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貧乏人が綴る、以前運営していたHPの日記コンテンツを引き継ぐブログ。

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「金融CSR」への挑戦

2010 - 08/03 [Tue] - 10:28

 「第3回エコ貯金フォーラム-ソーシャル・ファイナンス発展のために預金者・金融の現場・経営者ができること-」の第5回目。今回は高瀬美由紀さん(中央労働金庫)のお話を紹介します。

 「金融CSR」への挑戦~中央ろうきんのNPO支援施策~
 中央労働金庫 総合企画部 CSR企画 高瀬美由紀

 「労働金庫(以下(ろうきん)」とは、働く人々による「助け合いの精神」で成り立つ金融機関である。労働者は組合費を労働組合に払い、労働組合は「ろうきん」に出資金を出したり預金し、「ろうきん」は、勤労者に融資をするという関係で成り立っている。「ろうきん」は、労働組合・事業者に対する金融審用事業である。
 終戦直後の日本は、個人の信用力がない時代で、個人の資金調達方法は、高利貸しや質屋(通称一六銀行)からの借金に頼っていた。当時の労組は、高利の借金に苦しむ組合員対策に頭を痛めていたが、スト資金としての団体資金はあったが、金融機能を持っていなかった。
 「自分たちのために、自分たちのオカネで自分たちの資金を循環させていく仕組みを作ろう!」
 「質屋・高利貸しからの解放を目指し、自分たちの銀行をつくろう」
という組合員の気持ちがたかまり、1950年、岡山と兵庫に労働金庫が誕生し、3年後に労働金庫法が施行された。
 「ろうきん」は、会員が行う経済・福祉・環境及び文化に関わる活動を奨励し、人々が共生できる社会の実現に寄与することを目的にすることを謳っている。「ろうきん」は働く人の団体、市民の参加による団体を会員とし、そのネットワークによって成り立っている。会員は平等の立場で運営に参画し、運動と事業の発展にと努めている。「ろうきん」は誠実・公正・公開を旨とし、健全経営に徹して会員の信頼に応える金融機関である。
 現代の労働組合・労働者(「ろうきん」では「勤労者」としているが、ここでは「労働者」の呼称を使う)が抱える課題として、将来への不安、労働運動の求心力、今日的な豊かさの追求がある。生活や福祉に関わる課題が増え、労働組合組織率が低下して労働運動の求心力がなくなりつつある(これについてはいろいろいいたいこともあるが、ここでは触れない)。価値観・意識が変化してライフスタイルが多様化し、社会との関わりを求めて自己実現・確認を希求するなど、「豊かさ」の指標も変化している。また少子高齢化の進行、雇用不安や失業率の増加、環境問題など、個人的では解決できない問題が出てきた。それら個人では解決できない社会的課題の解決のために、NPOが台頭してきた。NPOは、新しい社会セクターとしての「市民」として、自主・自立の新しい社会を構築するための、新しい社会の担い手として期待されている。
 1998年に特定非営利活動促進法が制定され、この法律に基づいて認証された法人は、2010年現在で39,893法人ある。社会福祉系のNPO法人は45%を占めるが、全体の約7割が年間500万以下の収入で運営しているのが実情だ。
 「ろうきん」がNPO融資制度創設に関わったのは、1995年に発生した阪神・淡路大震災がきっかけである。この年は「ボランティア元年」といわれ、多くの市民・ボランティア団体台頭すると同時に、行政・企業型縦型社会の限界を実感させられた。この時、被災地に赴いたボランティアたちや職域・労組関係者は、社会作りで手を取り合うのは必然なのではないかという思いを抱くようになった。
 1996年、震災で出会った仲間と一緒に、ボランティア団体の学習会を立ち上げた。翌年、労組とボランティア団体との共同をテーマにした300人規模のシンポジウムを開催し、組織外の理解者の共感を得て、大成功を収めた。この年、1都7県の支援センターの訪問を開始した。
 1998年、立ち上げ期の団体(NPO・NGO】の支援をするための「助成プログラム取り扱い」を開始した。これと並行して、資金ニーズの把握と、活動分野の調査を行うマーケットリサーチを開始した。
 NPO融資制度を創設したのは、公的介護保険制度の改正(1998年)もきっかけの一つである。公的介護保険制度の指定事業者に、NPO法人が加わり、福祉系NPO法人がその準備を開始した。しかし事業開始から資金入金まで3ヶ月かかり、その間の資金ショートの問題が発生したことから、運転資金のニーズが急増した。実績のないNPO法人は信用力がないから金融サービスが受けられない。ここで「ろうきん」は、「社会にとって必要な事業にファイナンスを提供していく存在」であるという理念に回顧し、NPO向け資金融資制度の立ち上げに動いた。

