サービスに影響が出る可能性はありませんか。自治体によってはそのシミュレーションをして、多額の負債が生じること生じているとする場合もあります。政府は、非課税世帯向けの支援の住民サービスをしっかりと継続できるように、そのための財源措置を十分に行っていく考えが必要だというふうに思います」と語りました。この論点は、参議院予算委員会に引き継がれました。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2025年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

村上誠一郎総務大臣が「やむを得ない事情」で本会議を退席し地方税法中断もその後戻り「ネイチャー・コールズ・ミーだ」と答弁も健康不安説も出そうか

2025年03月04日 16時39分48秒 | 第217通常会 2025年1月召集
[写真]村上誠一郎総務大臣、きょねん3月18日、宮崎信行撮影。

 衆議院本会議は、予算案の通過後に、「地方税法改正案」など2法案の審議となりましたが、主管大臣の村上誠一郎総務大臣がひな壇・一般席のどちらにもいないため、額賀福士郎議長が、開会のまま一時的に中断させました。額賀大臣は「やむを得ない事情で退席している」と語りました。その後、大臣が戻りました。議長は総務大臣が戻り、大臣に発言させ、「英語で言うと、ネイチャー・コールズ・ミーだ」などと語りました。

 なお登壇していた立憲の松尾明弘さんは、偶然にも、村上さんの大学同級生で義弟の同党常任顧問の岡田克也さんの元インターン。

 予算は議了しましたが、地方交付税法改正案で、所得減税およそ6000億円に伴う譲与税の減収分およそ2000億円を、交付税及び譲与税特会の償還の一部を遅らせることにする修正も含まれており、議了が遅れそうです。

 地方税・地方交付税を所管する総務大臣が、予算の参議院通過前に辞任したことはおそらくないものの、巨漢で杖を使うことも多い村上大臣の健康が不安視されることになりました。但し、村上さんは以前から巨漢で、十数年前にも、記名投票から降壇する際に勢いが止まらず、そのまま議員席の最上部まで駆け上がってしまったことがあります。このときは、事情で無所属となった自民党有力議員が声をかけて「久しぶり」という風情で話すという「照れ隠し」をしました。カメラマンも無所属席で始まった会談に一斉にカメラを向けましたが、すぐに事情を察して、投票箱に戻りました。このときは「照れ隠し」をしましたが、きょうの本会議では正直に公開しました。少数派閥の河本派所属時代にも自民党総裁選をめぐり小渕派から2人目の出馬の動きを示した梶山静六さんとあった際には、全速力で記者団から逃げました。なので、長く小選挙区で当選し、政治をしています。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2025年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

財源は意外なところに「税収増で2・8兆円繰上返済する予定の半分ぐらい」歴史的な予算・税法の議院修正の審議が大詰めに

2025年03月03日 17時11分31秒 | 第217通常会 2025年1月召集
[画像]来年度予算案の特別会計、紙の82ページ、PDFの89ページ。

 17年強やってきて今が一番楽しいです。例年、衆・予算審議が始まると、前月比で微減微増に頭打ちする珍現象があるのですが、ことしは前月比25%増の月8・5万PV前後と往年に近い数字になりました。

 頭の体操ですが、維新が予算案と税法案に仮に「欠席」しても、自公だけの賛成で可決しますが、出席以外の院の46%だけの賛成になります。給特法などの対決法案で、少数与党の石破茂内閣の弱さが参院選の前後まで続くことは間違いありません。

【衆議院予算委員会 きょう令和7年2025年3月3日(月)】
 「令和7年度予算案」は19日目ですが、「自公修正案」「立憲修正案」の審議は実質初日になります。集中審議5本目「内外の諸課題」のタイトルの中で答弁しました。

