カテゴリー「財政再建原理主義」の10件の記事

2015年3月15日 (日)

北陸新幹線長野金沢1時間に要した18年の歳月

3月14日、北陸新幹線の長野-金沢間が開業した。


Photo_3


高崎-長野間が開業したのが1997年10月1日。


長野-金沢の距離は228キロメートル(営業距離)。


この延伸に17年半の時間を要したことになる。


これまで金沢-東京間は、鉄道利用の場合、新潟県上越市の犀潟駅(さいがたえき)と上越新幹線の越後湯沢を結ぶ北越鉄道を経由する特急はくたか号と越後湯沢-東京間を結ぶ上越新幹線を乗り継ぐルートが最短であった。


4時間20分ほどの時間を要していたが、北陸新幹線の開業で、金沢-東京間が最短2時間28分に短縮された。


北陸-首都圏が日帰り圏内になり、また首都圏から北陸への観光客が急増することが予想され、北陸三県ではその大きな経済効果に期待が寄せられている。


長野-金沢間は最短で65分で接続されることになったが、この1時間の路線開業に要した時間が18年ということになる。


日本有数の豪雪地帯を通過することから、積雪対策に多くの技術が必要であったし、また山岳地帯を通過する部分が多く、トンネル工事にも多大な費用と労力が求められた。


18年の歳月を経て、ようやく実現した金沢延伸であるが、時間がかかり過ぎたとの印象は否めない。


中国では首都北京と最大都市上海とが京滬高速鉄道(けいここうそくてつどう)で結ばれている。


全長1318キロメートルの距離は、長野-金沢間の228キロのちょうど5倍に該当する。


この高速鉄道建設が着工されたのが2008年4月で、2011年6月には開業された。工事着工から開業までの期間が、わずか3年余りであった。


両者の時間の開きには改めて驚かされる。

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新幹線のようなインフラの特徴は、その社会資本=インフラが効用を発揮する期間が長期にわたる点にある。


完成して実用に供されれば、長期にわたって価値を発揮するのである。


道路も、港湾も、空港も、そして鉄道も、作るのは大変だが、作ってしまえば大きな価値を発揮し、しかも、その価値発揮の時間が非常に長い。


生活に関連した社会資本も同じだ。


生活の利便性を飛躍的に高める、電気、ガス、水道などの、いわゆる「ライフライン」と呼ばれる社会資本も、敷設には時間と労力、そして財源を必要とするが、敷設されてしまえば大きな価値を発揮して、しかも、長期の利用を可能にするものである。


財政政策の運営を考える場合には、「投資」が持つ、こうした特性を十分に踏まえることが大事なのである。


財政運営ではとかく「財政赤字」の問題だけが前面に出されやすい。


巨大な財政赤字を計上して、債務を累積させれば、財政破綻に対する懸念が拡大するとともに、累積債務の利払い費などの経費が財政運営をさらに圧迫することなどが警戒される。


このことから、緊縮財政が唱えられ、とりわけ、「公共投資」に対する抑制圧力が強まるのである。

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しかし、例えば、新幹線のような「投資」を考えるときに、膨大な費用がかかるからと言って、毎年の投資支出を抑制すれば、投資が完了して、投資資産が実用に供される時期は大幅に先送りされる。


日本はいま人口減少を加速しているが、完成したときには利用する国民がほとんどいなくなってしまうということも考えられる。


家計における「実物投資」の最大のものは「住宅建設」だろう。


「家を買う」、「家を建てる」と言うのは、家計の支出行動のなかでの最大イベントと言っても良いだろう。


この住宅建設を考えるときに、「財政規律」だけを優先するとどのようなことが起こるだろう。


「財政規律」の「原理主義的発想」は、


「借金は良くない」


というものである。


「借金は不健全」


「借金は悪」


というのが財政規律重視の「原理主義」的な考え方である。


これを「家を買う」ことにあてはめると、「家を買う」時期は大幅に先送りされる。


「家を買う」費用を確保できるのは、恐らく退職直前、あるいは、退職して退職金を獲得したときに、初めて「家を買う」費用を確保できるということになるだろう。

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そして、「家を買って」、まもなく死去するのである。


これに対して、就職して間もない時期に住宅ローンを組んで家を買ってしまう。


退職時点で退職金を得て、ローンは完済される。


この人は、若年の時期から死去するまで、ローンで購入した「持家」に暮らすことができ、退職時点ではローンを完済して、負債を残さない。


どちらの行動が、より「賢明」と言えるだろうか。


先を見越して、「家を建てる」決断がある場合には、早い時期に借金をして「投資」を行ってしまう方が、はるかに「賢明」であることが分かるのだ。

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2014年2月16日 (日)

高速道路無料化で一般道への逃げ道を確保すべし

首都圏を襲った大雪の影響で深刻な混乱が生じている。


東急東横線では停車していた電車に別の電車が衝突し、脱線した。


多くの負傷者が発生したが、一歩間違えば大惨事となっていた。


天気予報は記録的な大雪を予測できなかった。


山梨県では1メートルを超える観測史上最大積雪値の2倍の積雪が記録され、多くの地域の交通手段が遮断されるとともに、ライフラインが途絶える事態が発生している。


道路でも重大な混乱が生じているが、驚きを与えるのが、高速道路上での車の立往生が足かけ3日にも及んで続いたことである。


立往生に巻き込まれた自動車は、まったく身動きがとれぬまま、車中で2度目の朝を迎えた。


厳寒のなかでの立往生は生命の危険さえ伴うものである。


天気予報、道路交通事情の予報の的確さとドライバーのリスク管理が強く求められる。


日本の高速道路には、この意味で構造的な危険がある。


その解消を検討することが急務である。

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米国のフリーウェイでは、基本的にフリーウェイと主要な一般道が交差する箇所にフリーウェイの出入り口が設けられている。


フリーウェイは無料で提供されているため、一般道とフリーウェイの出入りが自由なのである。


フリーウェイが無料であるから、一般道との交差箇所ごとに車の出入り口が設けられていても問題が生じない。


ところが、日本の場合、高速道路が有料であるために、一般道との連絡が基本的に遮断されている。


高速道路出入り口の間隔は極めて大きく、ひとつの出口を通過してしまうと次の出口までは、一般道に出ることができない。その間隔がケースによっては20~30キロの長さに及ぶこともある。


近年になって、スマートICと呼ばれる新規の出入り口がサービスエリアに設置されるようになったが、それでも出入口(IC)の間隔は極めて大きい。

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このことが、高速道路上の災害を著しく深刻なものにする可能性がある。


村上春樹氏の小説『1Q84』にも高速道路渋滞の場面が出てくるが、ここでは、登場人物が非常駐車帯からはしごを伝って地上に降りるシーンが描かれるが、高速道路上の渋滞は、文字通りの陸の孤島であり、さまざまなリスクを孕むものである。