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~投資に躊躇している方、寄付に迷っている方へ~

2010 - 07/30 [Fri] - 10:54

  「第3回エコ貯金フォーラム-ソーシャル・ファイナンス発展のために預金者・金融の現場・経営者ができること-」の第4回目。今日は金融機関の現場から-現場からのボトムアップで目指すソーシャルファイナンス-の前編として、大和証券の山本聡氏のお話を紹介します。

 Activate Your Money For Social Good!
 ~投資に躊躇している方、寄付に迷っている方へ~
 大和証券株式会社 商品企画部 次長
 山本 聡

 世界は今、貧困・飢饉・医療・水・気候変動などさまざまな困難に直面している。これら社会的な課題の解決には莫大な資金が必要である。しかし、公的なセクターである先進国各国は政府は、深刻な財政難に直面しているし、民間セクターからの寄付や善意の活動には限界がある。各国政府に代表される政策サイドの「民間投資資金を効率的に活用できないか」という思惑と、投資家サイドの”do well  by doing good”の気運の高まりが重なり「投資を通じて社会を動かそうと言う新しいムーブメントが起こり始めた。それが「意思のある民間投資資金」で、投資家は社会的な課題を解決するための活動をしている企業に投資し、そこからリターンを受け取るのである。
「リーマン・ショック」以降、この動きは顕著になっている。
 2007年段階での市場規模は、欧州は352兆円、アメリカは237兆円、カナダは42兆円、オーストラリア・ニュージーランドでも約6兆円あるが、日本は1兆円にも達していない。投資家はアメリカ・カナダ・ヨーロッパは機関投資家(生・損保等)が9割以上を占めるが、日本は個人投資家が9割近くを占める。
 個人金融資産の保有比率は、アメリカは株式を中心に(31%)保険年金(28%)、投資信託(18%)、現金預金(19%)とバランスよく持っているのに対し、イギリス・ドイツ・フランス3カ国では保険年金がメインであり、日本は厳禁だけで6割近く(56%)を占める。
 マイクロファイナンス債券の特徴は「ワクチン債」「グリーン世銀」などシンプルな商品性と、わかりやすいメッセージである。これらは満期一括債で、固定金利である。日本では2008年、大和証券がワクチン債を発行したのをきっかけに、今年になって10種類以上のソーシャル債が発行されている。
 ソーシャルビジネス・マイクロファイナンスが一番力を発揮するのは、貧困問題の撲滅だろう。世界の人口の4割にあたる約27億人が、1日2ドル以下での生活を強いられている。これらの人々には経済活動に参加する機会がないから、いつまで経っても貧困から抜け出せない。彼らを救う手段として、1970年代半ばから「マイクロファイナンス」という手段が登場した。 
 これは、貧困に直面する人々に、金融サービスを通じて経済活動へ絵の参加機会を提供しようというシステムである。各地域のマイクロファイナンス機関(MFIs)は、貧困層に生産活動・収入想像のための資金を無担保で貸し付ける。平均的融資額は数10~数100ドルで、借り手は女性が多い。相互監視体制により、平均的な返済率は95%を超えており、寄付やボランティアではなく、ビジネスとしてちゃんと成立してる。
 マイクロファイナンス投資額は、2001年は40億ドルだったが、2008年には融資額が370億ドルにまでなった。しかし、必要とされる資金にはまだ2,000億ドル足りず、資金調達も国際機関に多くをおっている。そのため、資本市場からの資金調達が、持続的発展のカギを握っている

