特集
はやぶさ2
探査機「はやぶさ2」がリュウグウで試料を採取して持ち帰る6年の旅を完遂。分析や次のミッションを解説。
打ち上げから
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生命物質の材料は小惑星から? リュウグウ試料に有機酸65種類
2024/7/10 18:00 -
チャンスは4時間、はやぶさ2目的地の詳細観測へ 27歳天文学者
2024/2/21 09:00 -
リュウグウ試料に多量ナトリウム 海や生命の起源解明につながるか
2023/9/18 18:00 -
はやぶさ2の成果は リュウグウ試料が迫る太陽系や生命の起源
2023/4/19 17:00 -
「小天体が地球に水や有機物運んだ可能性」 はやぶさ2試料成果
2023/3/20 19:58 -
米サイエンス誌がリュウグウ試料分析を特集 はやぶさ2が表紙飾る
2023/2/24 04:01 -
小惑星リュウグウのアミノ酸は左右同数 生命誕生「宇宙起源」言えず
2023/2/24 04:00 -
小惑星リュウグウの表面、「宇宙風化」で脱水 京都大など発表
2022/12/20 01:00
小惑星探査機「はやぶさ2」から切り離されたカプセルが2020年12月6日未明、大気圏に突入し、オーストラリア南部のウーメラ砂漠に着地、地球に帰還した。カプセルには小惑星リュウグウの試料が入っていた。当初予定されたミッションは全て成功。探査機本体は、11年後の到着を目指す別の小惑星での新たな探査に向けて、地球を離れる軌道に入った。
はやぶさ2、どんな探査機?
はやぶさ2は14年12月に打ち上げられ、18年6月にリュウグウの上空へ到着。1年5カ月にわたって観測を続けた。この間、19年2月と7月の2回リュウグウへの着地に成功。他にも金属弾による人工クレーターの形成や、小惑星上で移動する小型ロボットの投下など、多くのミッションを成し遂げた。小惑星と地球を往復した総飛行距離は52・4億キロ。試料、どっさり5.4グラム
小惑星リュウグウで採取し持ち帰った岩石のかけらなどの試料は、計約5・4グラムだった。当初の目標は0・1グラムで、50倍以上の試料採取に成功した。カプセルからは、世界で初めて地球圏(地球と月)以外の天体の気体(ガス)も採集された。
さらなる探査、100億キロ
はやぶさ2は、別の小型小惑星「1998KY26」へ探査に向かっている。到着は31年7月の予定で、新たに100億キロの旅路に出ている。「1998KY26」は直径約30メートルで、直径約900メートルのリュウグウよりもかなり小さく、地球と火星の間を公転している。JAXAは新たな任務で小型小惑星の地球衝突による被害の軽減や、太陽系のより遠方への探査に必要な知見の獲得を目指す。
もっと知りたい
連載
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はやぶさ2の発信力
多くのファンを集めた「はやぶさ2」。理解と共感を広げた情報発信は、なぜ実現したのでしょうか。
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はや2くんの冒険日誌
小惑星探査機はやぶさ2は、目的地の小惑星リュウグウに到着し、着々と探査を進めています。先代のはやぶさ(2010年6月13日に地球帰還)の旅は、JAXAの有志たちが「はやぶさ君の冒険日誌」と題して、分かりやすく解説する「物語」を制作しました(帰還後に「はやぶさ君の冒険日誌」=毎日新聞社刊=として出版)。そのときのメンバーが中心となり、はやぶさ2の旅をつづる新たな物語「はや2くんの冒険日誌」を始めました。物語の進行役は先代「はやぶさ君」。はやぶさ君と一緒に、はや2くんの挑戦を追いかけましょう。 イラスト=小野瀬直美(「はやぶさ君の冒険日誌」著者)、文=小野瀬直美、永山悦子(毎日新聞編集委員)、協力=寺薗淳也(会津大准教授・月探査情報ステーション代表)、監修=吉川真(はやぶさ2ミッションマネジャー)*この連載は、はやぶさ2プロジェクトの協力を得て作成されています。JAXAの公式マスコットキャラクターの表記は「はやツー君」ですが、この連載では「はや2くん」としています
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的川博士の銀河教室
宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、JAXA名誉教授の的川泰宣さんが解説する長寿連載です。
新着記事
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生命物質の材料は小惑星から? リュウグウ試料に有機酸65種類
2024/7/10 18:00 746文字日本の無人探査機「はやぶさ2」が2020年に小惑星リュウグウから持ち帰った試料から、アミノ酸や核酸塩基など生命に欠かせない物質の材料になる65種類もの有機酸を見つけたと、海洋研究開発機構などのチームが10日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。 リュウグウのような小惑星が太古
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チャンスは4時間、はやぶさ2目的地の詳細観測へ 27歳天文学者
2024/2/21 09:00 1962文字世界で初めて小惑星の物質を持ち帰った探査機「はやぶさ」の活躍を知り、天文学者を志した若手研究者が6月、後継機「はやぶさ2」が向かう極めて小さな小惑星「1998KY26」の詳細観測に挑む。事前に天体の詳しい情報が分かれば探査にも役立ち、成果への期待が膨らむ。 ◇“初代”に魅せられ 観測に取り組むのは
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リュウグウ試料に多量ナトリウム 海や生命の起源解明につながるか