高速道路の設計上のリスク管理を検討するべきであろう。


最も優良な方式は米国のフリーウェイ方式である。


基本的にどこからでも高速道路に入ることができて、また、降りることができる。


無料であるから料金所を設置する必要もない。


高速道路上で何か非常事態が発生すれば、いつでも最寄りの出入口(IC)から退却することができる。


今回の大雪では、東名高速道路の神奈川県から静岡県のエリアでの車の立往生が深刻だった。


積雪への対応が不十分な自動車が存在して立往生すれば、それを契機に後続車の進行が不可能になる。


積雪による道路渋滞は高速道路だけの問題ではなく一般道でも発生し得る。


しかし、高速道路の場合、一般道への逃げ道がないために、その影響が著しく深刻になるわけである。


サービスエリアごとに一般道への出口が確保されていれば、まだその影響は緩和されるが、現状ではすべてのサービスエリアに一般道への出口が確保されているわけではない。


また、あったとしても、ETC登載車しか通行できない仕様になっている。


積雪以外にも、道路火災などによる立往生などの事態も想定されるから、リスク管理として検討を要する問題である。


消防や救急車などの緊急車両も、一般道と高速道路の接続箇所が増えれば、それだけ緊急事態への対応も早くなる。


緊急事態が発生し、緊急車両が現場に到達できない事態が発生すれば、事故の被害が一気に拡大してしまうことも考えられる。

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2009年に鳩山由紀夫政権が樹立され、高速道路料金無料化や週末料金の大幅割引などが積極的に検討された。


ところが、自公政権が復活して、高速道路料金の割引自体が撤廃の方向に動いている。


道路料金の割引を受けようとしてETC設備を購入した国民は、詐欺に遭ったような境遇に陥れられている。


背後にあるのは道路会社利権である。


原発と同じ図式なのである。


原発とは異なり、基幹道路は極めて有用で価値のある資産である。


ところが、大都市圏を除いて、この貴重な社会資産が十分に活用されていない。


主権者のための政治・行政が実現されていないのである。

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2013年10月 2日 (水)

浮上する日本経済を撃墜した史上最大のデフレ財政

1996年6月25日、橋本龍太郎政権は、消費税率を2%引き上げる方針を閣議決定した。


国会では住専問題処理のために6850億円の公的資金を投入するかどうかをめぐって紛糾した直後だった。


国会は6月19日に閉会した。


橋本政権は、住専国会終了で与野党攻防に間隙ができたタイミングを狙って消費税増税方針の閣議決定を行ったのである。


日経平均株価は翌日の22,666円をピークに下落に転じた。


1990年にバブルの崩壊が始まって以来、日本経済は長期低迷に苦しんだ。


日経平均株価は92年8月18日には14,309円に下落。


その後、景気対策が発動されると株価反発、経済浮上が生じたが、93年は冷夏などの影響で、94年は日銀が早すぎる金融引締め政策に進もうとして経済を暗転させた。


日本経済がバブル崩壊後の不況を克服するたしかな手ごたえを得たのが95年から96年にかけてであった。


95年の円高局面で日銀が政策を大転換し、金融緩和政策を強化した。


村山政権は14兆円の景気対策を決定し、財政金融政策総動員のスタンスを明示した。


政策総動員によって日本経済の方向は好転し、96年に日本経済はバブル崩壊後、初めて明確な回復軌道を実現させつつあった。

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私は、96年の最重要の経済政策問題が消費税増税問題になると判断し、消費税増税問題が日本経済再悪化の引き金となる事態を回避しなければならないと考えた。


97年度の増税が日本経済の浮上を破壊してしまう可能性を憂慮し、これを回避するための政策提言を展開したのである。


1996年6月に刊行された東洋経済新報社『論争』96年7月号に、


「財政再建最優先論に異議あり」


と題する論文を発表した。


ここで提示した政策提言は、1997年度の財政緊縮策を消費税率の1%引上げのみに留めよというものだった。


この施策によるデフレ効果は2.5兆円=GDP比0.5%である。


この程度の財政緊縮であれば、日本経済の回復基調を破壊しないと判断した。


私が論文でもっとも強い警告を発したのは、日本経済の地下に巨大な不良債権問題のマグマが潜んでいることだった。


行き過ぎた緊縮政策を強硬実施すれば、株価下落=経済悪化を通じて、不良債権問題を一気に爆発させてしまう。この問題に最大の警戒を払うことが最重要であることを訴えた。

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しかし、橋本政権はこの道を選ばなかった。


橋本政権が97年度に実施した政策は、消費税5兆円増税、所得税2兆円増税、社会保障負担2兆円増大、公共事業削減4兆円だった。


合計13兆円のデフレ政策を実行したのである。


この結果、96年6月26日に22,666円だった株価は下落に転じ、98年10月9日には12,879円にまで暴落した。


そして、97年秋の三洋証券、山一證券、北海道拓殖銀行の破綻、98年の日本長期信用銀行、日本債券信用銀行の破綻が生じていった。


懸念通りの金融大波乱が生じたのである。


株価は96年6月26日から下落に転じていた。


私は当時執筆した『金利・為替・株価週報』に、22,666円の株価が「666」であり、地獄への転落を暗示していることを記述した。


http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html


「666」とは、ヨハネの黙示録に出てくる悪魔の数値なのである。


96年10月20日の総選挙を経て、96年12月に橋本政権は13兆円のデフレ政策を予算に盛り込んだ。


この政策決定を受けて、日経平均株価はついに2万円を割り込んだのである。


97年年初、日経平均株価は1月7日から1月10日にかけて急落した。


NHKは急遽、『クローズアップ現代』でこの問題を取り上げた。


私はこの番組のインタビュー取材に応じた。


そのなかで、株価下落の主因が橋本政権の行き過ぎた緊縮財政にあることを説明した。株価は96年6月の増税閣議決定から始動していること、96年12月に超緊縮政策を予算案として決定したことから日経平均株価が2万円を割り込んだことなどを説明した。


しかし、放映されたVTRには、私の発言の核心はすべてカットされていた。


『クローズアップ現代』は、橋本政権が財政改革で緊縮財政政策を推進しているなかで、これに抵抗する勢力が新幹線予算に調査費を計上したことだけを大きく取り上げ、財政構造改革に対抗する力が表面化したことが株価下落の原因になったとのトーンで制作された。


NHKは私の主張を一切紹介せず、橋本緊縮財政を全面支援する番組を制作しただけのことなのだ。


私をVTRに出演させたのは、橋本緊縮財政に反対の論者にも意見を聞いたとの「アリバイ」を作るためだけだったのだと思われる。


この図式と、今回の安倍政権による増税決定は酷似している。

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2012年9月13日 (木)

