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~投資に躊躇している方、寄付に迷っている方へ~

2010 - 07/30 [Fri] - 10:54

  「第3回エコ貯金フォーラム-ソーシャル・ファイナンス発展のために預金者・金融の現場・経営者ができること-」の第4回目。今日は金融機関の現場から-現場からのボトムアップで目指すソーシャルファイナンス-の前編として、大和証券の山本聡氏のお話を紹介します。

 Activate Your Money For Social Good!
 ~投資に躊躇している方、寄付に迷っている方へ~
 大和証券株式会社 商品企画部 次長
 山本 聡

 世界は今、貧困・飢饉・医療・水・気候変動などさまざまな困難に直面している。これら社会的な課題の解決には莫大な資金が必要である。しかし、公的なセクターである先進国各国は政府は、深刻な財政難に直面しているし、民間セクターからの寄付や善意の活動には限界がある。各国政府に代表される政策サイドの「民間投資資金を効率的に活用できないか」という思惑と、投資家サイドの”do well  by doing good”の気運の高まりが重なり「投資を通じて社会を動かそうと言う新しいムーブメントが起こり始めた。それが「意思のある民間投資資金」で、投資家は社会的な課題を解決するための活動をしている企業に投資し、そこからリターンを受け取るのである。
「リーマン・ショック」以降、この動きは顕著になっている。
 2007年段階での市場規模は、欧州は352兆円、アメリカは237兆円、カナダは42兆円、オーストラリア・ニュージーランドでも約6兆円あるが、日本は1兆円にも達していない。投資家はアメリカ・カナダ・ヨーロッパは機関投資家(生・損保等)が9割以上を占めるが、日本は個人投資家が9割近くを占める。
 個人金融資産の保有比率は、アメリカは株式を中心に(31%)保険年金(28%)、投資信託(18%)、現金預金(19%)とバランスよく持っているのに対し、イギリス・ドイツ・フランス3カ国では保険年金がメインであり、日本は厳禁だけで6割近く(56%)を占める。
 マイクロファイナンス債券の特徴は「ワクチン債」「グリーン世銀」などシンプルな商品性と、わかりやすいメッセージである。これらは満期一括債で、固定金利である。日本では2008年、大和証券がワクチン債を発行したのをきっかけに、今年になって10種類以上のソーシャル債が発行されている。
 ソーシャルビジネス・マイクロファイナンスが一番力を発揮するのは、貧困問題の撲滅だろう。世界の人口の4割にあたる約27億人が、1日2ドル以下での生活を強いられている。これらの人々には経済活動に参加する機会がないから、いつまで経っても貧困から抜け出せない。彼らを救う手段として、1970年代半ばから「マイクロファイナンス」という手段が登場した。 
 これは、貧困に直面する人々に、金融サービスを通じて経済活動へ絵の参加機会を提供しようというシステムである。各地域のマイクロファイナンス機関(MFIs)は、貧困層に生産活動・収入想像のための資金を無担保で貸し付ける。平均的融資額は数10~数100ドルで、借り手は女性が多い。相互監視体制により、平均的な返済率は95%を超えており、寄付やボランティアではなく、ビジネスとしてちゃんと成立してる。
 マイクロファイナンス投資額は、2001年は40億ドルだったが、2008年には融資額が370億ドルにまでなった。しかし、必要とされる資金にはまだ2,000億ドル足りず、資金調達も国際機関に多くをおっている。そのため、資本市場からの資金調達が、持続的発展のカギを握っている

 2009年まで、マイクロファイナンス機関(以下MFIs)もマイクロファイナンス投資商品も、なきに等しい状況だった。だが1999年、環境問題への対応が遅れている上場企業への投資としてエコファンドが販売され、2008年には途上国の子供達にワクチンを提供するためのワクチン債が販売された。大和証券としては、日本の投資家と途上国のマイクロファイナンス機関の橋渡しをできないかと考えている。アメリカでは、マイクロファイナンスビジネスは仕事として成立しているが、ビジネスセンスがないと資金がショートしてしまう。また、日本国内ではマイクロファイナンスへの理解がないどころか、存在自体がよく知られていない。 
 マイクロファイナンス投資は、1990年代後半に新たに資金源として登場した。富裕層がマイクロファイナンス投資商品に投資し、さらにそのオカネはそれらへの投資、寄付・基金、或いは国際機関からMFIsに投資される。MFIsは発展途上国の人たちに無担保で融資(マイクロクレジット)し、彼らもまたMFIsに預金している。発展途上国の銀行もMFIsに融資している。
 日本では、大和証券が2008年、日本で最初のマイクロファイナンス投資商品を発売した。250億円が10営業日で完売し、12,000人の投資家が購入し、メディアから取材が来るなど、各方面から大きな反響があった。資金は日本の投資家→国際金融公社(IFC)→MFIs→途上国の貧困層に流れるという構図である。
 このファンドが成功した秘訣として、まず第一にMFIsへの投融資を通じて、貧困削減を支援するという社会への持続的な貢献をしたいというニーズを満たしたこと、世界銀行グループの国際機関が発行するストレート債(固定利率、満期一括償還型債券)というシンプルな商品であること、信用格付けが最上級であること、利率は豪ドルベースで年5.1%であり、半年ごとの利払いであること、マイクロファイナンス投資の実務(調査・監督・報告、MFIsに対するモニタリング、報告書活動等)をIFCに外部委託することで、管理コストを低くできたことがあげられる。 
 貧困撲滅を目標に掲げているミレニアム開発目標は、以下のことを目標に掲げている。
 ・極度の貧困と飢餓の撲滅
 ・初等教育の完全実施の達成
 ・ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
 ・乳幼児死亡率の削減
 ・妊産婦の健康の改善
 ・HMV/エイズ、マラリア、その他疾病の蔓延防止
 ・環境の持続可能性の確保
 ・開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
 マイクロファイナンスの多くは、これらの分野を織り込んだ商品である。
 なぜ、寄付ではなく投資を呼びかけるのか?
 それは、以下の理由による。
 ・寄付は自立を促さないが、投資は自立を促す。
 ・寄付は上下関係があるが、投資は対等な契約である
 ・寄付には限りがあるが、投資は持続する
 ・寄付は景気の悪化で途絶えるが、投資は不景気かでも継続する
 スイスのマイクロファイナンス運用機関は
 「10万円寄付したと思って、100万円投資する発想を」
と呼びかけている。
 ただし、注意する点もある。債券は投資である以上、金利変動等煮より価格が変動するので、満期時に投資元本を割り込むことがある。また、外貨建券債を円換算した価値は、金利・償還金として支払われる外貨の円に対する為替水準により上下するし、外貨発行国の経営・国債・財政状況の変化により、投資元本が出資額を割り込む危険性がある。そのことを頭に入れておいて欲しいと思う。

 ※この報告は、当日配布されたレジュメを元に、管理人のメモを加えた上で再構成したものである事を、あらかじめお断りしておきます。

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Author:PSILA
「平和」・「自由」・「平等」を愛する、ワーキングプア階層に属するしがない中年フリーター。
ひょんなことからボランティア精神に目覚め、某NGO主催のクルーズに参加したことがきっかけで「9・11」以降都内近郊で開かれた平和関係イベントに積極的に参加し、その模様をネットに公開するようになる。
このBLOGは、生活苦と闘うワーキング・プア中年男性フリーターの軌跡を綴るものである

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