板橋2月4日講演(質疑応答)
市民の方に安心を与えるために講師を呼んできて話をする講演会がよくあります。各自治体のページを見ると、放射能について不安が高まっているので安心していただくために、これこれの人を呼んでこうこうしますとよく書いてあります。ボクは違います。ボクはみなさんに不安を与えるために今日、ここに来ました。安心を求めての質問には答えられません。
それから、真実を受け入れる心の準備があるひとだけが質問してください。本当のことを聞いたら気絶してしまうような人が質問されると、私は困りますので、こういう7つの条件を質問する方に出しました。
▼ベランダの土と落葉
Q 目黒区から来たスズキと申します。「落ち葉の処理に気をつけて」とあるんですが、いまベランダでガーデニングをしています。何もせずに枯れてしまったものがあるんですが、これはもうずっと、去年の3月11日以前からあってこの1年で枯れてしまいました。これを処理するときに、何か気をつけることがありますでしょうか。
あと、うちには1歳の子どもがいるんですけど、その1歳の子どものそばでそのような処理をしても大丈夫なのでしょうか。
A 目黒区のマンションで、ベランダ?
Q はい。
A で、それはもういらないんで、捨てたいんですか?
Q もう枯れてしまっているのは、処分したいんですが、わりと大量にありまして、土や枯葉などがあります。マスクなどはしようと思ってるんですが、普通に処理してしまって大丈夫なものでしょうか。乾燥させないで、濡らしてからやった方がいいとか、ありますでしょうか。
A 吸わないように工夫して。ええ、濡らした方がいいでしょうね。
Q そうですか。処理しないでおくのと、するのは、どっちの方が…。
A そんなもの早く、とっとと捨ててください。
Q そうですか。
A ボクは、自分ちのベランダの落ち葉を全部きれいにしました。5月だか6月に。ピカピカに磨き上げました。デッキブラシで。
Q わかりました。早急に処理します。
▼マンション13階のセシウム
Q 板橋区高島平に住んでいるミヤハラと申します。いま住んでいるところがマンションの13階なんですけれども、来年の、風が強くなる5月・6月の時期に、自分の家の周りとかベランダに、どのくらいセシウムが舞っているのか。風が強い日に、どうやって判断して観察すればいいでしょうか。
A 13階でベランダに洗濯物、干しますか?
Q いえ、今は干してないです、一切。
A いや、あの、干せますか?
Q 干せます、はい。
A じゃあ、そこでホコリが付いているかどうか見ればよい。13階でいまの季節、ボクだったら干す。ボクはいつもさいたま市北区で、2階屋で、平気でベランダにいつも干している。よっぽど風が強い日は、家の中に持ってくるけど、ふだんは干している。
Q そういう日に観察したりとか、まあ、気をつければいいということですか。洗濯物干さない方がいいですか?
A 洗濯物は、布団を干すときに物干し竿がジャリジャリしてて、雑巾でぬぐってから干したいような状況のときは危ない。でも13階とおっしゃるから、13階でそんなに汚れるのかどうか、ボクは経験がないからわからない。13階は結構いいと思います。高ければ高いほどホコリは来ない。地べたが一番来る。2階に住んでいるボクがそう言っているわけだから。
Q そうですか。その風が強い日に、例えばその次の日にデッキブラシで掃除をしたりすることで、結構ぬぐうことはできますか?