「日本は財政危機にある」が大嘘である決定的証拠

いま世のなかで何が進行しているのかを私たちは知っておく必要がある。


日本の主権者国民にとって、何よりも重要な政治の争点は、消費増税、原発再稼働、TPP、米軍基地・オスプレイである。


ところが、この最重要問題が深く掘り下げられることがない。


8月10日以降、日本の情報空間を占拠してきたものは、


オリンピック


尖閣


竹島


いじめ


シリア


民主・自民党首選


大阪維新


だけだ。情報空間を何で埋め尽くすのかを決めるのはマスメディア=マスゴミである。マスゴミは大きな力によって支配されており、このマスゴミが意図をもって、情報空間をコントロールしている。


もっとも強い影響力を持つのはNHK=日本偏向協会であるが、このNHKが情報操作の先頭を切ってひた走っている。


9月12日夜の「ニュースウォッチ9」は大阪維新の広報番組と化していいた。ここに、いまのNHKの体質が象徴的に表れている。


マスメディアによる一連の情報操作が何を目的に実行されているのか。これを的確に把握し、日本の主権者全体に注意を喚起しなければならない。


「情報操作の警戒警報」発令中である。

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8月10日に国会は消費増税法を成立させた。しかし、日本の主権者である国民は消費増税を認めていない。


次の総選挙で主権者国民が最終判断を下す問題である。必ず、次の総選挙の最大の争点にしなければならない。


しかし、財務省が政府債務1000兆円と喚(わめ)き散らしているために、多くの国民が、日本の財政は深刻な事態に直面していると勘違いしてしまっている。しかし、これは完全な事実誤認だ。


政府の公式統計である「国民経済計算年報」に、日本政府の財務状況を示すデータが掲載されている。いわゆる政府のバランスシートだ。


2010年12月末段階で、日本政府は1,037兆円の債務を保有している。たしかに、借金1000兆円はうそではない。


しかし、財務状況は借金の大きさだけで決まらない。個人が1億円の借金を抱えたら大変だ。しかし、本当は借金の金額だけで大変さは決まらない。


資産を持っているかいないかが決定的に重要だ。預金ゼロで借金1億円なら大変だ。破産するしかないだろう。しかし、借金が1億円、預金も1億円だったら、何の問題もない。


2010年12月末の日本政府の資産残高は1,073兆円だった。つまり、借金よりも資産の方が多いのだ。この状況のどこが危機だと言うのか。


財務省は庶民に巨大増税を押し付けるために大うそを撒き散らしているのである。

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米国財務省が発表している米国政府のバランスシートを見ると、

2011年9月末時点で


資産  2兆7073億ドル

負債 17兆4927億ドル


である。

1ドル=78円で円換算すると、


資産  211兆1694億円

負債 1364兆4306億円


になる。なんと1153兆円の債務超過である。

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このアメリカの国債が最上級の格付けを得ていて、日本の国債が債務不履行になる恐れがあるという根拠は、実はどこにもない。



日本財政が危機に直面していて、欧州のような危機に陥るリスクがあるというのは、真っ赤なウソである。


ウソを撒き散らして、国民から巨大なカネを巻き上げて、そのカネで天下りやわたりの利権をむさぼろうとしているのは、もはや「巨大犯罪」の範疇に入る。


政府にはカネが「ない、ない」と騒いでカネを巻き上げる「ないない詐欺」としか言いようがない。

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いま、私たちの回りで進行している巨大な「情報操作」の目的は二つある。


ひとつは、消費増税を既成事実化することだ。そのための方法は、消費税問題を一切論議しないことだ。すでに決まった話だと偽装して、国民に問題を考えさせないのだ。


もうひとつの目的は、次の選挙で、米国にモノを言う勢力を消し去ることだ。誰が米国にモノを言ってきたのか。それは明かだ。小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏である。そして、小沢氏、鳩山氏の行動は主権者国民の信託を受けたものだった。


米国は米国にモノを言う存在を許せないのだ。日本の主権者の信託を受けた存在であるのに、これを亡きものとしようとしている。


これが、現在の情報操作の目的である。


言い換えれば、これは日本の主権者国民に対する宣戦布告、挑発行為である。


私たち主権者国民は米国の僕(しもべ)ではない。この兆発を受けて立ち、この支配者を矯正しなければならない。

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続きは本日の
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2011年11月 4日 (金)

本当は危機に直面していない日本財政

拙著『日本の再生』が第4刷に入っている。増刷が追い付かず、大都市大手書店以外の書店ではほとんど在庫がなく、また、アマゾンでも在庫切れが続き、皆様に大変ご迷惑をお掛けしていることを深くお詫び申し上げます。楽天ブックショップでは在庫が確保されているので、ネットからお求めの場合には、楽天ブックショップをご利用下さいますようご案内申し上げます。
 

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 日本が直面する最重要経済問題に、東電処理、増税、TPPの三つの問題がある。拙著では、この三つの問題に対する望ましい対応策を記述している。
 
 奇をてらうものではまったくない。オーソドックスに、基本に忠実にものを考えれば、おのずから結論は導かれるものである。

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東電問題では、法治国家としての日本の矜持が問われている。
 
 いわゆる原子力村と呼ばれる産官学癒着の巨大構造が明らかにされたが、原発事故発生後に、この基本構造にメスが入れられたであろうか。
 
 枝野幸男経産相は、自分の在任中は天下りを認めないとの趣旨の発言を示したが、自分の任期中の天下りの対応をどうするかという次元の問題ではない。制度としての日本の原子力村、原子力村の根本構造そのものが問われているのに、それを自分の任期中の行政運営の問題にすり替えるところに、この人物のいかがわしさが示されている。

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九州電力は原発事故が発生したあと、佐賀県玄海原発の再稼働に関連して実施した公開討論会で、会社ぐるみの偽装工作を実行した。この偽装工作を引き起こす発端を作ったのは古川康佐賀県知事である疑いが濃厚である。
 
 九州電力は問題発生に対応して第三者委員会を設置し、第三者委員会は報告書をまとめた。ところが、報告書が九州電力の責任を厳しく糾弾するとともに、古川知事発言が偽装工作の発端となったとの事実を認定し、九州電力にとって厳しい内容になったことから、九州電力はこの報告書の内容を無視して国に報告した。
 
 九州電力が事実に即して国に報告すべきことは当然であるし、一連の不祥事の重大な責任を明らかにするために、松尾新吾会長および眞部利應社長は直ちに辞任するべきである。
 
 ところが、九州電力を実質的に支配していると見られる松尾新吾会長は、問題に対する責任も明らかにせず、会長職に居座る姿勢を強めている。
 
 枝野幸男経産相は不快感を示すだけで、民間企業の人事であるからと、積極的な対応を示さない。
 
 そうこうしているうちに、九州電力は玄海原発4号機の再稼働を始めてしまった。
 
 国の統治能力はゼロにまで低下していると言わざるを得ない。

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「統治する」ことを英語でgovernと表現する。政府を示す英語governmentは、このgovernの名詞形である。政府が統治能力を失えば、政府として存在する価値がないのも同然である。
 