2023/9/18 18:00 707文字探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰った試料に、多量のナトリウムが含まれていたとの分析結果を、海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの研究グループが18日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。ナトリウムは塩の主成分で、人体にも不可欠なミネラルの一種。地球の海や生命の起源解
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はやぶさ2の成果は リュウグウ試料が迫る太陽系や生命の起源
2023/4/19 17:00 1762文字探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰った試料を、日本を中心にした複数のチームが初期分析した結果がまとまった。他天体の物質を持ち帰るサンプルリターンは、太陽系や生命の起源の謎を解くカギになると期待される。その謎にどこまで迫れたのか。 「最も着目すべき点は水の存在。46億年前の水です」 3月2
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「小天体が地球に水や有機物運んだ可能性」 はやぶさ2試料成果
2023/3/20 19:58 603文字探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰った試料を世界に先駆けて分析した全8チームの研究が出そろい、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、相模原市のJAXAで記者会見し、成果をとりまとめた。リュウグウのような小天体が地球に水や有機物をもたらした可能性が裏付けられたとしている。 リュウグウの
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米サイエンス誌がリュウグウ試料分析を特集 はやぶさ2が表紙飾る
2023/2/24 04:01 436文字米科学誌サイエンスは23日付の特別号で、探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰った試料の分析結果を特集した。世界に先駆けて初期分析した国内の6チームのうち、同日発表された2チームの論文を含む5本の論文が同誌から出版された。誌面には5本の要約が掲載され、表紙もはやぶさ2が飾った。 同誌は一連の
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小惑星リュウグウのアミノ酸は左右同数 生命誕生「宇宙起源」言えず
2023/2/24 04:00 897文字探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰った試料に、左手型のアミノ酸と右手型のアミノ酸がほぼ同数含まれていたと、九州大や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのチームが23日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。 地球の生命の起源はリュウグウのような小天体が宇宙から運んだとする「宇宙起源説」が
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小惑星リュウグウの表面、「宇宙風化」で脱水 京都大など発表
2022/12/20 01:00 518文字探査機はやぶさ2が持ち帰った小惑星リュウグウの表面の砂が「宇宙風化」で脱水されたことを確かめたと、京都大や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのチームが19日付の英科学誌ネイチャーアストロノミー電子版に発表した。 リュウグウのような太陽系初期の情報を多く保っている隕石(いんせき)や小惑星は「C型」
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リュウグウ試料から炭酸水 液体の水は初めて 「豊富な水の証拠」
2022/9/23 03:00 859文字探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰った試料から炭酸水を検出したと、東北大や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの分析チームが22日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。水酸基(OH)や水分子としての水は見つかっていたが、液体の水は初めて。 リュウグウの元になった小惑星(母天体)に豊富な
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次に目指す高みとは…はやぶさ2が切り開いた宇宙開発の未来/下
2022/7/24 08:00 3040文字小惑星の試料を無事に持ち帰った探査機「はやぶさ2」。連載の上では、総責任者のプロジェクトマネジャーを務めた津田雄一さん(47)へのインタビューを中心にその軌跡や成果をたどった。連載の下では、世界の宇宙開発に金字塔を打ち立てたサンプルリターンがどこへ向かうのか、「次」への可能性を探りたい。【永山悦子
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3億km先で60cm…はやぶさ2が切り開いた宇宙開発の未来/上
2022/7/23 08:00 3015文字小惑星リュウグウから見事に試料を持ち帰り、日本の宇宙開発の底力を示した探査機「はやぶさ2」のプロジェクトチームが、6月末で解散した。はやぶさ2は次の小惑星へ向かっているが、地上で支えてきたチームは大きな区切りを迎えた。はやぶさ2が切り開いたものは何だったのか、2回に分けて振り返りたい。【永山悦子】