A ホコリがなくなればいいんだから、気になるんなら、毎日水を撒いて、流しちゃえばいい。デッキブラシをやるほどではないでしょう、昨日・今日に来たホコリは、水を撒けば(そのベランダに水を撒けるかどうかわからないけど)水で流すのが一番いい。
Q 湿らした方がいいですか。
A 湿らすっていうか、下で布団を干してないことを確認して、少しくらいの水で全部、排水溝から出してしまえばいい。でも、そんなにもきれいにしなくてもいいんじゃないかな、とボクは思う。高島平の13階なら。
Q はい。ありがとうございます。
▼津波がれきの受け入れ
Q 高島平に住んでおります板橋区議会議員の中妻(なかつま)と申します。本日はありがとうございました。焼却灰のセシウムの話がございますので、これに関連してお伺いしたいと思うんですけれど、板橋区の清掃工場で宮城県女川町の震災がれきの受け入れをすることが決まっております。2月29日に住民説明会が行われるという段階になっているんですけれども、とくに女川町から板橋区に震災がれきを持ってきて燃やした場合、どういうことになると予想されますか。
住民説明会でおそらく行政の側は「ほら、こうだから、大丈夫ですよ、安心ですよ」っていう論調になることが予想されるんですが、どういったポイントに気をつけて住民説明会で話を聞けばいいかという、ここのところをお教えください。
A 基本的には説得された方がいいと思っている。がれきをなんで受け入れないのか。そんないじわるすると、あとでいじわるくしっぺ返しされるとボクは予想している。
事実関係から申し上げます。女川は、0.25と0.125マイクロの間です。板橋は0.125マイクロ線のちょうど上ぐらいです。女川の方がちょっとだけ汚れています。福島第一原発と女川の距離、福島第一原発と板橋の距離は、いくらも変わりません。女川の方がちょっと汚れてるかなって感じです。
しかし問題は、放射能ではないのだろうとボクは見通してます、皆さんの反対したい本当の気持ちはそこではないようだが、放射能を理由に反対するのは得策じゃないと、ボクはお伝えしたい。いま、恩を売っておいた方がいいよ、きっとってボクは思っている。
Q なぜそう思うのですか。
A 東京には何百万人も住んでて、ゴミをいっぱい出します。これからセシウムをいっぱい出します。板橋じゃ焼却ゴミを埋めるところないでしょ?どこへ埋めるんですか。東京は焼却工場を各区で持っているんですか?
Q いや、各区にあるとは限らないんですが、板橋にはあるんです。清掃工場があるんです。
A そこで出た焼却灰はどこに置いているんですか?
Q 焼却灰は、まとめて東京湾に持っていくんだと思っていますけれど。
A 8000ベクレル超えてるから、埋められないでしょ。埋められなくていまは倉庫に保管してるんだと思います。それが自分とこで処理できないんだから、まずいまのところは恩を売っておいて、後で「お願いしますよ」って言いにいけばいいのに、なんであんなに嫌がってるんだろうかというのがボクの正直な気持ちです。
でも問題は放射能じゃないだろうとボクは思っている。放射能の話を出して戦っているだけであって、みなさんが裏に持ってる思惑はいろいろ違うんだろうと見てる。これは簡単ではない。「放射能で戦う」のは、ボクが関与すべき話ではないだろう。
ボクが言えることは、板橋と女川の放射能汚染度はいくらも変わらない。女川の方が2割ぐらい汚れてる感じだ。いずれにしろ、0.2マイクロいってない。0.15くらいです。福島第一原発周辺とその北西方向は別ですよ。じつは南相馬だってたいして汚れてません。地図をちゃんと見ていただければわかりますが、南相馬で津波をかぶった海岸はほとんど汚れてません。0.5マイクロです。福島市は2マイクロです。南相馬市の津波が来たところは福島市の4分の1です。
でもまあ、南相馬は福島第一原発に近くだから、がれき受け入れはやめた方がいいと思います。宮城県・岩手県は、東京からみたら全然問題ない。早く手伝ってあげた方がいいと思います。
Q ありがとうございます。
▼花粉のセシウム
Q 北区から来たサカモトです。これから花粉のシーズンが来ます。今年の花粉にセシウムが含まれる可能性というか、含まれていてたくさん飛んでくるということはあるんでしょうか?