 九州電力のごね得を認めてしまえば、今後の不祥事案件については、すべての当事者がごね得を狙うようになるだろう。
 
 問題の根源には「原子力村」と呼ばれる産官学の巨大癒着構造がある。この構造のなかに、国費が毎年3000億円以上も注がれている。ほとんどが不要の政府支出だ。これらのすべての政府支出は、官僚天下りを確保するために注がれているものである。
 
 国民に対して増税による負担を押し付ける前に、官僚天下りを根絶し、官僚天下りのために注いでいる無駄な政府支出を切るべきであることは当然である。

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TPPについては、米国が求めている日本の交渉参加期限である11月12日が目前に迫ってきた。
 
 TPPは多くの識者が指摘するように、日本の根幹を揺るがしかねない巨大な起爆力を持つ施策である。農業に与える影響は計り知れない。
 
 テレビ映像は、鉢巻きを締めた農業関係者の抗議集会を捉え、農業関係者が自分たちのエゴをアピールしているとの刷り込みを視聴者に行っている。
 
 しかし、農業の問題は、私たちの生活の根幹に関わる重大な問題であることを忘れてはならない。
 
 私たちは生物であり、食物を摂取しない限り生き続けることができない。農産物は私たちの生命の根源にかかわる重大な意味を持つ産業なのだ。
 
 そしてTPPの持つ毒素は、農業だけに降りかかるのではない。日本の良き伝統、良き社会構造まで破壊しかねない、潜在的な脅威を秘めるものである。
 
 もうひとつの問題である増税だが、偏向御用NHKは、ニュース報道で、日本の財政危機をいたずらにあおる報道を繰り返している。ネタ元は財務省である。財務省が発表する歪んだ情報を、内容を精査することなく垂れ流しているのだ。

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財政問題を正しく理解することが不可欠だ。
 
 ひとつだけ例示すると、日本は経常収支赤字国でない。経常収支赤字国と経常収支黒字国の財政問題は、本質がまったく異なる。この点をまず、正しく認識する必要がある。
 
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 ・・・・・
 
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2010年7月27日 (火)

菅政権の1兆円経済復活枠予算への疑問

民主党が2011年度予算編成に関して、1兆円の特別枠を設定してコンペ形式の予算配分を行う意向を示している。
  
 事業仕訳がメディアに大きく取り上げられて、一部で好評を得たことを踏まえて2匹目のドジョウを狙ったものだと考えられるが、事業仕訳同様、学芸会の延長にしか見えない。
 

予算編成は政治活動の中核である内閣は行政権を担う。行政活動には費用がかかり、このすべてが予算に計上される。つまり、すべての行政活動は予算に計上されるものであり、予算が行政活動そのものと言っても過言ではない。
 
 政府支出には、行政経費の支出、地方への交付金・国庫支出金、投資的経費、利払い費、社会保障支出などがある。
 
 日本の財政問題の核心は、税収を中心とする政府収入に比べて政府支出が過大になりすぎている点になる。2009年度予算では税収37兆円に対して支出規模が102兆円、国債発行金額が53兆円になった。政府支出の半分以上を借金で賄うとの異常な状況が生まれているのだ。
 
 この崩壊した財政状況を立て直すことが喫緊の課題になっている。
 
 しかし、財政政策を考える視点は財政再建だけではない。財政再建だけを優先し、他の課題を無視する姿勢を「財政再建原理主義」と呼ぶが、1997年度の橋本政権、2001年度の小泉政権などは、この「財政再建原理主義」を採用して、肝心の日本経済を破壊してしまった。
 
 ここで得られる教訓が「経済あっての財政であって財政あっての経済ではない」というものである。
 
 正しい判断を示したのは小渕政権だった。小渕政権はさまざまな政策課題を否定したのではない。さまざまな改革は必要だが、優先順位としては日本経済の回復が優先されるべきとの判断を示し、景気回復策を実施した。
 
 その結果、日経平均株価は2万円の大台を回復して、日本経済は順調な回復軌道に移行した。ところが、この経済改善を森政権、小泉政権の財政再建原理主義が破壊してしまったのである。
 

2008年半ば以降、サブプライム金融危機に伴う経済悪化、株価暴落が世界経済を覆い尽くした。日本経済も急降下し、株価も急落した。この危機をグリーンスパンFRB前議長は「100年に1度の金融津波」と表現した。
 
 米国も日本も巨大な景気対策を実施し、その結果として2009年3月以降、日米経済は緩やかな景気回復を実現した。しかし、経済活動の水準は依然として低く、高失業率、中小企業の低迷持続の現状が日本経済を覆っている。
 
 政権が対応しなければならない課題は、日本経済の健全化、そして日本財政の健全化である。
 
 こうした現状に対する菅直人首相の姿勢は不鮮明である。

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所信表明演説では「強い経済、強い財政、強い社会保障」を訴えたが、内容は空虚だった。経済、財政、社会保障を強化すべきことは当然で、この目標設定に目新しさのかけらもない。社会保障制度を将来的に維持可能な姿に改変することは急務だが、その具体策が明示されていない。
 
 社会保障分野の経済活動が拡大することは事実だが、そのことだけをもって景気回復や経済の成長力が高まるわけではない。とりわけ、財政政策が増税先行の緊縮財政で進むなら、短期的には景気回復ではなく景気崩壊が生じてしまうからだ。
 
 菅首相は6月17日のマニフェスト発表会見で消費税率10%への引き上げを政権公約に掲げ、玄葉光一郎政調会長は最速2012年秋の増税実施を明言した。つまり、菅政権は財政再建原理主義で進むことを公約として掲げているのだ。
 
 また、2011年度予算編成で国債発行金額を44兆円以内に抑制することを予算編成方針の第一に掲げているが、この政策そのものが緊縮財政政策を意味している。
 
 なぜなら、2010年度予算は表面上、国債発行金額が44兆円になっているが、実態上は48兆円に拡大しているからだ。2009年度第2次補正予算計上の4兆円が2010年度にずれ込んだためである。
 
 予算の全体の枠組みを景気抑制にするのか、景気中立にするのか、景気回復誘導にするのかが、まず重要である。菅政権の基本スタンスは景気抑制にある。
 
 この基本姿勢を変えずに、目くらましのように経済復活枠を設定するのは邪道である。
 
 また、民主党は昨年8月の総選挙に際して国民との間に契約=約束を結んでいる。その後の財政事情の変化から、一部の施策の実施が困難になり始めている。
 
 予算に1兆円の枠が生まれるなら、まずは、マニフェストで掲げた施策実現に費用を当てるのが正当である。
 
 補正予算編成の弊害として掲げられるのが、一度限りのばらまき的な対象に政府支出が消えるというものである。1兆円の政府支出コンペがどのように実施されるのかで状況は変わる可能性があるが、一度限りの人気稼ぎのばらまき政策を実施するよりは、国民生活に不可欠な恒久的な政策実現に財源を優先的に配分するべきである。
 
 菅政権が提示している1兆円枠財政は「木を見て森を見ない」典型例であるように見える。
 
 菅政権は、このような小手先の政策にうつつを抜かす前に、財政政策の基本路線をどのように設定するのかを真剣に考えるべきだ。

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2008年8月 3日 (日)