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金融機関におけるサステナビリティの実践

2010 - 07/20 [Tue] - 10:32

  「第3回エコ貯金フォーラム-ソーシャル・ファイナンス発展のために預金者・金融の現場・経営者ができること-」の第3回目。今日はHSBCの顧問・山田晴信さんのお話を紹介します。


 トークセッション-1
 金融機関におけるサステナビリティの実践
 山田 晴信(やまだ はるのぶ)
 HSBC顧問

 HSBCは、1865年に設立され、英国ロンドンに本部を置く、世界をリードする金融サービス機関である。世界88カ国に、約8,000の拠点がある。日本には1866年にやってきた。現在の総資産額は2兆3,640億ドルで、利益の半分を香港・上海・ラテンアメリカで稼いでいる。
 HSBCの「持続可能性へのコミットメント」について、グループ会長のスティーブン・グリーン氏は、「我々は、事業の持続可能性において、世界をリードするブランドの一つになることをも苦境にする」ことを掲げている。
 HSBCにとって「持続可能性」とは、長期的なビジネスの成功を確実にするために、環境・社会・経済の正しいバランスを維持するような、意思決定を行うことである。こうした意思決定が、我々のステークホルダー(利害関係者)にとって長期的な価値をもたらし、HSBCのブランド価値を高めることになると信じている。
 取締役は社内6人、社外15人で構成されている。

 次に、HSBCのCSに関する取り組みについてご紹介したい。
 2005年、HSBCは世界で初めて、カーボンニュートラルを達成した大手金融機関になった(「カーボンニュートラル」の概念についてはこちらを参照)。また、全事業拠点で、FSC認証紙をガイドラインに規定した。FSC認証紙とは、適切に管理された森林からのチップが原料であると証明された紙のことで、追跡可能な唯一の用紙である。この紙を使うことで、不法(違法)伐採などの圧力から森林を守ることにつながり、健全な森林経営を応援することになる。自らのバイオマスエネルギー(黒液)を利用する事で、化石燃料を抑制し、化石燃料由来のCO2排出量の削減につながる。この紙を導入したことで、85万トンのCO2排出削減に成功した。この紙は世界的な自然保護団体(WWF)が推奨しており、バージンパルプを使用している為、再生紙や非木材紙に比べ印刷品質が向上する利点がある。
 企業への融資は、FSCの原則に則って行っている。FSCの原則とは、森林管理や先住民、地域社会や労働者の権利を尊重するための原則である。赤道原則とは、世界銀行グループの環境社会配慮に関する方針や、ガイドラインを民間金融機関に拡げた取り組みであり、採択した金融機関は、プロジェクトファイナンス案件において、この基準に沿った環境・社会への配慮が行われるようにプロジェクト実施者と協議し、基準を遵守しない案件への融資を行ってはならないという原則である。

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預金者は主権者~社会を変えるための金融~

2010 - 07/16 [Fri] - 10:54

 「第3回エコ貯金フォーラム-ソーシャル・ファイナンス発展のために預金者・金融の現場・経営者ができること-」の第2回目。今日は田中優さんのお話を紹介します。

 預金者は主権者~社会を変えるための金融~
 田中 優(たなか・ゆう)
 未来バンク事業組合理事長 
 日本国際ボランティアセンター理事 
 ap bank監事 等 

