強かった動画、データで顕著 「ネット世論」で得票の兵庫知事選
ネット選挙の解禁から10年余り。SNS(ネット交流サービス)での支持が得票につながる動きがでてきた。11月の兵庫県知事選のデータでも顕著に表れた。【稲垣衆史、隈元悠太】
<主な内容>
・変わった潮目
・Xと動画の違い
・確証バイアス→分断
・斎藤氏、石丸氏の街頭演説データを分析すると……
変わった潮目
SNS上などで形成される「ネット世論」には偏りがある。
だから、選挙結果のバロメーターにはならない。
ネット上の世論と選挙を研究する立命館大の谷原つかさ准教授(計量社会学)は、これまでそう考えてきたという。
ネットを活用した選挙運動は、2013年の公職選挙法改正で解禁された。
政党、候補者はSNSなどを通じて政策をPR。有権者が特定の候補者への投票を呼び掛けることも可能になった。
21年衆院選、22年参院選、23年大阪府知事選……。
谷原准教授による実証研究では、いずれも、ネットの影響力はあまり見られなかった。
だが今年、潮目が変わった。
7月の東京都知事選ではSNSを駆使した石丸伸二・前広島県安芸高田市長が善戦した。
10月の衆院選で、石丸氏の手法を参考にした国民民主党の議席が公示前から4倍となった。特に力を入れたのが動画の投稿だったとしている。
告示後に逆転
11月の兵庫県知事選でも、動画の「強さ」が際立った。
谷原准教授が参考にしたのは、東京大の鳥海不二夫教授(計算社会科学)による調査だ。
この調査では、動画投稿サイト「ユーチューブ」で、再選した斎藤元彦氏に関する投稿を抽出。まずは、支持する、支持しないというグループにビッグデータを分析するツールを使って、自動で分類した。
その後、内容やタイトルで詳細を確認。斎藤氏を擁護したり、他の候補者を批判したりしている動画を好意的と定義。斎藤氏を批判したり、他候補を支持したりする動画は否定的とした。
告示の半月前となる10月10~15日では、好意的な動画は1本で、58本だった否定的な動画のほうが圧倒的に多かった。
しかし、投票2日前の11月15日になると、逆転。好意的は99本に激増、否定的は23本にとどまった。
視聴回数にも大きな隔たりがあ…
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