「NHK日曜討論」町村官房長官発言の誤り

永田町利権維持に死に物狂いの自民党は、なりふり構わぬ「ポピュリズム」に走り出した。福田政権は「市場原理至上主義」、「国民生活重視」、「財政再建優先」の三つの政策を混ぜ合わせ始めた。しかし、方向の異なる政策を理念なく混ぜ合わせても、有効な効果を得ることは難しく、国民の負託に応えられない。政権末期症状が如実に表れている。

「小泉改革」路線を明確に否定するのか。

「国民生活重視」を最優先するのか。

「財政再建目標」を棚上げするのか。

煮え切らない優柔不断の政策姿勢は、福田首相の脳内構造をそのまま反映しているようにうかがわれる。

「霞が関保身内閣」と呼べる福田改造内閣は、「脱小泉」色を鮮明にした。しかし、はっきりと「小泉改革」路線からの訣別を宣言したのかと言えば、「NO」である。「改革の基本路線は継承する」という。

「国民生活重視」を最優先課題に位置付けるなら、「ガソリン税暫定税率」を廃止し、「後期高齢者医療制度」を白紙に戻し、不況に突入した日本経済を回復させることに全精力を注ぐことになる。しかし、その気配は示されていない。

「2011年度に基礎的財政収支を黒字化」することが、財政再建目標とされているが、目標見直しの判断は示されていない。

市場原理至上主義、官僚利権温存、国民生活疲弊、財政再建優先路線に対する国民の批判が高まり、福田首相は政策修正に追われている。

改造内閣では「小泉一派」が排除され、郵政造反組が政権中枢に復帰した。歳出の無駄排除を目的に「無駄ゼロ会議」が設置された。原油高不況に対応して経済対策が策定されることになった。

しかし、すべての要素が混在し、理念と方向が明確でない。政策の方向が明確でなければ、大きな成果を得ることは難しい。

三つの問題点を指摘しておく。

①不況に突入した日本経済の悪化を回避するには、腰の据わった対応が必要だ。伊吹財務相は本日のNHK日曜討論で、「歳入の手当てのない政策発動はありえない」と発言したが、財政バランスに影響を与えない景気支持政策の経済支持効果は極めて限定的である。

財政政策の景気支持効果の大きさは、財政バランスの変化で測られる。財政収支に影響を与えない景気支持政策のマクロ経済への影響は極めて小さい。

②政府の無駄排除政策の最大の対象は「天下り」利権である。「天下り」機関に1年あたり12.6兆円の財政資金が投入されている。国民生活重視の政策を実現するための最大の財源がここに隠されている。

「政府の無駄排除」に向けての福田政権の基本姿勢は「天下り問題」への対応に示されることになる。「無駄ゼロ会議」を何度開こうとも、「天下り」を断ち切らなければ、「ざるのなかに水を蓄える」論議になる。

③弱肉強食奨励、セーフティーネット排除の「小泉改革」路線と明確に訣別するのかが不明確である。高齢者、障害者、非正規雇用者などを中心に、「小泉改革」は国民の生存権を脅かしてきた。

自公政権に対する批判の高まりの最大の要因は、「小泉改革」の新自由主義路線にある。福田首相は内閣改造で「小泉一派」を排除したように見えるが、「小泉改革」路線からの訣別を明言していない。

「偽装CHANGE」勢力が創設され、裏で福田政権と手を組むことも考えられる。

民主党の小沢一郎代表は20年来、「自立と共生」の理念を掲げてきたが、福田首相は昨年の自民党総裁選で「自立と共生」のコピーを掲げた。

民主党は昨年7月の参議院選挙で「国民の生活が第一」の政策方針を明確に掲げて大勝した。福田首相は「国民目線の政治」を掲げ、国民生活の安心、安定をにわかに訴えている。

「国民生活重視」と、小泉政権以来の「大資本」、「外国資本」、「特権官僚」の利益重視の政策とは相容れない。「小泉改革」路線からの訣別を宣言することなく「国民生活重視」を主張しても、選挙目当ての「政策盗用」としか見なされない。

町村官房長官は本日のNHK日曜討論で、「小泉政権は財政出動することなく景気回復を実現した」、「この基本姿勢を維持しなければならない」と述べた。

しかし、これは事実に反する。過去の歴史事実を正確に把握せずに政策を運営していることが、そもそもの誤りだ。

2001年度当初予算では、歳出規模が82.7兆円、国債発行が28.3兆円だった。2001年度は補正予算が2度も編成された。歳出規模は第1次補正で1.1兆円、第2次補正で2.6兆円追加された。税収見積もりは1.1兆円下方修正され、4.8兆円の財源確保が必要になった。

国債発行は見かけ上、30兆円にとどめられたが、実態は補正後で33.1兆円に拡大した。

2002年度は補正予算で5.0兆円の国債発行が追加された。国債発行額は35兆円に達した。

つまり、2001年度も2002年度も約5兆円の追加財源調達を含む補正予算が編成された。小泉政権の超緊縮財政が日本経済の急激な悪化をもたらし、結局、小泉政権は大型補正予算を編成して、経済悪化に対応したのだ。

2003年以降に日本経済が浮上したのは、破綻の危機に直面したりそな銀行を2兆円の公的資金注入により救済したからだ。小泉政権は「自己責任原則」を掲げながら、「自己責任原則」を放棄する「税金による銀行救済」に手を染めた。株主は責任を問われるどころか、政府から巨大な利益を供与された。

小泉政権の金融行政は完全に破綻した。「景気悪化推進の超緊縮財政政策」は「大型補正予算編成」で完全に挫折した。「自己責任原則貫徹の金融行政」は「りそな銀行救済」で破綻した。

税金で銀行を救済すれば株価が猛反発するのは明白だ。2003年以降の不良債権処理進展、経済改善は、株価上昇および連動する地価底入れによってもたらされた。

小泉・竹中経済政策の完全破綻を示す、税金による銀行救済を契機に株価が上昇に転じ、その結果として不良債権減少、経済改善が進行した。これが「歴史の真実」だ。

御用メディアは「小泉竹中政策の破綻」の真実を伝えず、「政策破綻」を「改革政策の成功」に偽装して報道した。廃鶏を「比内鶏」に偽装した企業が詐欺で摘発されたが、偽装された「比内鶏くんせい」が十分食用に耐えられたことを考えれば、「破綻政策」の「改革政策の成功」への偽装よりはずっとましだ。

国民新党の自見庄三郎議員が、本日のNHK討論で福田改造内閣を「消費税地ならし内閣」と称したが、けだし名言である。

財務省を基軸に据えた福田改造内閣は、総選挙後の消費税増税への地ならしを開始した。しかし、総選挙を目前に控えるため、さまざまな「目くらまし」が施される。

「目くらまし」実行は、伊吹財務相が講演で明言しているから間違いのないところだ。

8月にも策定される不況対策もその一つになるだろう。「無駄ゼロ会議」も「目くらまし」の有力な手段と認識されているはずだ。「小泉一派」と「脱藩官僚の会」、「自民別働隊知事グループ」などが連携して「偽装CHANGE」活動を展開するかも知れない。

