「それでも俺は、妻としたい」 ブギウギ脚本家のほぼ私小説。


朝ドラ「ブギウギ」見ていますか?
ここのところ戦時中が描かれているので、
朝からなかなかハードだったりします。

しかし2人の脚本家が、
シリアスな中の可笑しさみたいな描き方をするので、
足立紳氏の小説を読んでみたいと思って借りてみた。

「それでも俺は、妻としたい」 
タイトルからして何だこりゃって感じですが、
フィクションもありのほぼ私小説みたいです。

淡谷のり子だったら「下品ね」
と言いそうなタイトル通りのお下劣さ。

何だこりゃ、
これが本当に映画「百円の恋」
で最優秀脚本賞を受賞した人なのか?

めっちゃクドカン意識してるじゃん。
それも年収50万以下のヒモクズ亭主時代に。

何か思っていたのと違う。
さすがに下品すぎて、
読むのをギブアップしそうになったのに、
読み続けさせる力量。

最後は鼻がツーンとして、
謎の感動があったわ。
奥さんのチカに泣かされた。

「百円の恋」以前の物語。
100均勤務で百円の恋が生まれ、
朝ドラに繋がると思うと胸アツです。

読み終えて思ったのが、
朝ドラブギウギの登場人物と重なること。
チカ=お母ちゃん。
豪太=お父ちゃん。
太郎=六郎。

朝ドラ好きの方はぜひ読んでみて欲しい。
これって朝ドラのモデル?って思えるから。

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「夜に星を放つ」 いなくなった人の穴は埋まらない。


それぞれがそれぞれの理由で、
大切な人との関係がうまくいかなかったり、
亡くしたり失ったりと、
喪失感も伴う5編の短編集。

星を放つというタイトル通り、
印象的な星座の描写がある。

正直蛋白だなぁという印象。
劇的な展開もなければ、
こうなったらいいなという読み手の期待さえも、
全く起こらず淡々と物語は進む。

いなくなった人の代わりはいないし、
心の喪失は埋まらない。
失った者同士がうまくいったらいいのにと思っても、
簡単なことじゃないよなぁとも思う。

誰かに寄り添って欲しいと思っても、
誰でもいいわけでもないし、
自分の想いだけじゃどうにもならないことも多い。

物語とはいえ幸せになってもらいたい。
物語だからこそハッピーエンドになってくれ。
そんな願いも叶いそうにない。
だからこそリアルに感じるのも確か。

最後の聞き分けの良い大人みたいな子供。
メンタル不調で子供みたいな大人の話。
これは読んでいて嫌になった。

「大人みたいなことを言うんじゃありません!」
そう言ってくれる大人が、
一時でもいてくれて良かった。

この先はどうなるのだろうか?
昔の自分ならモヤモヤしたと思う。
でも今は人は弱いし脆いけれど、
踏ん張れると信じている。

久しぶりに星座を確認しながら、
夜空を見たくなった。

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汝、星のごとく


瀬戸内の小さい島で暮らす主人公。
田舎の小さいコミュニティでは、
普通から外れた人は、
格好の噂話の種になる。

プロローグから訳ありで破綻した夫婦関係が見え、
家族関係がよくわからないまま物語が始まる。

暁海の父は街から島に来た恋人がいて、
3年経過した今は家に帰って来ない。
専業主婦で家で待つしかない母は次第に病んでいき、
暁海はヤングケアラーとなり家計と生活を支える。

櫂の母親はシングルマザー。
男を追いかけて島に来て、
息子より恋人中心の日々。
幼少期にネグレクトされ、
サバイバル生活だった過去がある。

周囲は両親が揃い、
ジジババもいる正しい家族ばかりの島。
周囲の好奇の目に晒され、
時に同情され、
惹かれ合ってゆくのもわかる。

それぞれの親が重荷だし、
親のつけが子供にのしかかっていて、
それを捨てられないことで八方塞がりに。

田舎の昔ながらの慣習に縛られた会社で、
好きな刺繍を生業にすることもままならない。
お金の為に縛られ、
メンタルを病んだ母親から離れられない暁海。

都会で成功はしたものの、
母親から搾取される櫂。
お互いの視点で語られていて、
すれ違いや環境の違いで苦しい展開に。

優しさって何なんだろう。
切り捨てない覚悟がないと、
結局ずっとその場所から動けない。

ネタバレになるので詳しくは書けないものの、
読み終わった後に「そういうことか」
とプロローグの違和感に納得する。
そしてエピローグで印象が変わる。

自分もメンタル不調に陥って、
旦那と共倒れになりそうだったからこそ、
「重い」「つらい」展開に、
ギブアップしそうになった。

さすが2度目の本屋大賞。
刺さる言葉がいくつもあった。
そしてあっという間に読み終わった。

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プロフィール

しんこもち

Author:しんこもち
はじめまして、しんこもちと申します。
都内某区1DK38㎡の賃貸マンションに2人暮らし。
シンプル、ストレスフリーな生活を目指しています。

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