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見上げてごらん
「計画通り」にしない=永山悦子
2022/7/4 13:09 935文字米ワシントン大の天文学者、ペドロ・バーナーディネリさん(28)は、海王星より遠くにある未知の天体を探す「太陽系外縁天体ハンター」だ。チリの望遠鏡で撮影した大量の夜空の画像を、独自に開発したプログラムで解析する。 プログラムが正しく機能することは、仲間と何度も確認した。しかし、昨年、不思議な天体が見
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はやぶさ2チーム解散 2031年に別の小惑星へ、新チーム移行
2022/6/29 18:56 587文字宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日、小惑星リュウグウから試料を持ち帰った探査機はやぶさ2のプロジェクトチームを30日で解散すると発表した。はやぶさ2はリュウグウのミッションをほぼ終え、2031年に別の小惑星を目指す計画で、体制を見直して若手を中心とした新チームに移行する。 現チームはJAXA
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見上げてごらん
お楽しみはこれから=永山悦子
2022/6/13 13:35 948文字アフリカ・タンザニアのオルドバイ渓谷は、人類の祖先である猿人の化石が発掘された場所だ。そこから南へ約800キロ、サバンナが広がる高原地帯で1938年、黒い石ころが見つかった。人類進化の舞台に転がっていたのは、太陽系の歴史を伝える隕石(いんせき)だった。 発見場所の地名から「イブナ隕石」と呼ばれる。
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宇宙の神秘に思いはせ…「はやぶさ2」リュウグウ試料、愛媛で公開
2022/6/10 12:06動画あり 593文字小惑星リュウグウから探査機はやぶさ2が持ち帰った試料や帰還カプセルなどの特別展示が10日、愛媛県新居浜市大生院(おおじょういん)の県総合科学博物館で始まった。小さな石や粒子などの試料から23種のアミノ酸や水などが含まれていたことが複数の研究チームによって科学誌・学術誌に発表されたばかり。地球の生命
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リュウグウ試料から「多量の水」 海の起源、謎解明の手がかりか
2022/6/10 03:00 774文字探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰った試料に多量の水が含まれていたとの分析結果を、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や北海道大などの分析チームが9日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。地球の水は太古に小天体が衝突してもたらされたという説があり、海の起源の謎を解く鍵になる可能性がある。
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リュウグウ試料からアミノ酸発見 生命の起源の謎解く鍵に
2022/6/6 12:03 771文字探査機はやぶさ2が持ち帰った小惑星リュウグウの試料から、アミノ酸など複数の有機物が見つかったことが関係者の話でわかった。一部は生命の材料に使われる物質だった。地球の生命の起源は、地球由来と宇宙由来の2説で論争になっており、その謎を解く鍵になる可能性がある。 はやぶさ2が地球へ持ち帰ったリュウグウの
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「はやぶさ2」の帰還カプセル公開 25日まで展示 兵庫・明石
2022/1/22 10:30 372文字宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウの試料を地球に持ち帰ったカプセルの展示が21日、兵庫県明石市の市立天文科学館で始まった。 「はやぶさ2」は2020年12月、リュウグウの石や砂計5.4グラムが入ったカプセルを地球へ帰還させた。 3000度まで上昇する大気圏突入
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小惑星リュウグウの試料、46億年前の隕石に類似 JAXAなど発表
2021/12/21 01:00 747文字探査機はやぶさ2が持ち帰った小惑星リュウグウの試料は、太陽系誕生当時の46億年前の状態を保つ隕石(いんせき)に特徴が似ているとの分析結果を、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのチームがまとめた。一方でこれまでに分析されたどの隕石よりも黒く、隙間(すきま)の多いスカスカの構造というユニークな特徴も
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はやぶさ2、祝福と反省と「!」と 津田PM・橘教授が語る帰還1年
2021/12/6 18:31 4372文字探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウの「お宝」をたっぷり地球へ届けてから1年を迎えた。昨年12月6日未明、オーストラリアの砂漠へ、リュウグウの石や砂の入ったカプセルが帰還した。帰還1年に合わせ、プロジェクトチームの津田雄一・宇宙航空研究開発機構(JAXA)プロジェクトマネジャーと、現在、リュウグ
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