 NGOというのは、人間を一人の人間に立ち返らせるものだと思う。自分の意思がないのは、奴隷でしかないのだ。今日は「お金」がテーマになっているので、その話をしたい。
 日本国内には、ムダな公共事業が多すぎる。その例を2つ挙げる。
 静岡空港というのが問題になっている。この空港は山の半分を削ったので、世界一建設費用のかかる空港になってしまった。県側は年間135万の利用者を見込んでいるが、航空会社労組は、利用者はやっと20万人だろうと推定している。これらの建設資金には、郵便貯金からの財政投融資が使われている。静岡銀行は、わりと評判の高い銀行のはずだが、静岡銀行はこの空港建設のために、多額の融資をしている。
 北海道に「二風谷(にぶだに)」というダムが建設された。’97年に建設されたが。少なくても5年後の2002年には砂で埋まってしまい、使い物にならなくなってしまった。ダムは後ろから埋まっていき、水底が見える時点では、貯水能力がなくなった。このダムの建設費は152億円かかったが、国はこのダムを含める周辺の土地を52億円で売ってしまった。本当にムダなことをやっている。さらにこのダムの上流には、沙流川(さるがわ)ダムの建設予定もある。もともと「沙流川」とは、「砂の流れる川」という意味だったが、現実はかくの如しである。
 将来を予測してみると、少子高齢化の傾向は止まらないことがわかる。政府発表のグラフに対し、現実は予測よりも低い値で推移している。このままいくと、100年後には人口は半減するから、政府は今の政策を変更する必要がある。
 今の日本の財政は、1,000兆円の借金を抱えているといわれるが、実際はもっと多いかも知れない。これに対し、個人の貯蓄は1,500兆円あるといわれている。ただしローンを抱えている個人が多いので、その分をのぞくと、実質は1,000兆円になる。日本は少子高齢化の進行によって税金・公的負担が増加し、財政改革は全く進まず、国の負債は増大する一方だ。
 このままの状態で推移すれば、国の赤字額は個人の資産を上回るようになる。足りない部分を海外の投資家から借りなければならないが、エネルギー自給率が4%、木材の自給率が20%、食料自給率が41%しかない国家に投資する、酔狂な投資家がいるのだろうか?借りるとすれば、相当な高金利でしか資金を調達できない。円は暴落し、ハイパーインフレが起こるだろう。
 ではどうしたらいいのか?我々の運動には3つの方向性がある。自ら政治家になったり、影響を与えられるポジションから世界を変える方法(タテ)、隣の人に話したり、多くの人たちのムーブメントから変える方法(ヨコ)、全く別の仕組みを考え、現実にやってみせる方法(ナナメ)である。
 個人がお金を預けるの口座は、密接に社会につながっている。年金・簡易保険・郵貯は財投機関を通じてダム・原発・ODAなどに投資され、それらは環境破壊や人権侵害につながっている。銀行預金は短期国債で運用され、それを通じてアメリカ国債に投資され、米国の戦争費用になっている。日本は先の第二次大戦で、戦費の7/8は郵貯で調達された。また、イラク戦争の時は、日本は最大で7,000億ドル以上をアメリカ国債に投資している。日本は、イラク戦争の戦費の9割を負担している。農民のための組織であるはずの農協のお金は農林中金を通じて世界銀行債に変わり、それが農業の自由化につながる原因になっている。投資信託のお金はグローバル企業に回され、カジノ経済化に拍車がかかった。
 経済のグローバルを食い止めるため、全国各地でNPOバンク設立の動きが急速に広まっている。北は稚内(北海道)から南は鹿児島まで16都市にある。従来の金融機関は、地方で集めたお金を中央で決めていたのだが、これらのNPOバンクは地方で集めたお金は地方で決める、みんながお金の主権者になるという趣旨で活動している。

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エコ貯金プロジェクトのこれまでとこれから

2010 - 07/02 [Fri] - 17:35

 6月27日、広尾にあるJICA地球広場において、A SEED JAPAN「エコ貯金プロジェクト」主催のセミナー「第3回エコ貯金フォーラム-ソーシャル・ファイナンス発展のために預金者・金融の現場・経営者ができること-」が開催された。当日は、250名収容の会場に、客席の8割が埋まる盛況ぶりであり、「環境とオカネ」に関心を持つ人たちが多いことを窺わせた。講演の多くは、当日配布されたレジュメに沿って行われたが、当ブログでは、管理人の記憶に残っている範囲で、その講演内容を再現してみたい。

