「門外不出」の雑魚 おいしく変身、全国へ
雑魚が一転して名物となった代表例といえるのが、山口県萩市の「萩の金太郎」。ヒメジという魚で、鮮やかな朱色が美しく、地元では金太郎と呼ばれて親しまれてきた。白身ながら濃厚な旨みがあり、刺し身にしても、煮ても、干してもおいしいが、広く流通しているものではなかった。
実はこの金太郎、フランス料理の高級魚「ルージュ」の近縁種。そこで身をオイルに漬け込み、地中海風に仕上げた「オイル・ルージュ」が開発された。生での全国発送は難しいが、これならば取り寄せが可能という。「道の駅/荻しーまーと」(電話:0838-24-4937、ネット通販なし)で購入できる。オイル・ルージュ669円、オイル・ルージュ・イタリアン720円(いずれも税込み・送料別)。
全身がコラーゲンで覆われた、軟らかな深海魚
同じように、邪魔者から名物に"出世"しつつあるのが富山湾の深海魚「幻魚(げんげ)」。表面には独特なぬめりがあり、見た目はヘビのようでグロテスクな印象を受ける。今でこそ幻の魚と書くが、「げんげ」という呼び名は「下の下」から転じたもので、以前は浜に打ち捨てられていたという。
嫌われ者が一転して注目を集めるようになったのは、表面のぬめりが良質なゼラチン質・コラーゲンであることがわかってからだ。確かに、鍋物や汁物に入れると、コラーゲンが溶け出し、汁にとろみが付く。身は軟らかく、唐揚げにしてもふんわりとして意外とおいしい。骨は細かく、加熱すれば軟らかくなってそのまま食べられる。
非常に多くの水分を含むため、劣化が早いのが難点。「奥田屋」(http://www.47club.jp/24M-000017)は生のまま冷蔵状態で全国発送に対応している貴重なネットショップだ。旬は冬場で、比較的大きめのものが水揚げされるようになる秋頃から販売を始めている。大きさの目安としては、1kgで7尾前後だという。鍋にして食べるのがいいだろう。1kg前後で3980円(税込み・送料別)。
高級ブランドサバが干物で取り寄せできる
福岡県の「あぶってかも」は、「あぶってから、かもう」という博多弁が由来の郷土食。全国的には厄介者扱いされていて不人気なスズメダイを、1日塩漬けしてあぶり焼きにして発送。ウロコごと焼き、ワタも取らずにすべて食べられる。「竜宮城」(http://www.ssk-jp.com/ryugujo/)で購入でき、2匹(約90g)で720円(税別・送料別)
「大羽いりこ」は、香川県伊吹島産の、長さ8cm以上の大ぶりなイワシの煮干し。鮮度を保ったまま加工される。食べ応えがある大きさで、だし取りだけでなく、おかずにも向く。天ぷらにすると油が適度に染み込み、身が軟らかくなって美味だった。「うまいもんドットコム」(http://www.umai-mon.com)で、300gの大羽いりこ2袋セットが1380円(税込み・送料別)。
「海無し県」発の刺し身になる魚
雌のニジマスは通常2年で成熟するが、3年かかって成熟する個体を選抜して育種し、ブランド化したのが、海と接していない群馬県の「ギンヒカリ」。2年間かけて1kg程度に育っても未成熟のため、肉質の低下がないのが特徴だ。塩焼きはもちろん刺し身でも食べられる。脂が乗って軟らかい。「あづま養魚場」(http://fish-azuma.com)で購入でき、1kg当たり3000円(税込み・送料別)。
「棒アナゴ」は、秋田県のなかでも男鹿半島でしか食べられていない干物で、実はアナゴではなくクロヌタウナギというヤツメウナギに近い仲間。冷凍のままグリルに入れて焼くと、外はパリパリで、かめば中から脂が染み出す。ホルモンのような独特の食感で、軟骨まで食べられる。「男鹿なび通販」(http://www.oganavi.com/shop/)で、「珍味 男鹿の棒アナゴ」(約35cm、2本)が1620円(税込み・送料別)。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2015年11月号の記事を再構成]
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