 自公維3党合意の「財源」について、自民党の松本洋平政調事務局長は「交付税及び譲与税配付金特別会計の償還を0・2兆円前倒しする」等が財源だと述べました。この自公修正案の答弁を聞いて、私も調べたら、令和7年度予算で2・8兆円の借入金を繰上返済等で減らすことになっています。このお金は、財務省理財局が市中銀行に入札させて金利が安いところに落札して借り入れるお金で、国債とは全く違うお金です。一時は33兆円ほどあったと思いますが、今は28兆円ほどだったようで、資本主義の時計の進み方で繰上返済を数か月分だけやめて財源にするという話でした。松本さんは3党協議スタートにあたり自民党本部での政調役員会から小野寺さんと2人で議員会館内の与党政策大会議室に移動して3党協議をした際「やべ、党本部にカバンを忘れた」のに党職員が「持ってきました」とフォローしてくれたように、様々なフォローをもらっているようです。

 2010年から2012年の「ねじれ国会」での3党合意で頭角を現し野田佳彦元首相らの信頼があつい後藤祐一・国対委員長代理も質問しましたが、きょうの審議で、高額療養費とガソリン税暫定税率をめぐって首相から新しい答弁はありませんでした。「ねじれ」の与野党修正で頭角を現して連続当選し続けている人は、ことごとく東大法学部卒のキャリア官僚出身なので、その界隈については、若手は蚊帳の外でいる方が連続当選できるでしょう。早稲田ゆきさんの質疑で、高額療養費引き上げプログラムで、現役世代の社会保険料が月250円の負担増にあることがわかりました。社保をめぐる給付と負担の議論は必要です。

 古川元久税調会長は質問者として、後藤茂之インナー座長が答弁者として登場。インナー座長が委員会で答弁するのは歴史的。これだけでも、玉木ショックの意義がありました。

 宮沢、後藤、古川各氏との税協でちんぷんかんぷんだったはずなのに、法案に提出された所得制限案をリードした赤羽一嘉・公明党税調会長が質問に立ち、「私も当事者の1人として、(前の質疑者の)少し古川さんに強めに言われたんで少し個人的なショックを受けてます」と述べました。この後、経緯をパネルで説明しました。最後には、中野洋昌・国土交通大臣に「後輩がんばれ」としました。ところで、西田まこと幹事長は、税調顧問なので3党協議に出られないのは当然として、公明新聞を斜め読みするかぎり、埼玉県本部代表だと思いますが、石井啓一さん落選の責任はとったのでしょうか。

 赤羽さんは、「所得税法改正案」(217閣法1号)の基礎・給与所得控除の103万円の壁の引き上げが閣法が可決すると123万円で、赤羽案が可決すると段階的所得制限付きの160万円になることについて、次のように語りました。「高額所得者に対する優遇とならないように工夫をすべきじゃないかということで」「公平でかつ幅広く、行き渡るということで、こうした案を提案をし、与党の案として国会に提出をするという至ったわけでございます」と語りました。第217回通常国会で、あっさりザイム真理教の罠に嵌ったの赤羽さんというダークホースでしたが、玉木ショックの価値は大いにあり、財務省解体論はさらに勢力を増し参院選の主要な争点になりそうです。

 また、合区解消について、神奈川維新の大幹部で馬場伸幸さんと親しい金城龍那さんが選挙制度について、自民党総裁が参議院議員会長を任命できないのだから、小選挙区比例代表制度は見直すべきだとしました。旧民主党の比例九州・沖縄ブロックについて、岡田克也、大串博志さんともめたので、無所属で活躍する緒方林太郎さんは合区の解消を求めました。石破茂首相も前向きな答弁をしました。来年2月以降にまとめる選挙制度をめぐる協議では、逢沢一郎座長が「国立国会図書館が調べたら、人口だけでなく面積にも配慮すべきだとする憲法が北欧の2つある」というところからスタートしましたが、金城さんがすべてを改憲に結び付けるので、他の党の実務者が閉口してしまいました。今回、人口1票の格差ではない面積条項を改憲によって合憲化する案が、維新実務者、自民総裁、有志の会連続当選者で一定の理解ができました。既に始まっている衆・議運理事の協議に弾みがつくかもしれません。