民主党を中心とする野党は、国民に「偽装」を見破る方法を伝授しなければならない。「大阪のおかん」による「振り込め詐欺防止CM」が作られたそうだが、野党連合で「偽装CHANGE詐欺防止CM」を制作すべきだ。

野党は次期臨時国会、総選挙に向けて、

ガソリン暫定税率廃止

後期高齢者医療制度廃止

「天下り」根絶

を明確に示す。

同時に、

④「天下り根絶」なくして「消費税増税なし」

を明確に示すべきだ。

「偽装CHANGE」勢力がこれらの施策を「真実の公約」として掲げることはできない。

権力は腐敗する。「政官業外電 悪徳のペンタゴン」による利権政治、腐敗政治は、「自民党長期政権」と「特権官僚」「大資本」、「外国資本」、「マスメディア」の癒着の結果として生じている。

「真正CHANGE」は「政権CHANGE」から始まる。「政権CHANGE」のない「CHANGE」は「偽装CHANGE」だ。

「偽装」が渦巻く現代日本で「偽装」を暴くのは「告発」だ。「偽装」を見抜く人々が勇気をもって「告発」することにより、国民を「偽装」詐欺から守ることができる。

福田政権は、まず不況対策策定で新機軸の真価を問われる。野党は「真正CHANGE」の具体策を明示して、「偽装CHANGE」詐欺撲滅キャンペーンを開始すべきと思う。

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2008年7月28日 (月)

「バラマキ財政派」というプロパガンダ

私の財政政策についての考え方を「積極財政主義」と理解している人が多い。これは正しくない。

京都大学助教授に就任した1991年以降、私は経済政策に関する論評を数多く発表するようになった。

「中央公論」1991年11月号に「バブル崩壊後日本経済のゆくえ」を発表し、日本のバブル生成・崩壊が米国の経済政策と密接に関わっていることを論じた。

1981年に発足したレーガン大統領の経済政策が米国の双子の赤字を生み、85年のプラザ合意、円高を生んだ。円高・金利低下で日本の資産価格が急上昇した。

1987年、日銀は利上げを予定したが、米国でブラックマンデーの株価急落が生じ、米国の要請で利上げを中止した。

1988年発足のブッシュ政権は「強いドル」を掲げたが、日本弱体化の思考を内包していたと考えられる。89年以降、円安・金利上昇が広がり、日本のバブルは崩壊に向かった。

中央公論所収論文の当初タイトルは「漂流する日本経済に明日はあるか」だった。経済外交の場は国益がぶつかり合う戦場である。経済政策に関する高度の専門能力、外国政府と渡り合う交渉力がなければ、経済外交で敗北を喫する。

日本の政策当局は専門能力と外交力とを欠いていた。政策当局が高い能力を持たなければ一国経済を守ることはできない。

論文で私は「経済政策能力の重要性」と「国益がぶつかり合う経済外交の一国経済に与える影響の重大さ」を説いた。

この論文をベースに1992年、『金利・為替・株価の政治経済学』(岩波書店)を上梓した。このころから、経済政策に関する論評を数多く発表するようになった。

1990年以降で、私が財政政策について強く意見を提示したことが3回ある。小泉政権は私の主張を排除しようと、私の考え方を「積極財政」、「バラマキ派」と中傷し、マスメディアが偏向報道を展開した。しかし、これらの表現は誤りだ。

最初の提言は1992年だ。日本経済は91年年初から不況に突入した。しかし、宮沢政権の不況認定は92年1月まで遅れた。日銀は91年末まで、「巡行速度への望ましい景気減速」と評価していた。

私は1991年時点で、株価、不動産価格の急落を踏まえ、深刻な不動産金融不況が到来すると判断した。経済の急激な落ち込みを回避するための景気悪化緩和政策が必要であることを、92年年初から強く主張した。

財政政策発動に最も強く抵抗したのは大蔵省だった。1990年に赤字国債発行ゼロの財政再建目標を達成した直後で、大蔵省は赤字国債発行に強く抵抗した。

しかし、政策対応の遅れが株価下落を増幅し、景気悪化が加速した。結局大型景気対策が必要になり、財政赤字は激増してしまった。早期の景気対策は財政赤字拡大策ではなく、中期的に見れば財政健全化策なのだ。

2度目の主張は1997年である。日本経済は1996年に景気回復を実現した。株価も上昇した。私は1996年年初から一人で主張を始めた。97年に行き過ぎた増税を実施すると、事態を著しく悪化させることを警告した。

1996年7月号の「論争」(東洋経済新報社)に「財政再建最優先論に異議あり」と題する論文を発表した。日本経済は回復過程に移行しているが、資産価格下落に伴う不良債権が巨大な「地下マグマ」として存在していた。

行き過ぎた緊縮財政政策は、景気悪化-資産価格下落-金融不安の悪循環を発生させ、最悪の場合「金融恐慌」を発生させる原因になる。

私は、97年度増税を圧縮する必要があると主張した。私の提案は消費税率を97年4月に1%、98年4月に1%と、2度に分けて引き上げるべきだというものだった。

この提案では1年あたりの増税規模は2.5兆円になる。バブル崩壊不況から回復したての日本経済に課す負荷はGDP比0.5%程度にとどめるべきだと主張したのだ。

財政支出拡大を主張したのではない。また、税制構造改革に反対したのでもない。財政構造改革はようやく実現した日本経済の回復基調を損なわない範囲内で進めるべきだと主張したのだ。

橋下政権は消費税5兆円、所得税2兆円、医療費負担2兆円、公共事業削減4兆円、合計13兆円のデフレ策を実行した。大蔵省の近視眼的な超緊縮財政政策を採用してしまった。結局、2年間で財政赤字は倍増してしまった。

3度目が2001年度だ。私は「中立」の財政政策運営を主張した。マクロ経済の視点に立つと、財政政策が「積極」、「中立」、「緊縮」であるかは、財政赤字を「拡大」、「不変」、「縮小」させるかで判定される。

2001年度当初予算の緊縮の程度は97年度の橋本政権を上回り、過去最大になっていた。経済が回復傾向を示すなかで、行き過ぎた緊縮策を強行すれば、97、98年の二の舞を演じる可能性が高かった。

