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幸福実現党玉砕す
世間は彼らを「泡沫候補」の集まりと見なした。
幸福実現党、初陣も議席に届かず
この党の母体団体である大川隆法・幸福の科学総裁は、文藝春秋8月号で
「幸福の科学の組織力は、自民党や民主党より上」
と吹いていたそうだ。同教団の会員数は「1,000万人を突破」したと、盛んに世間に喧伝していた。
前回の記事にも書いたとおり、この党は三塚博・元蔵相(故人)の最大の支援団体として知られ、前回の参議院選挙では丸川珠代候補を、今年の千葉県知事選では森田健作候補を、それぞれ当選させた「実績」がある。そのため、同教団ウォッチャーは、今回の都議選は、同教団の本当の実力を図る絶好のいい機会だととらえていた。
ところが、今回の都議選で、この党および母体教団の本来の実力が、単なる「こけおどし」であることがわかってしまった。
都議選で擁立した候補は10人だが、得票数はたった13,000票あまり。足立区で立候補した候補の獲得した2,115票が最高で、武蔵野市で立候補した候補者は、たった396票しか取れなかった。足立区が都内でも指折りの保守的な地域であり、武蔵野市が民主党・菅直人副代表の地元であることを考慮に入れても、この数字はひどすぎる。
「幸福の科学」がライバル視する教団が創価学会であることは、新興宗教ウォッチャーの間では常識になっている。創価学会の信者数は800万を超え(公称)ているが、その創価学会を母体とする公明党ですら、今回の都議会選挙では獲得した票数は743,000あまりである。幸福の科学の信者数が、本当に信者数が1,000万人(ということは、日本の人口の1割近くである。そんなアホな!)いたら、獲得議席数は2桁いっていなければおかしい。にもかかわらず、今回の選挙では、この政党は候補者全体で13,000票しか集められなかった。
同党は支持層として、信者の他に「ネトウヨ」や「ウヨ厨房」などの極右層の支持を取り込むことを狙っていたようだが、自民党や民主党にだって、彼らが喜ぶような首長をする議員はいくらでもいる。ましてや、今回の都議選は「政権選択選挙の前哨戦」といわれていたのだ。有権者は、訳のわからない新興宗教団体をバックにした政党より、既存政党から出馬した立候補者の方が遥かにましだと判断したのである。
都議会、自公過半数割れ
有権者の反発は、想像以上だった。
都議選 民主が圧勝第1党、自公は過半数割れ
まず、都議会の新勢力図から
<与党>
自民党…38(-10)
公明党…23(+1)
<野党>
民主党…54(+20)
共産党… 8(-5)
ネット… 2(-2)
無所属・諸派… 2(-2)
投票率 54.49%(前回比+10.5%)
自民党に対する逆風は、自民党が街頭演説で「国政と都政とは別物だ」と連呼絶叫する、今回の都議選でも止まらなかった。獲得議席数「38」は、’65年に都議会議議長選での贈収賄疑惑で解散した「黒い霧解散」以来で、自民党はこの時も、都議会第一党を社会党(当時)に譲った。今回の結果は、それ以来の大惨敗ということになる。
自民党の不振の象徴が、7つある「1人区」の選挙結果。1人区で勝ったのは島部だけで、残り6つの選挙区はすべて民主党に敗れた。中央・千代田・青梅の三選挙区は、半世紀以上自民党が議席を守ってきた選挙区だったが、これらの選挙区も、「若さ」を全面に打ち出し、「変化」を叫ぶ民主党の勢いの前に敗れた。特に千代田選挙区の自民党立候補者は、当選回数6回のベテランであり、かつ都連自民党幹事長という大物だっただけに、ここでの敗北は、自民党に衝撃を与えた。
自民党は他の選挙区でも苦戦し、民主党候補者に開票早々「当確」ランプがついた荒川区では、残る1議席を巡っての公明党との「一騎打ち」に敗れた。世田谷選挙区でも、左派勢力から「極右3羽ガラス」と名指しされたベテラン議員が落選するなど、自民党は苦戦を続けた。これだけの苦境にもかかわらず40議席まで「あと一歩」まで迫ったのは、この党に地力が残っているということか。これだけ世間からバッシングを受けて、それでもなお「自民党」に投票する人がいるということは、この党が築いたネットワークが、それだけ強固であるということでもある。
決戦は日曜日@都議選
来るべき衆議院選の前哨戦、Let’s Start!
