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川辺川ダムで新法制定
民主党は、これまでの悪政のツケ払いに苦しんでいる
川辺川ダム 中止時の補償に新法 国交相、意見交換会で表明
民主党は、これまで自民党が残した「負の遺産」の一掃に苦しんでいる。
中でも「ババを引いた」格好になっているのが、前原国交相である。
八ッ場ダムだけでなく、日本航空の再建問題でも苦慮している。
昨日は川辺川ダムを視察した。
視察後、国交相は
「国の政策変更により、四十三年間苦渋の選択を強いられた方々に心からおわびを申し上げたい。新しい立法で補償措置を決めさせていただく。(新法案は)来年の通常国会に提出したい」
と明言し、川辺川ダムの建設中止を決めた。
川辺川ダムも八ッ場ダム同様、計画が策定されたのは40年以上も前である。しかもその数字は、現在の経済状況を反映したものとは到底言い難い。八ッ場ダム同様、道路工事に多額の費用を投入した一方、肝心のダム本体には一銭も投じられていない。当の地元住民に、今回の大臣提案を受け入れる意思があるだけ、まだ救いがある。
それにしても、八ッ場ダム近辺のきな臭さはなんだろう。
東京新聞(2009年9月24日付)は、八ッ場ダムが抱える問題として、群馬県が4人の総理を出した、国内でも屈指の保守王国であることを伝えている。しかし、このことを指摘するメディアは、東京新聞以外には出てきていない。他のメディアは、「大本営」という名の関係者及び地元有力者の声を、無条件で垂れ流すだけだ。
八ッ場ダムに関する関東6都県の関係者は、25日に会合を開いて「八ッ場ダム建設計画中止反対」を申し合わせている。前原国交相が、返還義務のないお金を含めて全額返金する、と表明しているにもかかわらず、である。背後にうごめくのは、地元有力者と自民党議員、そしてゼネコンや役人などで構成される「利権サークル」の黒い闇である。
前原国交相が八ッ場ダムの現場に来た際、「地元住民」らは国交相との面会を拒絶した。国交相が計画中止について謝罪し、新たな補償案を考えると明言しているにもかかわらず、である。大メディアはなぜか報道しないが、昨日(2009年9月28日付)の日刊ゲンダイは、巨額保証金を巡って何らかの理由で隠され、新政権によって召還されるのを恐れているのではないかという、地元のホンネを伝えている。ただし民主党は、住民救済策として新法制定を計画し、過去の保証金を返還してもらうつもりはないといっている。前原国交相の提案は、住民には何らマイナスの案件はないのだが、住民がおいそれとその提案に乗ってこないのは、国の方針が二転三転して感情的になっているのに加え、地域ボスの思惑に縛られ、またこれまで支援・支持してきた自民党に気兼ねしているのではないかと思われる。
実際、八ッ場ダムがある長野原町役場には、全国各地から毎日抗議メール・電話が殺到しているという。25日の深夜から朝にかけて、役場のメルアドに4、000を超える抗議メールが送られ、悲鳴を上げた町役場当局は、メール受信ができない設定にしたという。抗議電話も殺到し、役場の電話は一日中鳴りっぱなしだそうだ。住民は「ムラ社会」の掟に気兼ねし、表向きは声を上げないのだが、心の内では今回の民主党の決定を歓迎しているのである。
それにしても、本件では地元知事のさもしさは目に余る。今の知事達の多くは、ことあるごとに「中央とのパイプ」を口にし、中央に知り合いが多い自分が当選すると、地域は豊かになると主張してきた。住民も「中央に知り合いが多い人間を首長にしたら、地域は豊かになる」と盲信してきた。そのなれの果てが今の日本、特に小泉「構造改革」以降の日本の姿だ。地方の荒廃、これまで以上に広がった生活格差を目の当たりにした有権者達は、自民党政治の限界を悟り、民主党に清き1票を託した。民主党政権誕生、そして今回の前原国交相の提案は、国民の意思に沿ったものだが、「利権」という麻薬が切れることを恐れた保守層は、この結果に驚愕して、あの手この手で国交相を籠絡するだろう。前原が籠絡されないために、市民保守層をこれまで以上に監視する必要がある。