「行き過ぎた緊縮策」を「中立の政策」に修正すべきであると主張したのだ。この論議を正確に理解してもらうには、やや細かな説明が必要だ。

拙著『現代日本経済策論』(岩波書店)第7章「財政構造改革」(6)「財政問題の制度的側面」に、この問題を記述した。しかし、テレビ番組などでの説明には適さない。

田原総一郎氏に代表される「御用言論人」は、私の主張を「積極財政」、「バラマキ財政」の表現で総括し、虚偽のイメージを視聴者に植え込む。

また、財政政策の内容として、私は「裁量支出追加型」でない、「使途自由な購買力付与型」の政策が望ましいと主張してきた。

景気対策ではすぐに公共事業が思い浮かべられるが、このような「裁量支出」は利権の温床になりやすい。

これに対し、「所得減税」、「失業給付拡充」、「ガソリン税率引き下げ」などの施策は、プログラムによって減税や政府支出が行われ、利権と結び付きにくい。

また、個人などが減税資金を自由意思で支出するから、資源配分が市場に委ねられることになる。このような理由から私は、景気対策をできるだけ「裁量支出」でなく「購買力付与」で実施すべきとの主張も繰り返してきた。

2001年度、小泉政権は超緊縮策を実施し、日本経済は崩壊した。結局、小泉政権は2度に渡って補正予算を編成し、5兆円の財源調達を追加した。

それでも小泉政権はこの失敗に懲りず2002年度も超緊縮予算を編成した。私は7月のNHK日曜討論で「必ず補正予算が必要になる」と述べた。竹中平蔵経財相は「補選予算など愚の骨頂」と述べた。

この経緯も拙著『知られざる真実-勾留地にて-』第一章「偽装」14「日本経済の崩壊」に記したので参照いただきたい。

結局、2002年度も小泉政権は5兆円規模の補正予算を編成した。

経済運営で最も重要なことは、自律的な安定成長を持続させることだ。基本的には「中立」の政策運営が求められる。

97年度も、2001、2002年度も、財政当局に誘導された政権が近視眼的な超緊縮財政政策を実行して、経済悪化を招き、税収減少と最終的に求められる景気対策で財政赤字を拡大させる結果をもたらしたのだ。

私は、1985年以来、中期的な財政健全性回復の重要性を一貫して主張し続けてきた。しかし、政治権力と政治権力に支配された御用言論人・御用メディアは、事実に反して私を「積極財政派」と「バラマキ財政派」に色分けしてきた。

新進党、自由党、民主党が私の主張を正確に理解し、党の政策方針に採用してきてくれたが、世間一般では御用メディアによって形成された私の主張に対する間違った理解が現在も残存している。

テレビ番組の限られた時間で正確な事実を説明することは難しい。「瞬間芸」の接続と表現できる「テレビメディア」の特性を知らなければならない。情報操作はこうしたテレビメディアの特性を利用して実行される。

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2008年7月25日 (金)

「歴史に学ばぬ者は歴史を繰り返す」(2)

財務省の辞書には「学習」という言葉がないと見られる。97年度、2001年度に続いて、3度目の政策失敗を演じる可能性が漂い始めている。

日本経済はバブル崩壊後、1991年年初に不況に移行し、私は1992年年初から景気支持政策策定を提唱したが、財務省は景気支持政策に強硬に反対し、景気対策は株価が暴落した92年8月まで先送りされた。

この失敗を含めれば4度目の失敗になる。

先述したように、97年度の政策運営の総責任者であった橋本元首相は97年度の大増税政策が失敗であったことを2001年に正式に認めた。首相の地位にあった者が地位を退いたのちに失敗を認めるのは勇気を要することだ。

「過ちて改めざる、是を過ちと謂う。過ちては則ち改むるに憚る勿かれ」だ。

橋本元首相はこの意味で立派だった。小泉元首相、竹中元経財相とはまったく異なる。

国家財政(=一般会計)赤字の具体的数値を紹介する。

大増税を実施した1997年度。

1996年度21.7兆円 の赤字が

1997年度は18.5兆円 に減少。

しかし、

1998年度に34.0兆円、

1999年度に37.5兆円 に激増した。

小泉政権下の2001年度。

2000年度33.0兆円 の赤字が

2001年度当初予算では28.3兆円 に減少したが、

2001年度実績では30.0兆円、

2002年度に35.0兆円、

2003年度に36.3兆円 に急増した。

2001年度の実績値30.0兆円は粉飾されており、

実態の赤字は33.3兆円だった。

小泉政権の公約は2001年度に破綻したが、小泉政権は2001年度の赤字を30兆円に偽装した。

これらの数値は以下の「真実」を意味する。

「財政赤字を縮小させるために実行された緊縮財政政策は、短期的には財政赤字を縮小させたことがあったが、中期的には財政赤字を逆に大幅拡大させた。」

  

「北風と太陽」のイソップ寓話を知る必要がある。

北風と太陽が旅人の外套をはがすことを競った。

旅人の外套をはがそうと冷たい北風を吹きつけるほど、旅人は外套を強く掴み外套ははがれない。

太陽が暖かい光を注ぐと、旅人は自ら外套を外した。

不況の入り口で「北風政策」を強行すると経済は急激に悪化する。税収が大幅に減少し、不況深刻化が景気対策を要請する。結果として財政赤字が大幅に拡大する。

大田弘子経財相の言葉を検討してみる。

「方法は三つしかない。歳出削減、成長力強化による税収増で、足りなければ増税だ」

経済構造は一朝一夕に変わらないから、「成長力強化による税収増」は短期的には実現しない。政府の施策は「歳出削減」と「増税」になる。

内閣府の財政収支試算が悪化したのは、足元で税収が見積もりを下回っているからだ。税収の落ち込みは景気悪化の結果だ。日本経済は本年年初から不況に移行した可能性が高い。

不況初期にある現段階での、財政収支改善を目的とする「歳出削減」と「増税」の実施は、まさに、1997年度、2001年度の政策の繰り返しだ。景気悪化が加速し、財政赤字は間違いなく拡大する。

  

本年3月14日の参議院予算委員会で、国民新党の自見庄三郎議員が大田経財相に財政政策発動の必要性について質問した。この日の質疑の結果、大田弘子経財相と元国際大学学長宍戸駿太郎氏とによる公開討論開催が決定された。8月8日に開催される。

これらの諸点については、「神州の泉」ブログに「日本経済復活の会」会長の小野盛司氏が精力的に論説を寄稿されている。

大田氏は3月14日の答弁で、二つの間違った事実を述べた。

第1は、「経済安定化を目的とする政策として、現在、世界的に金融政策が用いられており、財政政策を活用する考え方は取られていない」と述べたこと。

第2は、「財政政策は立案、決定、実施のタイムラグが大きく、経済状況の変化に対応した機動的実施が困難である」と述べたこと。

大田経財相は、米国のブッシュ政権が1月に減税を中心とする財政政策を策定し、2月に総額1680億ドルの景気対策を議会で成立させ、5月に実施した事実を知らなかったとしか考えられない。

内閣府スタッフは都合の悪い事実を大臣に教えなかったのだろうか。だが、仮にスタッフが教えなくとも、経済財政担当相の地位にある者がかかる基礎知識を持ち合わせていないとすれば、日本経済のかじ取りは恐るべき人物に委ねられていることになる。

    

