打ち上げ失敗を中止と強弁するな
2月17日の午前10時37分に打ち上げ予定だったJAXAの次世代主力ロケット「H3」の試験1号機が打ち上げられなかった。
午後2時から行われた会見でJAXAの岡田匡史氏(H3プロジェクトチームプロダクトマネージャ)が経緯を説明。
同氏によると、ロケットの自動カウントダウンシーケンスは予定通り開始され、メインエンジン「LE-9」が着火し正常に立ち上がったあと、ロケット下部(エンジン上部)に設置された1段制御用機器が異常を検知。SRB-3への着火信号を送らなかったことから打ち上げ「中止」となった。
発射直前に打ち上げが「中止」されたということだが、2月17日のロケット打ち上げは「失敗」したということになる。
記者会見で共同通信記者が「それは一般に失敗といいます」と発言したことが論議を呼んでいるが、2月17日のロケット発射は、試みられたがロケット発射が実現しなかったことは事実。
2月17日のロケット発射試みは「失敗した」というのが客観的な事実だ。
JAXAは2月17日のロケット発射に「失敗した」ことを率直に認めた上で、早急に再試行を行ってロケット発射を「成功」させたいとの意向を示すべきだったと言える。
2月17日のロケット発射の試みは「失敗した」というのが動かしがたい事実。
JAXAはこの「事実」を謙虚に認めるべきだ。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)は宇宙飛行士が所属する部門が実施した実験で、データの捏造や改ざんに相当する行為が複数見つかったと発表している。
2022年11月25日に行われたJAXAの記者会見で古川聡宇宙飛行士が責任者を務める研究で、データのねつ造や改ざんがあったことが明らかにされた。
実験を主導した2人の研究者が中心となり、存在しないデータを作成したり、結果を書き換えたりしていたことが明らかにされた。
研究ノートがほぼ作成されていないなど、研究全体に数多くの問題があったことが判明している。
問題があったのはJAXA筑波宇宙センター(茨城県つくば市)にある閉鎖環境施設で2016~17年に5回行った実験。
将来の火星探査など数年に及ぶ有人飛行を念頭に各回、成人8人が2週間滞在し、精神や心理状態の指標を作るなどの目的で実施された。
生理データの測定に加え、心理面談の専門家であるJAXAの研究者3人が面談し、診断する計画だった。
ところが調査の結果、
(1)面談した研究者が2人だったのに3人であったと記録が書き換えられ、診断結果が捏造された事例が5つあった。
(2)研究者2人が面談結果を書き換えた改ざんが15件あった。
(3)面談の評価をめぐりチーム内に合議と多数決の考えがあり、客観的な指標や科学的合理性が精査されず、最後まで認識が統一されなかった。
(4)多数の計算ミス、データの鉛筆書き、評価者名や日付の不記載、研究ノートの不作成などの問題が判明した。
また、
計画書に外部委員会の評価を受けたとの虚偽が記載され、研究機関の長の許可を受けずに研究した例があった、
実験協力者からインフォームドコンセント(十分な事前説明と自由意志による同意)を得なかった事例が存在した、
規定された進捗状況の管理がなかった
ことなどが明らかにされた。
5回目の実験で血液試料の取り違いが判明して2019年11月に研究中止が決定された。
実験済みのデータでまとめた結果が2020年9月のJAXA内の評価会で示され、倫理審査委員を務める外部の識者などから多くの疑念が上がって問題が発覚し、調査が行われ、一連の不正が明らかにされた。
研究実施責任者の古川聡飛行士は当時の同ユニット宇宙医学生物学研究グループ長。
問題に直接関与していなかった模様だが指導が不十分だった管理責任が問われている。
当該研究の研究費は文科省科学研究費補助金(科研費)とJAXA予算を合わせて約1億9000万円。
古川飛行士は来年、国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在を計画している。
JAXAは「研究の責任者と飛行士とでは求められる資質が異なる」(佐々木理事)として古川氏の変更を考えていないとしている。
問題はJAXAに巨額の血税が注がれていること。
重要な問題は限りある国費=血税を何に使うのかということ。
財務省は財政危機を叫び、庶民に重税を課す消費税大増税を画策している。
そうであるなら、最低限の条件として、国費に無駄遣いが1円もなく、限りある国費が適正な優先順位に従って最適に配分されていることが必要。
日本が国費を投じてロケット発射を行う必要があるのか。
ここから議論を始める必要がある。
小中学校の学校給食を全面無償化すべきとの要望は根強い。
そのための費用は年額で5400億円。
こうしたものとロケット発射費用を比較することが必要なのだ。
予定通りロケットを発射できなかったことは「失敗」であり、それを「中止」であると押し通そうとするJAXAの姿勢は血税を注がれている機関として適正でない。
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