 オープニング「エコ貯金プロジェクトのこれまでとこれから」
 浦山祐史(A SEED JAPAN エコ貯金プロジェクト スタッフ)

 自分は今年26歳で、普段はシステムエンジニアをしている。’08年1月から「A SEED JAPAN(以下ASJ)でボランティアをしている。私が所属している「エコ貯金プロジェクト」は、ASJのプロジェクトの一つで、’03年から活動している。
 貯金には3つの性格があると思う。ATM、コンビニでの引き出し、利率などの「利便性」、自己資本比率、格付けなどの「健全性」、応援したい分野への融資、自分が反対する分野への融資を制限する「社会性」である。我々が提唱する「エコ貯金」とは、利便性・健全性・社会性を兼ね備えたものである。
 私たちは、預金先を選ぶ権利がある。具体的には、社会問題を引き起こす企業に融資する金融機関に預金せず、環境問題に取り組む企業を支援する金融機関に預金するのだ。「エコ貯金プロジェクト」では現在、「口座が変われば社会が変わる」キャンペーンをやっている。我々の提唱する「エコ貯金」で、金融機関を選ぶ意識を預金者に持ってもらい、預金者の声を金融機関に届ける活動である。参加者には、現在の金融機関から、エコ貯金として預け替える額と預金先を宣言する「エコ貯金」宣言をしてもらう。5年間でたまった「エコ貯金宣言」は、金額ベースで1兆円を突破した。宣言前は、郵便局と都市銀行で7割近くを占めていたのだが、宣言後は労働金庫と信用金庫で6割を占めるようになった。
 同時進行のプロジェクトとして、金融機関に公開質問状を3回送付(’05・’08・’09年)し、社会的事業の融資、兵器産業や人権侵害をしている企業等への融資について質問した。結果、情報配慮型融資の情報公開、クラスター爆弾製造企業への投融資の問題への対応などで進展が見られるなど、一定の効果を上げた。

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アースデイ2010

2010 - 04/25 [Sun] - 10:30

 先日、日本最大の環境系イベント「アースデイ東京2010」に行ってきた。前日の関東は、実に41年ぶりの積雪という事態に見舞われ、客足がどの程度伸びるか心配されていたが、初日の昨日は、天候の回復とともに順調に来場者数が増えた。
 さて、ここでアースデイの歴史をざっとおさらいしてみたい。
 アースデイは1970年、ウィスコンシン州選出のG・ネルソン上院議員が、4月22日を"地球の日"であると宣言したことがきっかけになって誕生したイベントである。当時の米国はベトナム戦争の真っ最中で、国内はベトナム戦争に反対する学生があちこちで反対行動やデモ行進を行い、警官隊と衝突して逮捕者が出るなど、激動の日々であった。カシアス・クレイがムスリム(イスラム教徒)に改宗して「モハメド・アリ」を名乗り、戦争反対の意志を貫いて徴兵拒否宣言をしたため、チャンピオンベルトを剥奪され、それを不当としたアリが裁判闘争を起こしたのも、ちょうどこの頃である(なお、アリのこの訴えは裁判所から「良心的兵役忌避者」と認定され、無罪が確定している)。
 ネルソン議員の呼びかけに呼応し、全米中の学生のとりまとめ役になったのは、当時米学生自治会長をしていたデニス・ヘイズ氏である。こうして開かれた1970年のアースデイは、全米で参加者が2,000万人以上が参加し、地球への関心を表現するアメリカ史上最大のユニークで多彩なイベントとなったのである。
 日本でアースデイが開催されたのは、2001年4月である。イベントは明治神宮と代々木公園でおこなわれれたが、新宿パークタワーでは、ブロードバンドを使って、初めて広くインターネット発信された。初めての開催にもかかわらず、来場者数は8万人を超えた。その後もアースデイは認知度を高めていき、4回目の開催になった2004年の大会は、芸能人が多数参加したことも会ってか、来場者数が10万人を突破した。そして、その後も入場者数は毎年のように10万人を超える、日本最大の環境イベントにまでなった。
 今年のアースデイは「愛と平和の地球の祭典」をメインテーマに、参加グループ424グループ、テント数275張り、参加イベント121、参加ボランティア637人という、史上最大の規模で開催された。参加団体も、当初は環境系が中心だったのだが、近年はグローバルかを反映してか、国際交流団体や地域保全のために活動する団体などの団体が目立つ。今年の例だと、マイクロファイナンスの普及を目指すNGO、山口県祝島(いわいしま)に建設予定の上関原発に反対する市民グループ、下北沢再開発反対を訴える市民団体、宮下公園が「ナイキ宮下パーク」に反対するグループがブースを出展しており、会場内はかなり賑わっていた。
 私がこのイベントに足を運ぶのは6年ぶりである。そのときは反戦・経済のグローバル化についてのシンポが多数開かれており、私が会場に行ったのは、それらのシンポが目当てだった。内容は充実していたが、そのシンポを聴いていた人はさほど多くなかったこと、パネラー(女性です)の一人が、私を指さしてやたらとはしゃいでいたことは、今も記憶に残っている。あの時もお客さんは結構多くて、ブーステントも多く出ていたけど、その当時は環境系団体がメインで、国際交流団体はさほど多くなかったと記憶している。