A 今年の花粉にはセシウムは入ります。福島のコメを心配しているのと同じように、花粉にだってセシウムは入ります。でもよく考えてみてください。コメにキロあたり100ベクレルはいるとかそういう話ですよね。ボクに植物学の知識は足らないですが、花粉にはいるベクレルも似たようなものだと思います。花粉が特にセシウムを濃集する理由はひとつもないと思います。
コメは毎日200グラムとか500グラムとか食べるわけです。花粉をどれぐらい食べますか。花粉1粒とか2粒とか3粒でしょ。桁から言ったら、3つも4つも5つも6つも7つも違って、花粉そのものがセシウムの脅威だと思うのはおかしい。
しかし、花粉が来ているときはたぶんセシウムも来てる。そういう意味で代理の指標として重要です。炭鉱のカナリアと同じ役目をします。花粉が来てると、花粉が飛ぶのと同じようにホコリも飛んできているのでセシウムも来てるだろうなと思って心配してください。花粉が持ってくるセシウムが害だということはありません。
Q ありがとうございました。
Q 杉並区のコジマと言います。今日はお話ありがとうございました。4月5月にすごく塵やホコリが舞って、他の月の10倍だか溜まるというのを先生のブログのグラフで拝見させていただきました。私は杉並区に住んでいて、花粉だと数十キロ遠くから飛んでくるというのを聞いたことがあって、ホコリだとかは、どこらへんから飛んでくるのか、ほんとに隣とか周りの畑のことを気にすればいいのか、それとも杉並区以外からというか遠いところからもセシウムがけっこう含まれたのが飛んでくるのか。
A 隣の畑からです。もちろん地球をぐるぐる回っているようなホコリもあるし、中国から来る黄砂も少しありますが。北陸に行くと、中国からの黄砂が雨と一緒になって自動車のフロントガラスにものすごく降るなんて経験をボクもあるけれども、関東ではほとんど隣の畑です。9割が隣の畑です。
東葛の人は、隣の畑がセシウム持っているわけです。0.4マイクロとかのセシウムを持っているわけです。そこからいきなりホコリが来たらアウトです。だから困った。
いっぽう杉並区だと0.08マイクロくらいですから、そんなに深刻じゃない。でもやっぱりいやだから。ホコリはセシウム持っているんだから、これから10年ぐらい気をつけてくださいということです。
ですから答えは、東葛からは来ません。福島からも来ません。杉並から来ます。
Q ありがとうございました。
▼スキー場の放射線
Q 練馬区から来ましたイサガタと言います。大学2年生です。これからスキーとかスノーボードのシーズンです。放射線は雪で遮へいされるということでした。遮へいというのはどこでも同じなのですか、それとも地域によって、「こういうスキー場は危ない」という話がありましたら教えていただけますか。
A 水はガンマ線を遮へいします。雪は水です。ガンマ線はアルミも通すし、紙も通すし、板も通しちゃう。コンクリートも少し通しちゃうんですが、水はなかなか通らない。厚さで1メートルの水があると、ガンマ線は通らない。これを遮へいという。
つまり、スキー場で2メートルの積雪があるとする。融かせば50センチか1メートルの水になる。その分の遮へい効果があります。放射能は地べたにある。地べたの上に雪が2メートル積もっている。その上をスキーで遊ぶ。ですから放射線はスキーヤーまで来ない。だから冬のスキーは安全。夏山のハイキングは、地表がむき出しだから、危ない。
Q ありがとうございます。
▼ベランダの水とスノコ
Q 練馬区のタニグチです。今、マンションの2階に住んでいます。地震で断水する可能性があるので2リットルのペットボトルに入れた水を、フタを閉めてベランダに半年ぐらい置いています。放射性物質の影響がその水に出ますか。
A 飲料水として水を置いていて、その水を飲んで大丈夫かという話ですか?
Q はい。
A 大丈夫です。でも半年たつのですか。古いから取り換えた方がいい(会場、笑い)。特に直射日光なんか当てないで、冷暗所がいいですね。
Q わかりました。うちの中の方が安全なんですか?
A その方がいいでしょうね。カビとか、藻がつかないように気をつけて。
Q ベランダにスノコを置いてるんですけど、スノコは放射能を吸収しやすいですか?
A 公園のベンチは危険です。いろいろ測っているんですが、公園の木のベンチは危険です。公園のベンチは座ってはいけない。プラスチックだったらだいたい大丈夫。プラスチックでも、材質による。ベンチは不用意に座ってはいけない。東葛を測りに行くときボクは気をつけています。福島では、とんでもないと思う。ベンチには染み込んでいる。アスファルトだって染み込むんですから。木なんて、もう7月の段階で染み込んでました。
そのスノコはベランダにずっと放ってあるわけね?で、気になるなら捨てて、新しいのにしてください。だけど、練馬区ですか?
Q はい、練馬区です。
A 練馬区だったら…。で、2階ですか?
Q はい。
A ボクだったらまあ、そこまでしないと思うけど、さっき言ったように、人の感じ方はいろいろですから、気になるならスノコなんて安いから、さっさと新しいのにしたらどうですか。
Q はい、ありがとうございます。
▼公園の砂場と泥あそび
Q 北区のニシザキと申します。公園の砂場で子どもを遊ばせることに関しては、どうお考えでしょうか。
A 砂を入れ替えてあれば大丈夫。
Q それは、たとえば板橋区でもですか?