財務省は超低金利政策を日銀に強要してきた。その大罪について7月21日付記事「「売国政策」を排除しなければならない」に記述した。

2000年以降、日本円は米ドル以外の通貨に対して暴落した。円とともに暴落した米ドルで日本の外貨準備を運用してきたために、日本国民は100兆円の損失を蒙った。

インフレを抑制する金融政策の効果で、円が上昇することは国民の利益に適う。米国は「ドル高は米国の国益」と発言するが、「円高は日本の国益」も「真」である。

「緩やかな金融引締めと緩やかな財政緩和」政策が求められている。経済運営で最も重要なことは、インフレを回避しつつ、日本経済の実力に見合う安定成長を維持することだ。

「バラマキ財政」を実行する必要はない。私が「バラマキ財政」を主張したことは一度もない。財政緩和は非利権型政策で実行すべきである。景気支持と財政健全化の手法については、機会を改めて考察する。

財政赤字は不況期に拡大傾向を示す。好況期には縮小する。不況期に拡大傾向を示す財政赤字を無理に縮小させようと緊縮策を強行すると、財政赤字は拡大する。これがこれまで繰り返した失敗だ。

財務省と小泉政権以来の政権は「北風と太陽」の寓話から「学習」すべきだ。

「現実を直視して、政策を失敗したなら率直に認め、その失敗を教訓として未来に活かす」

政治家が自己に厳しい行動を取るのは、政治家が国民の幸福のために行動するからだ。

過ちを偽装して正当化し、国民の苦しみを平然と見ていられるのは、政治屋が自己の利益のために政治活動をしているからだ。「痛みのある改革」と言うが、正確には「他人に痛みのある改革」だから、平然としていられる。

   

米国議会ライブラリーの礎に「歴史に学ばぬ者は歴史を繰り返す」の言葉が刻まれているという。

福田政権が三度目の失敗の扉を開きつつある。

財務省が失敗を繰り返すのは、財務省が国民の幸福を考えていないからだ。

国民の幸福を希求しない官僚機構と政権に政策が委ねられれば、国民が不幸になるのは必定だ。

国民の幸福を追求する政権を一刻も早く樹立しなければならない。

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「歴史に学ばぬ者は歴史を繰り返す」(1)

不況の入り口に立つ日本経済。福田政権は「歳出削減」と「増税」を検討する。「優柔不断」がもうひとつの特徴だから、総選挙を控え「景気対策」の声にも食指が動く。財務省が主導権を握れば、最悪の経過をたどるリスクが浮上する。

日本の元凶のひとつは財務省にある。財務省が実権を握る「官僚主権構造」が日本を破壊してきた。①弱肉強食の奨励、②官僚利権の死守、③対米隷属の外交、の三大基本政策は財務省によって主導されてきた。

1997年度に橋本政権は財務省主導の経済政策に乗った。バブル崩壊不況をようやく脱出した日本経済は奈落の底に落ちた。金融不安が火を噴いた。1997-1998年に日本経済は金融恐慌の淵をのぞいた。

2001年の自民党総裁選。橋本元首相は「歴史に学ばぬ者は歴史を繰り返す」の言葉を胸に刻み、自民党総裁選に立候補した。橋本元首相は小泉首相が提唱した超緊縮財政の危険性を訴えたが、小泉氏が当選した。

橋本政権が実行した1997年度大増税を最も強く批判したのは私だった。私は1996年年初から反対論を唱え続けた。橋本元首相は首相を辞されたのち、平成研究会(橋本派)研究会に私を講師として招き、私の考えを傾聴してくれた。

橋本元首相は2001年の自民党総裁選に際して、1997年度大増税政策が誤りであったことを公式に認められた。政治家としての出処進退、責任の明確化において、正義感の強い行動を取られたと思う。

政策最高指揮官であった橋本元首相が政策失敗を正式に認めたにもかかわらず、大蔵省は政策失敗を現在も認めていない。大蔵省内部で、政策失敗を正当化する研究会を創設し、政策失敗を偽装し続けている。

2001年度、小泉首相は史上最強の緊縮財政を実行した。「国債を絶対に30兆円以上発行しない」ことを公約に掲げた。

私は小泉政権の経済政策を政権発足時点から批判し続けた。小泉政権の政策により、日本経済は最悪の状況に向かうと警告した。現実に日本経済は戦後最悪の状況に誘導された。

日本経済は2003年にかけて、崩壊の危機に直面した。最終的に小泉政権は「税金による銀行救済」という金融行政史上最大の汚点を残した。限りなく深い闇に包まれる「りそな銀行救済」が実行された。

詳細は拙著『知られざる真実-勾留地にて-』を参照いただきたいが、小泉政権の経済政策は完全に破たんした。しかし、小泉政権は責任を取らなかった。このころから、日本の「責任倫理」は崩壊の一途をたどる。

重大な約束を破ったときには、「そんなことは大したことではない」。不正を追及されたら、「人生いろいろ、社長もいろいろ」と開き直る。非戦闘地域はどこかと質問されれば、「そんなこと聞かれたって分かるわけがない。自衛隊がいるところが非戦闘地域だ」の詭弁を押し通す。

2003年のりそな銀行救済は、金融行政の根幹である「自己責任原則」を放棄するものだった。「自己責任原則」とは、「責任ある当事者に応分の責任を負わせる」原則だ。

りそな銀行が破綻すれば、りそな銀行所有者=株主は出資金を失う形で責任を負わなければならない。ところが、小泉政権はりそな銀行に2兆円の公的資金を投入してりそな銀行を救済し、りそな銀行株主に巨大な利益を供与した。

   

福田政権は、7月22日の経済財政諮問会議で、2011年度までの経済財政に関する内閣府試算を発表した。小泉政権は2006年度に、国・地方合計の基礎的財政収支(=プライマリー・バランス)を黒字化する目標を設定した。

政府は「骨太方針2006」との呼び名を付けたが、牛乳のコマーシャルと勘違いしてしまう。意味不明なネーミングだ。

22日発表の試算値では、2010、2011年度に名目成長率が高まり、かつ、歳出削減が大幅に実行された場合でも、基礎的財政収支が3.9兆円赤字になるとされた。

名目成長率が低く推移し、歳出削減が小幅になる場合には、基礎的財政収支は7.9兆円の赤字になる。

「基礎的財政収支」とは、「税収-公債費を除く歳出」のことだ。公債発行金額と公債費が同額であると、基礎的財政収支が均衡する。政府は財政健全化指標として「基礎的財政収支」を用いている。

   

元衆議院議員の城内みのる氏「城内みのる「とことん信念」ブログ」で的確な指摘をされているが、大田弘子経済財政担当相は、内閣府試算値に関して次のように述べた。

「「(基礎的財政収支)黒字化目標は必ず達成する。方法は三つしかない。歳出削減、成長力強化による税収増で足りなければ増税だ」(2008年7月23日付中日新聞)

(以下は「歴史に学ばぬ者は歴史を繰り返す」(2)に続く)

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