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ABSレポート・3

2010 - 02/25 [Thu] - 10:22

 昨日に引き続き、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の様子を報告します。
 今回は、ドイツで知的所有権保護等の活動をしている、ヘルムート・メイヤー氏(Advisor of EED church  Development Service)の講演(要旨)です。

 ヘルムート・メイヤー氏
 2001年からこの議論に参加している。ドイツでもこの分野について本を出版するなど、この問題について知ってもらいたいと思って活動している。特許のシステムとABSシステムは今バラバラになっているが,これをどうやって結びつけたらいいのかについて話したい。
 まず最初に「ニームの木」についてお話ししたい。これは、インドでは2000年以上も前から知られていた。この木について定義されたことに、インド人は驚き、激怒した。利用法については、2000年以上も議論されている。1990年にアメリカの企業が特許を申請し、4年後に認められた。この特許申請は2001年まで、様々な国から申請されている。95年、反特許運動が起きたが、これは初めてのことだった。反対申請は、バンダラ・シヴァ、リンダ・バラードら3人の有名の女性によって行われた。特許取り消しの理由は、新規性がない、倫理規定がないなど3つの理由だからだ。10年後に申請らが取り消されたが、地域性がないということで、伝統的な知識を違法に取得したとしても、そういうことは特許取り消しにならないということであり、それが現在も続いている。
 日本についても調べてみた。日本でも61個が申請され、34個が許可または申請中である。特許制度はバラバラなので、1つの国で許可が下りなくても、それが全世界中で認められないのが問題だ。 ドイツとスイスと南アフリカが関するケースを紹介したい。テンジクアオイの根を使ったクスリが、ドイツで売れている。このクスリの歴史は古く、イギリス人が結核になった時、南アフリカ人からテンジクアオイの根でできたクスリをもらった。そのクスリのおかげで病気が治り、イギリスに帰国した。そのクスリをイギリスで売り出した。その後スイス人の学者が研究・開発に成功し、ドイツの会社が販売していた。そのクスリは5年前には60億円を売り上げていた。問題は、ドイツの会社がその特許を申請したことである。わかっているだけで3つ特許が申請され、紛争になっているものもある。南アフカの伝統を利用していることがわかるような宣伝をしているため、南アフリカの人たちはこのことに反対する活動をしている。2年前、アフリカの団体とスイスの団体が特許取り消し申請をし、つい最近特許取り消しになった。様々な学者から宣誓供述書が提出され,それが力になった。