A どこでも(笑)。3月の砂をどこかに捨ててしまって、新しい砂に変わってればどこでも大丈夫。しかしそのあとまた、ホコリが舞ってきてればダメだから、新しくてきれいな砂が入っていることが確認できれば大丈夫。
残念だけれども、砂だけじゃなく、泥あそびはさせられないと思う。それは板橋、東京でも。ボクの子どもは泥団子あそびが大好きでした。でも、関東・東北では、そういう遊びはもう一切させられない。泥あそびをやらせて子どもを育てたければ、西日本に引っ越していただきたい。泥と砂は怖い。危険。そういう認識を持っていただくのが良いと思います。それを避けるのにはコストがかからない。叱ればよいだけ。
▼風向きの心配
Q 練馬区から来た××といいます。注意することに「風向きに気を配る」とあるんですけど、「どの向き」とかあるんですか?
A 畑からの風に気をつけてください。放射能が福島原発から風に乗って来るんじゃないかの心配は、新たな大量放出がない限り、必要ありません。自分の家のすぐそばにある裸地が心配です。畑であるとか、裸の土地、草が付いてない土地。
だから、芝生が一番良い。芝生だと砂や泥の粒子は止まってて何も飛んで来ないから。ボクが地図を作るときに、芝生の上1mを選んで測っていたのは、芝生に落ちた放射性物質はそこから動かないからです。雨が降っても、風吹いても動かない。だからその上1mで測ると、同じ条件の地図がつくれます。
アスファルトの上だとか、土の上だとか、石の上だとか、いろんなところで測ると、わけわからない数字になって地図はつくれません。セシウムが雨や風でそれぞれ移動してしまうから。
というわけで、草や芝生つまり草地じゃなくて土が露出しているところから風がホコリを運んできます。これが危険です。
▼焼却場の煙突
Q 練馬区の××と申します。練馬区にもゴミ処理場があります。焼却灰にセシウムがたまるとさきほど仰ってました。煙が出てるのが見えます。ああいうものに何か含まれてるって気がするんですが。
A セシウムは目に見えません。煙はものを燃せばでます。煙は煙突から見えるでしょう。
Q それにはセシウムが含まれているんですか?
A ほとんど含まれていません。疑う人もいますが、99%とか、99.9%取れるそうです。つまり、煙突から出るのは、1%とか0.1%であると聞いています。学者として、専門家として、ボクは説得力を感じます。
しかしみなさんが、やっぱり不安で不安でしょうがない。これは感情の問題です。ですから、それをボクに「どうでしょうか」って聞いても意味はないだろうと思います。
感情をどうやって処理するかっていうのは、科学とは別のことです。焼却炉のセシウムをバグフィルターでどれくらい除去できるかの心配だって、工学の問題ではないと思う。みなさんが納得するか、しないかの問題です。そういうことがらを容認するかしないかという問題です。心理学の問題です。
Q わかりました。ありがとうございました。
▼ 雨の心配
Q 北区のスズキと申します。小学4年生向けに作られてネットで公開している文書の「注意すること」のところに、雨の降り出しに気をつけるという項目がありました。しかし今回はそれが見当たらりません。いま雨に気をつけた方が良いのかどうかをお伺いします。
A 「小学4年生」の時も、それは薄墨色にして、ボクは消したつもりだった。このスライドは使い回しで、7月くらいから使っています。7月のときは、福島から次の放射能が来そうな感じがまだまだいっぱいあって、雨降ったら、最初はそれに当たるな、はげるぞと、そういう話をしていました。
あれから1年たって、もうそろそろ福島から次のはあんまり来そうもないなって気持ちがボクにもあります。ですからこの先どうなるかわかりませんが、また来るかもしれませんが、とにかく雨は、むしろ歓迎だと言いたいわけです。
いまの時期、雨はいやなものではなくて、ありがたいものです。雨が降ると、地面が湿って、ホコリが舞わなくなります。ことしのなたね梅雨は雨いっぱい降ってくださいと祈っています。
そういう意味で、雨はむしろ歓迎という意味です。いまの雨の中にセシウムが入ってることはないです。
原発から放射性物質は、いまほとんど出てません。毎時間1億ベクレルも出てると心配してる人がいますが、3月のときにくらべたら、桁が6つか7つ違う。計算したら、いまの調子だと、3月のときと同じだけ出すためには30年かかる。とにかくもう全然出てない。逆にいえば、3月はとんでもない量が出た。「億」の上は「兆」で、その上は「京」です。、京の桁のベクレルが出た。そういうわけで、いま1億出てても、3月と比べたらほんのわずかです。
Q ありがとうございました。
(質疑応答2に続く)