議員除名に明確な基準不可欠
国会に登院しないNHK党のガーシー参議院議員に対して、国会がガーシー議員の除名を決めた。
憲法、国会法の規定に基づき、手続きを踏んでの決定であり、最低限の正統性は担保されている。
日本国憲法は
五十八条
2 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
と定めている。
日本国憲法前文は、
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」
の書き出しで始まる。
主権者である国民が国民の代表者である国会議員を通じて行動して日本の政治を行う。
国民の代表者である国会議員が国会での議決によってガーシー議員を除名処分にした。
国会議員多数の賛成によって決定したという意味で最低限の正統性を備えていると言える。
憲法第五十八条が定めるのは、
「院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる」
というもので、ガーシー議員は議会に登院しなかったことで「院内の秩序をみだした」ということにされた。
しかしながら、ガーシー議員は動画を提供し、陳謝の意思を示していた。
また、登院以外の方法での議会への参加の必要性も訴えていた。
コロナが蔓延して「リモート」での勤務が世界の趨勢になった。
この情勢変化に対して適応が遅れているのは国会である。
国会審議における「リモート」の活用が検討されても良いはずだ。
また、憲法が
「院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる」
と定めていることについて、ガーシー議員の不登院だけが、この規定に該当するのかについても議論が喚起されるべきだ。
パパ活で未成年に飲酒をさせた疑いが持たれている議員が十分な説明もせずに議員職にとどまっている。
政治資金規正法に抵触する事実が明らかにされた議員も議員職にとどまっている。
国会で「ねつ造でなければ議員を辞職する」と明言しておきながら、「ねつ造ではない」ことが明らかになりつつあるのに、進退について言及しない議員も存在する。
選挙の公約で「登院しない」ことを明言して29万票の民意を受けて参議院議員に選出された議員を、登院しないことを理由に除名にすることが適正であるのかどうかについては、より慎重な議論が必要であったと考えられる。
もちろん、議会に登院しないことが適正であると主張する考えはない。
議員に選出された者が職務に真摯に取り組むべきことは当然の倫理である。
また、ガーシー氏に対して脅迫容疑での逮捕状が請求されたことが報道され、ガーシー氏は今後、刑事事件での問題に対応しなければならなくなる。
刑事責任は適正に問われなければならないが、この問題が顕在化していない段階での議員に対する懲罰の問題は別のもの。
両者を峻別した議論をしなければならない。
問題は、ガーシー議員の「登院しない」行動に匹敵する問題行動を示す議員が少なからず存在するということ。
これらの議員の責任がまったく問われずに、ガーシー議員が除名になることはバランスを欠いていると言わざるを得ない。
いま国会で論議の対象になっているのは高市早苗議員の行動だ。
高市氏は政治的公平に関する総務省の行政文書について、当初は「ねつ造文書」だと主張した。
同時に、ねつ造でなければ議員辞職することに同意した。
しかし、直後に総務相が、当該文書が正規の「行政文書」であることを認めた。
すると、高市議員は当該文書の自分に関して記述した4頁が全くのねつ造だと主張を変えた。
その内容の一つである大臣レクについて、大臣レクは存在しないと明言した。
ありもしないことを書いており「ねつ造文書」だと繰り返した。
また、磯崎元首相補佐官が関与したことについて、磯崎氏の名前はこの3月になって初めて聞いたと述べた。
しかし、ネット上に、2013年時点で磯崎氏の講演会に出演し、磯崎氏と親しいと高市氏が発言していたことが暴露されると、「この問題に関して磯崎氏が関与していることを知ったのが今年の3月」だと弁解した。
さらに、大臣レクが存在しないと述べていたことについて、総務省の調査で大臣レクが存在した可能性が高いと明らかにされると、「政治的公平について」レクを受けたことがないと発言を変えている。
国会で虚偽の発言をすることは議会軽視であり、「院内の秩序を乱す」ことではないのか。
高市議員はくるくる発言を変遷させずに、責任ある対応を示すべきである。
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