汝、星のごとく

瀬戸内の小さい島で暮らす主人公。
田舎の小さいコミュニティでは、
普通から外れた人は、
格好の噂話の種になる。
プロローグから訳ありで破綻した夫婦関係が見え、
家族関係がよくわからないまま物語が始まる。
暁海の父は街から島に来た恋人がいて、
3年経過した今は家に帰って来ない。
専業主婦で家で待つしかない母は次第に病んでいき、
暁海はヤングケアラーとなり家計と生活を支える。
櫂の母親はシングルマザー。
男を追いかけて島に来て、
息子より恋人中心の日々。
幼少期にネグレクトされ、
サバイバル生活だった過去がある。
周囲は両親が揃い、
ジジババもいる正しい家族ばかりの島。
周囲の好奇の目に晒され、
時に同情され、
惹かれ合ってゆくのもわかる。
それぞれの親が重荷だし、
親のつけが子供にのしかかっていて、
それを捨てられないことで八方塞がりに。
田舎の昔ながらの慣習に縛られた会社で、
好きな刺繍を生業にすることもままならない。
お金の為に縛られ、
メンタルを病んだ母親から離れられない暁海。
都会で成功はしたものの、
母親から搾取される櫂。
お互いの視点で語られていて、
すれ違いや環境の違いで苦しい展開に。
優しさって何なんだろう。
切り捨てない覚悟がないと、
結局ずっとその場所から動けない。
ネタバレになるので詳しくは書けないものの、
読み終わった後に「そういうことか」
とプロローグの違和感に納得する。
そしてエピローグで印象が変わる。
自分もメンタル不調に陥って、
旦那と共倒れになりそうだったからこそ、
「重い」「つらい」展開に、
ギブアップしそうになった。
さすが2度目の本屋大賞。
刺さる言葉がいくつもあった。
そしてあっという間に読み終わった。
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