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ABSレポート・2

2010 - 02/23 [Tue] - 11:21

 読者の皆様、こんにちは。
 昨日に引き続き、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に関係するシンポジウムの様子を報告します。
 今回は、外務省国際協力局地球環境課長・水野政義氏の講演(要旨)です。
 私のメモを元にしているので、ところどころ不正確なところがあるかも知れないということをご承知ください。

 外務省国際協力局地球環境課長・水野政義氏
 遺伝資源への アクセスと利益配分(以下、ABS交渉)について説明する。外務省では環境のことを中心になってやっている。気候変動以外のことを担当する。COPで各国に対して日本の立場を主張している。
 この条約は1993年に発効した。生物多様性の保全、持続可能な利用、遺伝資源の利用から生じる利益の公正な配分を国際的にしっかり手当てしようというのが目的になっている。環境関係の条約は親条約があり、その下の議定書で細かいことが規定されている。カルタヘナ議定書が1993年に制定された。自然そのものに悪影響を及ぼさないよう、輸出国は輸入国の許可を求めるという内容だ。
 遺伝資源の利用公平配分についてこれに1条を割いている。遺伝資源は世界共通の財産という見方が一般的だったが、’70年代に起こった各国ナショナリズムがおき、各国は自国資源に関する権限は、その国に属することが規定された。これは画期的なことである。これを各国がどう使うのかは規定がないため、今問題が起こっている。
 第2項では、遺伝資源を利用する場合はアクセスを改善しなければいけないという、前文と全く違うことが書かれているために揉めている。そのためその国に対し、利益がしっかり確保しなければならない、持ち主と契約して欲しいということが定められ、事前に持ち主の事前の同意を求めなさいということを決めた。第7項で、利益を構成公平に配分するため、各国は何らかの措置を執りなさい、それは相互に合意する条件で実施することが書かれている。

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ABSレポート・1

2010 - 02/22 [Mon] - 10:51

 19日、国際環境青年NGO「A SEED JAPAN」(以下ASJ)が開催した環境シンポジウム「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の交渉議題"遺伝資源への アクセスと利益配分(ABS)"を追う!」が、東京都内にあるYMCAアジア青少年センターで開催された。広報部ブログでは事前予約が必要なことが書かれており、私がこのイベントを知った時は申し込み締め切りを過ぎていたため、当日の飛び込み参加が可能かどうか不安だったが、幸いなことに当日でも申し込みを受け付けてくれたので、会場に入ることができた。
 定員は200名ということだったが、実際に集まった人は会場定員の約半分。そのうちの1/3はメディア関係者であり、当シンポの主催団体であるASJ関係者の姿も目立ったから、実際このシンポに参加した一般参加者は、会場の半分弱といったところだろうか。
 このシンポのテーマである「生物多様性条約(以下ABS)は1992年5月に採択され、翌6月に開催された国連環境開発会議(「地球環境サミット」(リオデジャネイロ))で、気候変動枠組条約とともに署名解放された。
 この条約の目的は
 ・生物の多様性の保全
 ・生物多様性の構成要素の持続可能性な利用
 ・遺伝資源の利用から生ずる利益の公正で衡平な配分
の3つから成り立っている。この条約は1993年12月に条約が発効し、全世界中で190カ国と欧州委員会が条約を締結しているが、アメリカは「遺伝資源の利用」を懸念して本条約を締結していない。
 この条約については、各国が保有する遺伝資源への国家主権を認めたことを画期的だと評価する意見がある反面、規定のほとんどは、自然保護の関心が高い「先進国」と、遺伝資源の利用と利益配分への関心が高い「途上国」の間での妥協の産物という声が多く、義務内容が不明確のために実効性という点で疑問視されているのが実情だ。
 日本では3次にわたって「生物多様性国家戦略の策定」(第1次は1995年、第2次は2002年、第3次は2007年)に基づき、2008年6月に「生物多様性基本法」を制定・交付・施行した。