東京都議選の投票始まる 大勢13日未明に判明
世間もメディアも、二言目には「衆院選」「解散」「地方分権」などとピーチクパーチクやっているが、今度の都議会選挙は、重要な意味を持つ。
今度の選挙結果で、麻生首相がいつ「退陣発表」するか。いつ国会を「解散」するか。
今回の都議会選挙の主な争点は
・新銀行東京
・東京市場の、築地から豊洲への移転問題
・東京オリンピックの誘致の是非
他にもいろいろあるのだが、主立った争点はこの3つ。
まず、新銀行東京。
「首都大学東京」と同じく、およそ「作家」を知事に戴く自治体とは思えないほど、センスのない名前を持つこの銀行は、他の銀行の「貸し渋り」で苦しむ中小企業経営者のために、低利で運転資金を融資するという触れ込みでスタートした。だがいざ始まってみると、この銀行に融資のノウハウがなく事前審査が甘かったり、都議が融資先に口を利いたなどの噂が流れたりといったトラブルが絶えず、資金を貸し付けた企業が倒産して、あっという間に回収不可能な債権がふくらんだ。中には、会社の実態が曖昧なのに融資を受けたという、詐欺まがいのケースもあった。都側は経営陣の交代、資本金の増額で対処したが、この銀行の「資本金」は都民の血税である。
次に、東京市場の移転問題。
作家・江川剛氏は、ことあるごとに「築地は日本の食文化の象徴」といい、築地市場の移転に反対している。築地の施設が老朽化し、移転の必要があるのは事実であり、移転先を巡って議論が続いていた。すったもんだの末に豊洲に移転が決まったが、新たな事実が発覚した。豊洲の土壌から、高濃度のダイオキシンが見つかったからだ。都側は「土壌改善工事で対処できる」と強弁しているが、汚染された土壌の上に立つ市場で扱われた食べ物を誰が食べたがるか!
野菜・刺身などの食べ物は、これから移転された市場で扱うのだ。出荷されたときは大丈夫だったのに、市場で化学薬品に汚染されましただなんて、シャレにもならない。それどころか、生産地の農家・漁師は「あんな市場には出荷したくない」とか思うに決まっている。自分の信用・信頼関係に関わるから、彼らは声を大にして「築地市場の豊洲移転に反対する」と叫ぶべきだ。「自分は『都内在住』じゃないから関係ない」という考えは許されないと思う。
静岡県知事選は川勝氏
国民生活を「崖っぷち」に追い込んだ権力者は、自分達も崖っぷちに追い込まれた。
選挙:静岡県知事選 民主系・川勝氏が初当選 自公系・坂本氏に小差
自民党側から見れば、この選挙は「勝てる」選挙のはずだった。
自民党は早々に、地元選出の参議院議員を候補に擁立した。
対する民主党側は公認調整に失敗、公認候補の他に、元民主党の参議院議員が出馬する「股裂き」状態。おまけに知事選公示直前には、民主・鳩山代表に金銭スキャンダルが勃発した。
民主系候補が分裂したため、本来なら自民党が楽勝の選挙のはずだった。
だが、結果は全く逆になった。
得票率が大幅に上がったことも、自民党側には不利になった。
自民系の候補は、例によって「自民党」を隠す戦術に出た。
麻生のイメージを嫌って、選挙期間中は麻生総理を呼ばなかった。
ところが、これが裏目に出た。
実はこの候補、厚生労働省出身のキャリア官僚なのだが、厚労省在籍時「史上最悪のハコモノ」と揶揄された「私のしごと館」推進者の一人だった。さらにこの候補のポスターには,前職であるはずの「自民党参議院議員」の文字が印刷されていなかった。本人は「私は『自民党』ではなく『県民党」だ』とメディアのインタビューで強弁を繰り返していたが、応援演説者は全員自民党の国会議員。その事についても当人は「個人的な関係できてもらった」とイケシャーシャーと言っていた。
「『県民党』を名乗っているのに、応援者は自民党ばかりではないか」
静岡県の有権者は、その候補者の欺瞞を見抜いていた。
民主党・鳩山代表のスキャンダル発覚も、県民は
「自民党はそれ以上に汚いことをやっているじゃないか。いい加減にしろ」
とくらいにしか思っていなかった。
横須賀市長は落選
「小泉構造改革」は地元でも否定された。
だが、この結果には民主党も楽観できない。
政党候補にノー 横須賀市長選 自・民ともに不安残す
選挙結果(全票開票)
1 無所属 吉田 雄人 68,628
2 無所属 かばや 亮一 64,147
3 無所属 ごとう 正彦 23,134
投票率45,22%(前回40.22%)
横須賀市は、小泉のお膝元だ。
そのお膝元で、小泉が推す現職が激戦の末破れた。
ただし、今回の結果が小泉一族の「終わりの始まり」になるか否かは、現時点では何も言えない。
私が参加しているMLに、小泉に関する情報が流れた。
小泉のお膝元・横須賀は、米軍基地の上がりで食っている町だということ。
広域指定暴力団の本拠地が、横須賀にあること。
横須賀市内で何らかの商売をしているものは、この広域暴力団の支配から逃れられないこと。
そして小泉一族を長年にわたって支えてきた有力後援者は、この暴力団の幹部だということ。
小泉元首相とこの暴力団幹部との関係は、写真週刊誌「FRIDAY」が何回も掲載していた。しかし、他のマスコミがこれに追随することはなく、真相はいつの間にかうやむやにされた。ことがことだけに、地元関係者も「我が身大事さ」か、このことを口にするのをはばかられる雰囲気があった。
その沈滞ムードを打ち破ったのは、33歳の元横須賀市議だった。
彼は「3代36年続いた官僚市政の打破」を訴え、今回の市長選に立候補した。
自転車で市内を回って自らの政策を訴えた。今年に入ってから、全国各地で30代の市長が誕生していることも、彼を後押しした。
「沈滞した横須賀を変えたい」。
そんな市民の願いは、33歳の新市長に託される。