 あす9時から締めくくり質疑を2時間することが決まりました。正午にも「政府原案を修正して議決すべきだ」との委員長報告が決まり、本会議にすみやかに上程されるはこび。

●立憲、国民の政調会長は、ガソリン税旧暫定税率を廃止するための租税特別措置法などの改正法案の共同提出で合意して記者発表し、立維国の共同再提出
をめざし一両日中に結論が出ます。

【衆議院議院運営委員会理事会】
 月曜日ですが、午後2時に設定されました。

【参議院】
 ありません。

●あすの予定 衆議院本会議は公報上午後1時に設定されました。委員長報告では、渡辺周・政治改革特別委員長が「公選法改正2法案」(217衆法9号及び10号)を報告することになります。その後に、予算委員長が登壇へ。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2025年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「高療」壮大なぬか喜びに終わるも、「自公」「立憲」の予算修正案、税法改正法修正案が出そろい、来週さらに緊迫の政局に

2025年02月28日 17時22分59秒 | 第217通常会 2025年1月召集
[写真]立憲民主党の野田佳彦代表と当選2回(酒井なつみさん=補選初当選とみなし同期当選)の吉田はるみさん、今月2日、東京・荻窪で、宮崎信行撮影。

 壮大なぬか喜びとなってしまいました。高額療養費の「見直し」を石破茂首相は表明しましたが、段階的引き上げのプログラム第1弾「来年度の200億円」はてつかずとなりました。自民党のことだからどうせ生命保険協会から締めあげられたのでしょう。予算案は自公案と立憲案が各々提出され、税法も自公「160万円の壁」修正案が提出されました。予算案の所得税収減額の前提である税法に賛成せざるをえないという匕首が日本維新の会につきつけられてしまい、政局は来週さらに緊張するというすさまじい展開となってきました。一言でいうと、維新の2期生執行部は馬鹿だねえという気がします。

【衆議院予算委員会 きょう令和7年2025年2月28日(金)】
 「令和7年度予算案」は18日目で、分科会の2日目と、集中審議4本目「政治改革等」がありました。前日の松本元事務局長の参考人で「疑惑はさらに深まった」とし、立維国共有の野党5党派は一致団結して下村・塩谷・西村・世耕4氏の参考人招致を採決の条件にあげました。なお、共産は田村貴昭さんが質問の中で森喜朗さんも加えた証人喚問を求め安住淳委員長が「理事会で協議します」と明言しました。

 野田佳彦さんは高額療養費の負担引き上げの凍結と第1弾200億円の減額修正を求めました。首相は「政府部内でよく検討をさせていただきました。正確を期すために、原稿読み上げみたいな形になります。ご容赦を賜りたいと思っております。セーフティネットを次の世代にも持続可能なものとするため、高額療養費制度の見直し自体は、実施させていただきたいというふうに今でも思っておるところでございます。ただ患者団体の皆様方から、引き続いてご意見を頂戴いたしておりまして、国会でも引き続きご指摘をいただいておるところでございます。そうした状況も踏まえまして、政府与党におきまして、患者の皆様、そして被保険者の皆様、双方のお声を、改めて真摯に勘案をし、検討いたしました。ご指摘のありました、現在多数回該当に当てはまっている方と今後新たに病気になり、長期で療養される方で負担に大きな差が生ずるのではないか、というご指摘をいただいておるところでございます。この点につきましては、今後新たに病気になられる方につきましても、令和8年度以降の所得区分の細分化に伴う限度額の引き上げに伴い、多数回該当から外れることがないよう、新たに多数回該当の判定基準を設けることとしたいと考えております。そして経済物価動向に対応した令和7年度の定率改定を行うこと、また、高齢者の外来特例の見直しは、予定通り令和8年度に実施することといたしました上で一旦立ち止まりまして、新たに設ける。多数回該当の判定基準を含め、令和8年度以降に実施する所得区分の細分化につきましては、本年秋までに政府として、患者団体の皆様方を含みます関係者のご意見を十分に承った上で、増大する高額療養費を、能力に応じてどのようにわかっちゃうかという観点から改めて方針を検討し、決定することでいたしたいと思っております。高額療養費の総額が医療費全体の倍のスピードで伸びておりますことは、これは常に申し上げておるところでございましてこれは国費200億円の問題ではございませんで、今後もこのペースで増加し続けました場合に、この制度の持続可能性は維持できるのか。そしてまた現役世代の方々の保険料負担はどうなるのかということは、野田代表もご理解をいただいている通りでございます。今後とも、セーフティーネットとしてこの制度が機能し続けるとともに、支え手であります被保険者の保険料負担の増加にも配慮した持続可能性のある制度と進め、改めて関係者の皆様方の声を丁寧に承り結論を出してまいりたいと考えております」と答弁しました。