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キックオフパーティー

2010 - 01/22 [Fri] - 15:34

 昨日、東京都内で開催されたgreen drinks Japanキックオフパーティー!にいってきた。green drinks(以下gd)というのは、ニューヨークやハワイ、中国からボツワナまで世界の600都市以上で開催されているグリーンやエコをテーマにしたパーティのことで、ニューヨークは毎回400人前後の参加者がいるそうである。
 日本では3年前にスタートしたが、その頃は参加者が20人前後の、小規模なパーティーだったそうである。それがだんだん回数を重ねるに認知度も高まったのか、参加者も増えていった。先週のgdは、ワタミ会長がゲストだったからか、彼の話目当てに多数の来場者がやってきたため,入場制限をかけるほどの盛況だったそうだ(私は彼が好きじゃないので参加しなかった)。
 今回の会場になった目黒クラシカは、ホテル・店舗・カフェがある複合施設である。会場は2階にあったのだが、私はそのことに気がつかなかった。私が顔を出した過去4回は、定刻よりも遅れてはじまったので、今回も多分遅れて開始するのだろうと思っていたから、開演間際まで会場付近をウロウロしていた。ところが、開演間近になっても、クラシカ1階はガラガラ。不安に思って携帯をチェックしたら「開場しました。もう40人くらい集まっています」というメッセージが入ってきていた。慌てて会場に戻っても、1階はほとんど人がいない。フロントに訪ねたら、会場は2階ですといわれた。greenzのHPを見ても、会場は2階であることが明記されていないから,戸惑ってしまったじゃないか。
 会場に着いた時は、椅子席はほぼ満室の状況だった。今回は定刻よりも少し遅れてトークがスタート。第一部は、gdの常連であるデザイナー・吉岡直樹氏と、greenzの活動に関わっているコピーライター・丸原孝紀氏の対談。吉岡氏曰く、初期のgreenzは参加者が少なく、雰囲気も硬かったという。丸原氏は、gdについて青臭い話ができるのが魅力であり、ここは単なる「出会い系」パーティーではなく、安全な出会い系だと語った。
 主催者側からgdの改善点を聞かれた両氏は、食べ物が少ない、硬軟両方の話題を取り上げたら、もッと入場者が増えると指摘しつつ、gdと異業種交流会の違いは、ただの名刺交換に終わることなく、「こういう世界をつくりたい」という大きな目標を共有していることだから、続けてきた方がいいし、毎月来ることによってどんどん腹からわかり合えるようになってくるようになるという見解を示した。
 引き続いて行われたトークショーは、地域活性化プロジェクトを多くてがける古田秘馬氏と、地域プロデュースも行うブックコーディネーターの内沼晋太郎氏の対談。gdは、内沼氏が持っているスペースで誕生したそうである。greenzは全国展開を目指しているそうだが、内沼氏は
 「どこでやるか、ということより、どうやって場をつくるか、という視点が重要。イベントはただやりましょうではダメ。どうやって求心力をつくるか。どこがお客さんのフックになるか。それを考えることが大事。告知の仕方とか、どういう人を集めたいのか、とか」
と述べた。残念ながらこの時間になると入場者が多くなり、マイクを使っているにもかかわらず内容が聞き取れなくて残念だったが、詳しい内容はgreenzから発表があるので、そちらをお待ちください。

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PSILA

Author:PSILA
「平和」・「自由」・「平等」を愛する、ワーキングプア階層に属するしがない中年フリーター。
ひょんなことからボランティア精神に目覚め、某NGO主催のクルーズに参加したことがきっかけで「9・11」以降都内近郊で開かれた平和関係イベントに積極的に参加し、その模様をネットに公開するようになる。
このBLOGは、生活苦と闘うワーキング・プア中年男性フリーターの軌跡を綴るものである

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