複雑な自然をそのまままるごと研究対象にする地質学(や生態学など)は、観察結果を数量で表現することの有効性をもちろん知っている。しかし、歴史性や地理的要因のため、データ取得がしばしば思ったようにはできない。そのとき、数量的表現をあきらめる立場があろう。
しかし私はその立場をとらない。どんなに精度が悪くても、言わないより言うほうがはるかにましだと思っている。精度が悪い数量を日常的に使っていると、数字の前に「約」をつけたり有効数字にこだわることに意味が認められなくなる。すべての観測数値に誤差がある。
日本語としても、あいまいな表現を連続するより、できるだけ言い切ったほうがわかりやすい。こういう事情を斟酌できない人は、「物理帝国主義」にいまだ毒されているといわざるを得ない。自然の記述の方法、すなわち自然の見方をひとつしか知らない不幸な人だ。
物理の方法だけしか知らないと、歴史に学ぶ姿勢が欠かせない防災に支障をきたす。2000年8月の三宅島噴火のとき、政府が対応に失敗した主因はそこにあると当時指摘した。
はてなブックマークに殺到した批判コメントが取り上げた私のツイートはこれだった。
データが3つしかなくても平均と標準偏差は出せます。地質学では、データが3つしかないことはよくあります。(以下略)
その直前のツイートは、タコのパウル君がサッカーの勝敗をうまく当てたことに関してだった。このツイートまで遡って閲覧した批判者は多くなかったようだ。
そうか。128匹いればかならず1回あたるわけではないことも言いたかったわけか。物理学者特有の厳密さだな。地質学者なんて、3つくらいからでも平気で統計処理する。(以下略)
批判者の多くは、注目したツイートがどういった文脈でつぶやかれたかまで知ろうとしない。はてなブックマークのしくみに欠陥があるのだとみられる。はてなユーザがページにかかれた内容に注目しているかどうか、疑問だ。多数の否定的コメントに接した私は、次のようにツイートした。これにも批判コメントが集中した。
世の中には、物理の方法しか知らん馬鹿者がよーけおるなあ。生の自然は複雑だから、いろんな方法を駆使しないと真の理解はできん。そもそも物理の方法では、現在しかわからん。過去を知るのは地質学にしかできんことだ。
なお、はてなブックマークのコメントページは、その社会的価値を私は認めないので、ここからリンクすることをしない。