 こんなのはゼロ回答であり、多数回該当の要件見直し次第では被保険者にマイナスになりかねません。自民党の資金提供元を見ると、例えば第一生命がおととし12月25日に1250万円を寄付しています。ちなみに全日本菓子協会は6万円で、その200倍強になります。業界を見ると、生保業界は、増収増益、増収減益、減収増益、減収減益が入り乱れ、内資損保の生保子会社でも増収増益の社と減収減益の社が入り混じった戦国時代となっており、第三分野(がん保険)にとって高療凍結は脅威でしょう。大蔵省の昭和51年入省幹部が生保協会副会長に天下っています。

 立憲は採決まで攻めるでしょう。とはいえ「存在感がない」と言われても、複雑なしくみの参院選は選対がすべてといっていいでしょう。野田さんは「私、今も朝街頭立ったりしてますけども現役世代の反応、特に女性の反応ものすごくありますよ。みんな自分たちもそうなったらどうするか心配してるからです。その危機感を持ってもらわないといけないと思います。8月から上げるんでしょう。でも7月参議院選挙、私争点にしようと思っていないんですよ。ぜひこの国会で200億円の修正やろうじゃありませんか」とさらに問いました。首相は「思いは一緒です。だから、いかにして若い女性の方々が高額な医療であったとしても、安心して受けられるためにどうするかということを私どもは一生懸命考えてまいりました。そこに至るまでに、その10年間の物価動向の部分だけは、ここは改定をさせていただきたいと思っております」と語りました。この後に質問した立憲幹部は物価変動の反映も凍結すべきだと主張しましたが、かみ合いませんでした。

 第一分科会から第八分科会までの主査が報告しました。

 この後、修正案の趣旨説明がなされました。自公案と、立憲案の2案です。重徳政調会長は次のように語りました。「立憲民主党は、物価高に苦しむ国民生活の現状に鑑み、国民の負担を減らし、収入を増やす家計が第一の政策実現を目指しております。あわせて我々といたしましては、政権を担いうる責任政党として、必要となる財源を確保し、政策の実行にまで責任を持ちたいと考えております。そのため我々は党内に総勢70人規模の議員から成る本気の歳出改革作業チームを立ち上げ、予算の精査を行い、先に行われ省庁別審査において、その成果を示したところです。その際に指摘をした多数の無駄な予算を削り、生活応援のための予算に振り替えていく。これが我々の修正案の基本的な考え方であります」と語りました。

 週明け月曜日も8時55分から集中審議。

【衆・財務金融委員会】
 「所得税法改正案」(217閣法1号)と、それに対する立憲単独の委員会修正案が議題となり、法案審査2巡目の途中で終わりました。与野党とも、日銀などへの質疑が中心となりました。正午ごろ散会しましたので、自公が国会に提出した修正案の趣旨説明は来週火曜日に持ち越されそうです。

【参議院】
 きょうは開かれませんでした。ちなみに、今週は水曜日の政治倫理審査会も開かれませんでした。衆議院総務委員会も定例日ではありませんから、開かれませんでした。

【定例閣議】
 「AI法案」「刑事訴訟デジタル法案」「森林経営管理法改正案」を決定。このうち、刑事訴訟デジタルは、同日の法制審で決定した離婚後共同親権の改正民放から1年遅れの提出となりました。柴山正彦さんらが実質離婚禁止で統一教会・日本会議・神社本庁の家族観を法制化することを優先したとみられます。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2025年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする